「盟友」山根さんとディープなモバイル話編~前編~|池端隆司のモバイルジャンクション

こんにちは、池端です。

今回は対談記事。話が多岐に及んだのでまずは前編をお届けします。Postco Lab.でも人気記事を多数寄稿してもらっている、「携帯電話研究家」の先達にして、現在は香港を拠点に世界のモバイル事情を発信している山根康宏さん(連載:山根康宏のワールドモバイルレポート)と、同業者ならではの苦労話も時折飛び出しつつ、ディープなモバイルトークを展開しました。山根さんと話すときはいつもそうなのですが、今回も縦横無尽に話が脱線しながら展開していきます…

池端隆司×山根康宏

「エッジな題材」を紹介したい

池端隆司(以下“池端”):Postco Lab.に載せる原稿の方向性を模索しているという話をきいたのですが、山根さんがココで発信したい事ってあります?

山根康宏(以下“山根”):やはり普段の取材活動ベースで、海外の非常にマニアックでエッジなトピックを紹介していきたいですね。最初はわかりやすい“やわらかめ”な記事にしていたのですけど、私らしさをより出せる記事を増やしていきたいなあと思っています。

池端:たしかに。ポストコラボ内での私、山根さん、そしてもう一方木暮さんとの棲み分けは結構絶妙にできていると思っていて。実は、山根さんってアプリにはそんなに食指が動かない人なのですよね?

山根:ええ、ほとんどブラウザアプリで済ませちゃいます。使っているのはEverNoteなど必要最小限かな。そもそもアプリにまで手を出す余裕が全然ないんですよ。選びきれないのが正直なところです。

池端:手前味噌ですけど、僕はそこ(アプリに)強いです。いま、会社まで2時間かけて通勤しているのですが、その通勤時間内にその週のTOP50のアプリはほとんど触っていますからね。半分「やらないと!」っていう使命感に近い感覚でやっている面もありますが…あとはガジェット系のプロダクト紹介と、Webrage独自の検証を絡めた記事とかをこれから力入れていけたらなと。

山根:そのアプリのチェックぶりはすごいですね!野球少年の毎日素振り100回みたいな感じだ。いや本当に池端さんはそこが強みだと思いますし、そういう人が紹介するからアプリの魅力や端末の良さが人に伝わるのだと思いますよ。そこは池端さんの「領域」として広めていただけると、僕は楽です(笑)。僕はChromeでなるべく全部済ませていて、そうすると買った端末にGoogleアカウントをいれなくて済むからです。入れたいアプリがある時だけ仕方なくアカウントを設定する感じ。あとはキャリアで買った時のプリインストールの(メーカーやキャリアが最初から入れている)アプリで何ができるかを試します。そこからキャリアやメーカーの意図をうかがい知ることができるから。

池端:なるほど、一番プレーンな状態で端末に触ってみるのも確かに面白いかもしれませんね。

ブルネイでSIMを買ってみたら…

山根康宏

山根:さっきのアプリの「やらないと!」っていう感覚は、僕だとついつい海外で現地のSIMを買わずにはいられないのと同じですね。女の人で国内旅行に行ったら、ご当地のハローキティのボールペンを買わずにはいられない人みたいですが。

池端:ははははは。

山根:先日ブルネイに行った時も、あそこはキャリアが2社しかないのですが、プリペイドのSIMが日本円で2,500円位するんですよ。

池端:SIMだけで?

山根:SIMだけです。それでデータ通信用のSIMを買ったら3G専用。あれっと思ってカウンター奥を見たらパッケージ違いでLTEのSIMがあったんですよ。だからさらに3,000円出してLTEの方を買いました。

池端:それ、店に言って書き換えてもらうのじゃだめだった?

山根:契約が違うから買い直しになるみたいです。まぁそこで「ま、いいや」と諦めてしまったら、私の「携帯電話研究家」の肩書きは地に落ちてしまうので。そこで躊躇なくLTEに買いなおせる自分でよかったなぁと。池端さんも、さっきのアプリチェック、今後10年は継続するべきですよ。

池端:山根さんや木暮さんのディープな話を聞いていると、自分もまだまだこの道の追究が足りないなぁと思わされます。負けてられないので、私もまた端末買いに行かないとですね。

NFCが海外で必要とされていない理由とは…

池端隆司

池端: SIMの話が出たので…韓国でNFC内臓のSIMが登場したっていう話をききました。まだ現物を私も見たことがなくて、SIMの中にどうやってFelica的な機構を入れたのだろうって気になっているんですよ。見た目とか違います?

山根:NFC非搭載の端末が出たころからやっているようです。今はほぼすべてのスマートフォンにNFCが乗っていますけどね。

池端:とすると、端末側が非対応のものであってもNFC化できてしまうと…

山根:そうですね、GSM的にはSIMからのネットワーク認証がマスト。逆にそれ以外は認めないという文化で特にヨーロッパ圏はここまで来ましたから。

池端:日本でもNFC内臓のケースとかが結構出回ってきていますが、海外だとこういった「短距離無線」のサービスとかって注目されているのですかね?それこそSuicaやチケットレスサービスみたいなものが。

山根:うーん、体感値ですが恐らく流行らない。理由は必要としていないから。クレジットカード決済の定着度が格段に違うからでしょうね。海外だと20年以上前からカード社会でクレジットカードがないと生活できないライフスタイルが確立されてます。カードで済むことを、今更他の方法でやらなくてもっていう考えに帰結しそうです。日本がある種異様でクレジットカードはもちたくない「現金主義」の人が多いのに、「お財布ケータイ」のようなキャッシュレスな決済手段の需要は高いんですよね。日本の生活密着型のモバイル技術は、本当に独自進化し過ぎてて、グローバルだと今ようやくQRコードが社会に定着し始めた位ですよ。画面が大きくなってカメラの精度があがったからですけどね。

池端:LINEのアカウントのやりとりがQRコードで出来るというのも、グローバルのトレンドに沿った施策かもしれませんね。

山根:中国だと「音」がトレンドです。人の耳に聞こえない低周波音声でアカウントのやりとりができたり、飲料が買える自販機とかありますから。

池端:その話、木暮さんとも先日したのですが、「ポケベル時代のトーン機能みたいだね」って言ってました。

(後編に続く)

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池端 隆司
個人で1,000台以上の携帯端末を保有する弊社の携帯博士。株式会社ウェブレッジに2011年入社し、品質検証事業部の事業部長としてテストチームのマネージメントする他、「携帯電話研究家・品質コンサルタント」として活動。品質管理体制の構築・検証手法の提案、ニアショア・オフショア検証の体制構築提案を実施。そのほか国内、国外の携帯電話市場調査やアプリケーションの企画やアイディアの提案なども行う。 著書に「ディープでギークなスマホ情報―これがスマホ&モバイルの未来だ!?」 (技術評論社 2014年6月)がある。

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