Apple Watchはウェアラブル端末の普及に貢献?|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

2014年9月9日、米国でついに次期iPhone「iPhone 6/6 Plus」が発表されました。この発表会では、あわせてApple初のウェアラブル端末「Apple Watch」も発表されました。多くのマスコミは、iPhone 6ばかりに目を向けていますが、今回の発表会のメインアイテムは「Apple Watch」ではなかったかと勘ぐっています(実際に発表会に足を運べませんでしたので、あくまで憶測ですが)。

正当な進化を果たしたiPhone6/6 Plus

 スマートフォンの、いや携帯電話そのもの概念をひっくり返すほどの社会的インパクトをもたらした「iPhone」ですが、さすがに今回のモデルは正当な端末機能進化に留まり、大きなトピックスとはいえなかったように感じます。

 近年、急速に高機能スマートフォンは一斉にディスプレイサイズを拡大しており、Appleもこれに追従した形でこれまで一貫して貫いてきた端末幅約58mmという鉄則を拭い捨て、端末の大型化を図りました。賛否両論ありますが、これがハイエンドスマートフォンの正当進化のようになっていますので、やむを得ないところでしょう。

 NFCを搭載。そしてLTEの対応周波数帯はKDDIグループ(UQコミュニケーションズ)が運用する2.5GHz帯のWiMAX 2+、およびソフトバンクグループ(ワイヤレスシティコミュニケーションズ)が運用するAXGP(ソフトバンク4G)にも対応したことで、従来のiPhoneよりもさらに活用できる周波数帯域が増えました。いずれにしても嬉しい進化です。

一回り大きくなり、しかも2サイズとなったiPhone 6

一回り大きくなり、しかも2サイズとなったiPhone 6

 iPhone 6/6 Plusの詳細レビューは主要媒体に溢れていますので、ここでは省略させていただきます。それよりも、iPhoneに限らず、5インチ以上のサイズのスマホをお持ちの方は、普段外出するときに、端末をどこに収納されていますか? 筆者も以前は胸やズボンのポケットに入れていましたが、昨今のスマホは外寸が大きいため、ポケットよりもカバンに収納することが多くなりました。となると、いざ着信があったときに気づかないことも増えています。スマホにしてから通話が疎かになったな、という方は私だけではないはず。

 そんなシチュエーションで重宝しているのが、腕時計型ウェアラブル端末です。実際、筆者の場合は、メインの端末はサムスン製Galaxy Note3、そしてこれにGear Fitというウェアラブル端末を組み合わせていますが、これが意外に便利なんです。腕時計タイプのGear2も所持していますが、Gear Fitのほうが小型で軽く、出番は多いです。カバンに収納したGalaxy Note3に着信があれば、Gear Fitがバイブし、相手の電話番号と共に表示してくれます。

 冒頭で、Apple Watchが今回のAppleの新製品発表における目玉ではなかったかという話を書きましたが、端末の大型化は必然的にウェアラブル端末の必要性も高まることになります。iPhone 6/6 Plusで大型化してしまったiPhoneは、ウェアラブル端末と連携させることをより推進させるためにも、必然的な大型化だったのかもしれません。

Apple Watchへの期待

 やはりAppleがウェアラブル端末「Apple Watch」を発売することで、一般のユーザーにもウェアラブル端末がそれなりに普及していくことになるでしょう。現時点では、ウェアラブル端末を利用するのはアーリーアダプターやガジェットオタク(いわゆる筆者のような)ばかりではないかと思いますが、かつてiPhoneによって一般のユーザーがスマホを自然に受け入れたように、Appleが発売するこの「Apple Watch」も、多くの一般のユーザーに興味を持ってもらえるガジェットになるのではないかと考えています。

Apple Watchは、本体とベルトの組み合わせで様々なバリエーションが楽しめる

Apple Watchは、本体とベルトの組み合わせで様々なバリエーションが楽しめる

 ウェアラブル端末には色々な期待があります。何より「常時身につけている」ことに大きな意義を感じます。スマホの普及で、人々が「常時コンピュータを持ち歩く」環境が実現しました。少なくとも携帯電話が考案される前には、こんな世界を誰が想像したでしょうか。常に持ち歩かれるコンピュータ(スマホ)によって、必要なときにいつでもネットにアクセスし、情報を閲覧したり、インターネットを通じた遠隔でのコミュニケーションが可能となりました。スマホ自体、人類にとって素晴らしいアイテムだと思います。

 これに加え、ウェアラブル端末の「常時身につけている」ことも大きく私たちの生活を一変させる可能性を秘めています。ウェアラブル端末の使命は、連動させたスマホの情報を表示させるだけではありません。ウェアラブル端末自体がユーザーの様々な状態を収集するセンサーを兼ねているからです。現時点でApple Watchでできることは、歩数などの運動量や心拍数の収集ぐらいですが、これもアプリの作りこみ次第では様々な応用が可能になります。技術仕様がどのようになっているのかまだ分かりませんが、たとえば心拍数が取れるということは、心拍数の揺らぎからそのユーザーのストレス度を計測することも可能になってきます。ウェアラブル端末が「当たり前」のものとして普及していくと、今後発売されていく新端末では常時身につけるセンサーとしての機能がさらに追加されていくことになるでしょう。肌に身につけているわけですから、体温や発汗の度合いなども見ることができるでしょう。Googleはコンタクトレンズ型ウェアラブル端末の開発を構想していますが、これが万が一実現すれば、体液に触れるウェアラブル端末になるわけで、となるとそのユーザーの血糖値のリアルタイムモニタリングなども実現することでしょう。
すでに、運動をサポートするツールとして一部のユーザーには活用されていますが、運動に限らず、ウェアラブル端末は私たちの健康な生活のサポートに役立つようになるのです。

 アップルはかつて、「マウスとGUI」を導入することでコンピュータの概念を大きく変えました。さらに「iTunesとiPod」によって音楽視聴のスタイルも一変させました。「iPhoneの登場」は携帯電話の概念をも変えました。今回の「Aplle Watch」は、もしかしたら「ウェアラブル端末の世界的な普及」に大きく貢献することになるのではと期待しています。個人的にデザイン面では、もう一歩の進展を期待したいところですが。

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木暮祐一
1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話関連媒体の立ち上げや執筆などに携わる。2000年にはアスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ編集長を務めた。ケイ・ラボラトリー(現、KLab)を経て2009年に大学教員に転身。2013年より青森公立大学経営経済学部准教授。黎明期からの携帯電話端末コレクションも保有し、その数は1000台以上。株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー
IoT品質検証

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