これからのスマホカメラのトレンドは「自分撮り」|山根康宏のワールドモバイルレポート

ソニーモバイルが2014年7月に発表したスマートフォン「Xperia C3」は5.5インチHDディスプレイを搭載したミッドレンジモデルだ。CPUはクアッドコア1.2GHzを搭載しており、スペック上に大きな特徴は無いように見える。だがXperia C3は同社初の「フロントカメラフラッシュ」を搭載、自分撮りに適した「セルフィー・スマホ」と呼べる新しいジャンルの製品なのである。

フロントにフラッシュも搭載したXperia C3

Xperia C3は背面に8メガピクセルのメインカメラを搭載している。これはミッドレンジモデルとしては標準クラスの画質だろう。一方フロントには5メガピクセルと画質を高めたカメラを搭載しており、しかもLEDフラッシュもカメラの横に装備している。今までのスマートフォンはフロントカメラは画素数も低いことから、室内での自分撮りなど暗いシーンでの撮影は苦手としていた。だがXperia C3は高画質+フラッシュのおかげで室内でも綺麗な写真を撮影することができるわけだ。

ちなみに同社のフラッグシップモデル「Xperia Z2」でもフロントカメラの画質は2.2メガピクセル止まりだった。フロントカメラの高画質化とフラッシュの搭載は、XperiaシリーズでもこのC3が初の試みなのである。

フロントカメラが特徴のMeituのスマートフォン

フロントカメラを強化しフラッシュも搭載したXperia C3

スマートフォンのカメラは今やデジカメ代わりとして様々な被写体の撮影に利用されている。またInstagramのようなプロ風の写真が撮影できるアプリも人気が高く、撮影後すぐにソーシャルサービス(SNS)にアップロードできるとあってデジカメを使わなくなる人が年々増えているほどだ。スマートフォン各メーカーも、ここ数年はカメラの画質アップや使いやすいカメラアプリの開発に力を入れている。

スマートフォンのカメラの利用頻度の高まりはSNSの普及と大きな関係がある。日常生活の中で写真やビデオを撮影しSNSで公開することは今や誰もが行っており、FacebookやTwitter上では写真を使ったコミュニケーションが活発になっている。食事の前に料理を撮影してSNSにアップすることが習慣になっている人も多いだろう。

これらSNS上で見られる写真の傾向として、最近は自分の写真をアップするケースが増えている。また自分一人だけではなく、仲間や友人など数名での集合写真も背面カメラではなくフロントカメラを使い手軽に撮影されたものが目立つ。このような自分撮りを「セルフィー(Selfie)」と呼ぶが、その流行は元々はアジア各国だった。

セルフィーは写真を撮る行為そのものも楽しい

セルフィーは写真を撮る行為そのものも楽しい

自分の顔写真や友達同士の写真をフロントカメラで撮影し、その場で見たりSNSにアップすることがスマートフォンのディスプレイの大画面化と共に流行となり、最近では欧米でも若者を中心にその利用が増えている。もちろん背面カメラを使えばより高画質なセルフィーが撮影できるが、フロントカメラを使いディスプレイに表示される自分たちの顔を見ながらわいわいと撮影する行為そのものも楽しいものなのだ。

自分撮り強化スマホが次々に登場している

Xperia C3はそんな「セルフィー需要」の流行に乗ったスマートフォンだ。ところがすでにアジアではフロントに高画質カメラを搭載したスマートフォンが次々に発売されており、女性を中心に人気となっている。しかもそのようなセルフィーを重視したスマートフォンは大手メーカーからではなく、中国や台湾のローカルメーカーから次々に登場しているのだ。

例えば中国のMeitu社はフロントカメラの強化に最も力を入れているメーカーだ。最新モデルでは背面とフロントどちらにも13メガピクセルのカメラを搭載している。こうなるともはやスマートフォンを裏返さなくとも高画質な写真の撮影が可能であり、今までにはないカメラの使い方もできるようになるだろう。

フロントカメラが特徴のMeituのスマートフォン

フロントカメラが特徴のMeituのスマートフォン

Meituのスマートフォンには自分の顔を若返らせたりホワイトバランスを調整できる美白アプリなども搭載されている。このことからわかるように、アジアで自分撮りを多く利用しているのは実は女性層なのである。そんなことからセルフィー機能を強化したスマートフォンはパステルカラーやピンクなど、女性を意識したカラーリングの製品も多い。

自分を美しく撮影できるアプリも搭載。

自分を美しく撮影できるアプリも搭載。ターゲットは女性だ

また高画質カメラを回転できるスマートフォンも複数販売されている。前後に2つのカメラを載せるよりも、1つのカメラで両用したほうがコストも下げられるということだろうか。あるいはカメラを回転することが写真撮影時の楽しみを広げてくれるかもしれない。このように大手メーカーに先駆けて、新興メーカーが意欲的な機能を次々に搭載しているのは見ているだけでも面白いものだ。

OPPO社のN1はカメラが前後に回転する

OPPO社のN1はカメラが前後に回転する

スマートフォンのカメラ機能はこれからもますます高まっていくだろう。だが背面のメインカメラだけではなく、フロントカメラの画質や機能もこれから強化されていくに違いない。数年もすればスマートフォンのカメラは背面もフロントも機能は全く同一という時代がやってくるかもしれない。

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山根 康宏

山根 康宏

香港在住15年。海外展示会取材や海外市場調査のため1年の半分を 海外で過ごす。2003年に前職を退職し同年に携帯電話研究家として独立。 香港を拠点にフリーランスの活動を開始する。消費者目線でのコラムやレポートを執筆する他、 コンサルティング活動も行っている。 週アスPLUS『山根博士の海外モバイル通信』、 ITmedia『山根康宏の中国携帯最新事情』、CNET『中国トンデモケータイ図鑑』など、 メディアでの連載多数。 携帯電話をこよなく愛しており、海外出張時は現地端末やプリペイドSIMを必ず購入、 それらのコレクターでもある。 収集した海外携帯電話の台数は約1300台、SIMカードは約500枚(2014年6月時点)。 株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー

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