VoLTEの通話品質を試してみた!|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

6月19日に掲載させていただきましたコラム(モバイルネットワーク進化の鍵となるVoLTEの導入)にも、モバイルネットワークの進化の過程でVoLTE(=Voice over LTE 、VoIPのスマホ &LTE版、「ボルテ」などと呼ばれています)の導入が必要不可欠という話を書きました。

ご存知の通り、NTTドコモの今夏発売の新スマホから音声通話をパケットにしてLTE網で通信可能とするVoLTEに対応が始まっています。「GALAXY S5 SC-04F」「Xperia Z2 SO-03F」「AQUOS ZETA SH-04F」「AQUOS PAD SH-06F」「ARROWS NX F-05F」では、最新ソフトウェアに更新することでVoLTEが利用可能になります。また「Xperia Z2 Tablet SO-05F」は9月下旬に対応予定とのこと。このうち、筆者はSC-04Fを所持しておりましたので、まずはソフトウェアアップデートを実行、そしてVoLTE対応端末を所持する友人と通話品質比べをしてみました。

今夏発売移行のNTTドコモのスマホはソフトウェアアップデートによってVoLTEが使用可能に

今夏発売以降のNTTドコモのスマホはソフトウェアアップデートによってVoLTEが使用可能に

VoLTEは高音質、低遅延売り!

VoLTEの必要性は6月19日のコラムをお読みいただくとして、今後登場するスマホは順次VoLTEに対応していくことになります。さらにNTTドコモだけでなく、他の通信キャリアもこれに追従することになるでしょう。

VoLTEで通話できるのは、通話する双方がVoLTE対応端末を利用し、かつLTEネットワーク網に接続していることが条件になります。いずれ3G網を廃止するまでには、すべての端末がVoLTEに対応している必要性があり、今後10年ぐらいかけてすべてのスマホやガラケーがVoLTE対応端末に置き換わっていくことになると思われます。

NTTドコモは、2014年夏モデル発表の際にこのVoLTEのスタートもアナウンスし、とくにVoLTE同士であれば「高音質」「低遅延」をアピールすることで、積極的なVoLTE対応端末への買い替えを促進させて行こうという狙いを感じました。

従来の3G網回線交換による音声通話の音声周波数帯域は300Hz~3.4kHz(NTTドコモ・2014夏モデル発表会にて)

従来の3G網回線交換による音声通話の音声周波数帯域は300Hz~3.4kHz(NTTドコモ・2014夏モデル発表会にて)

VoLTEによる音声通話の音声周波数帯域は50Hz~7kHz。低音域から高音域までの幅が広がった(NTTドコモ・2014夏モデル発表会にて)

VoLTEによる音声通話の音声周波数帯域は50Hz~7kHz。低音域から高音域までの幅が広がった(NTTドコモ・2014夏モデル発表会にて)

先駆けて、NTTドコモは4月10日に新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」を発表していますが、これまで“従量制”が常識であった音声通話を定額化したその先には、音声通話もパケット網に乗せるVoLTEに移行して行くことで、通話用に残されてきた設備を廃止することでさらなるコスト削減の見込みがあったのでしょう。さらに音声通話分のパケットコストを基本使用料に含めてしまったことで、パケット通信で音声通話を実現させてきた各社の「無料通話アプリ」をけん制する目論見もあったのかもしれません。本来、LTE網が充実してきたとはいえ、パケットを使った無料通話アプリは通話品質を気にする向きも多かったので、あえてNTTドコモは「従来の音声通話よりも高音質、低遅延」を大々的にアピールしたのかと勘ぐってしまいました。

ということで、本当にVoLTEは高音質なのかという通話音質の比較を行ってみました。

意外にもVoLTEとFaceTimeオーディオがいい勝負に

このような文字ベースのコラムで音声品質をお伝えするのは極めて困難ではありますが(笑)、かなり筆者の個人的主観に基づいた評価ということで読者の皆様にはお許しを頂き、率直な感想を記させていただきます。

まずは「VoLTE通話 vs 3G音声通話」。LTE対応のスマホでも、音声通話の際には3Gネットワークに切り替わり、回線交換網を通じて音声通話を行っています。ですので、それまでアンテナマークの横に表示されているLTE表示が、音声通話を開始した途端に消えてしまうのはこのためなのです。

しかし、VoLTE対応端末でソフトウェアアップデートを完了した端末同士の通話では、通常の音声通話発信で相互にVoLTEでつながります。この場合、通話状態であってもLTEの表示は消えません。ちなみに筆者の端末は「GALAXY S5 SC-04F」。そして通話品質評価にお付き合いいただいた相手側の端末は「Xperia Z2 SO-03F」でした。

早速音声通話開始。なるほど、NTTドコモが説明するとおり、低音から高音まで幅広い音域に対応したことで、音声をクリアに伝えられるのが特長というだけあって、音声はクリアに聞こえます。とくに高音域がキンキンいうくらいの音質です。まるでドルビーBで録音したカセットテープをドルビー無しで聴くような感じ(この例えは一定世代以上じゃないと何のことか全く意味が分かりませんね・笑)。あるいは、イコライザーを使って無理に低音域と高音域を強調したような音声にも聴こえなくはありません。オーディオのラウドネスをONにしたような感じといえば分かりますかね。

では、3G網を使った回線交換方式の従来の音声通話と比べてみましょう。VoLTEで通話をしつつ、手元にあったiPhone 5S(相手はiPhone 5c)にて、音声発信。これをお互いに左右の耳に当てて通話品質比べをします。筆者は昔から音声通話品質を比較するとき、この手法を使ってきました。通称「ステレオ通話」。

これが音声通話品質を確かめる際に筆者が愛用している「ステレオ通話」だ!

これが音声通話品質を確かめる際に筆者が愛用している「ステレオ通話」だ!

なるほど、従来の通話に比べると、間違いなくVoLTEはクリアに聞こえます。ただ、ちょっと音声が途切れそうな不安定感も否めません。たまたま筆者が通話している場所(青森公立大学キャンパス内)がLTEがやや薄いので、これの影響かもしれません。逆に3G網の回線交換では、音質は若干こもり気味ですが、安定した通話音声という感じです。

3G網はこれまで遅延が大きいことで知られてきましたが、VoLTEと比べると、確かに遅延は改善されているようですが、感覚的に0.2~0.4秒程度でしょうか。若干VoLTE経由の音声のほうが早く聞こえてくる感じでした。

続いて、「VoLTE通話 vs iPhoneのFaceTimeオーディオ」。通話中のVoLTEはそのまま継続させ、iPhoneのほうは通話を切断し、改めてFaceTimeオーディオ経由で通話接続してみました(ネットワークはWiFiではなくLTE網を使用)。

あら驚き! FaceTimeオーディオはVoLTEと代わらない、あるいはVoLTE以上に高音質でした。これには意表をつかされました(笑)。ただし、遅延に関しては、やはりVoLTEのほうが少ないです。しかし、FaceTimeオーディオといい勝負です。侮れませんな。

通話品質実験はまだまだ続きます。続いて、iPhoneのFaceTimeオーディオ通話は維持しながら、VoLTEを切断。VoLTE端末は筆者もお相手もメイン端末のため、LINEも入れています。ということで「LINE無料通話 vs FaceTimeオーディオ」で勝負です。共にLTE網を使用。まあ、言うまでもありませんが、LINE無料通話では勝負になりませんでした。LINEは遅延も大きく(FaceTimeと比べても感覚的に0.5~0.8秒近い遅延)、音質もさきほどの3G網回線交換より劣ります。

ということで、本日の実験の結論は以下の通り!

まず、「遅延」という点では、
VoLTE > FaceTimeオーディオ > 3G網回線交換 > LINE無料通話
という順で期待通りVoLTEが有利に。

肝心の「音声品質」ですが、これは意外にも、
VoLTE = FaceTimeオーディオ > 3G網回線交換 > LINE無料通話
という感じで、FaceTimeが意外にも安定していて、しかも高音質であることがよく分かりました。

あくまでも、接続するネットワーク品質に左右されますし、個人の実験ということで、利用条件によって必ずしもこの通りになるというわけではないことをご承知おき頂ければ幸いです。ちなみに筆者は青森の山の中から、通話相手になってくれた友人は仙台市のオフィスビルの中からの通話という条件でした。これがネットワークの混雑が頻発している東京であれば、また条件は変わってくると思います。また、VoLTEが高音質であることは分かりましたが、現状これを使っているユーザーはごく一部です。利用するユーザーが増加すれば、音質にも影響が出てくると思われます。これはVoLTEに限らず、FaceTimeも一緒でしょう。

あくまでも、ご参考までに。

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木暮祐一
1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話関連媒体の立ち上げや執筆などに携わる。2000年にはアスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ編集長を務めた。ケイ・ラボラトリー(現、KLab)を経て2009年に大学教員に転身。2013年より青森公立大学経営経済学部准教授。黎明期からの携帯電話端末コレクションも保有し、その数は1000台以上。株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー

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