出揃った3キャリアの新料金プランの狙いは?|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

公開日: : 最終更新日:2014/08/21 モバイル研究家コラム, 木暮祐一のぶらり携帯散歩道 ,

3キャリアの新料金プランが出揃いました。すでに各所で報道されている通り、基本料金は通話し放題でガラケーで2,200円、スマホで2,700円という見事なまでの3キャリア横並び状態でした。それにデータ通信のパックを組み合わせるというものですが、後出しジャンケンじゃないですけど、ドコモに続いて発表してきたソフトバンクはこのデータパックで余ったパケット量を翌月に繰り越せるというメリットを打ち出してきましたし、一番最後の発表となったauは、データ通信のパックをドコモ、ソフトバンクよりもさらに細分し、とくに利用量の多いパックでは他の2社よりも割安にするというメリットを出してきました。

各メディアでもこの新料金プランが取り上げられていましたが、旧料金プランと比べてどれだけメリットがあるのか、あるいは3キャリアでどこがお得なのか頭を抱えながら報道していたようです。正直なところ、各キャリアとも色々細かい条件や併用キャンペーンが多く、私も大混乱しているところです。

ついにauも新料金プランを発表。先行2キャリアに比べ、ずいぶん細分化しましたね。

ついにauも新料金プランを発表。先行2キャリアに比べ、ずいぶん細分化しましたね。

新料金プランでメリットがある人、ない人

6/19掲載の本コラムでVoLTEに絡めて音声通話定額化とデータ通信料の従量課金化へのシフトが必然化することは述べましたが、新料金プランはこれまで繰り返されてきた「これまでよりお得になる」といったパターンのものではなく、モバイルネットワークの進化やユーザーの利用の中心がデータ通信主体にシフトする中でいつか着手しなくてはならなかった電話料金大改革が実行に移されたと考えるべきでしょう。新料金プランでは従来より電話料金が安くなったという人もいれば、一方で維持費がかさむようになったという人も出てくるはずです。

家族がなく1人で使っているユーザーのケースで見てみましょう。スマートフォン等の利用パターンで考えると、次の4つのケースに分類できると。
(1)音声通話が多く、データ通信はわずかな人
(2)音声通話が多く、データ通信も多い人
(3)音声通話はほとんどせず、データ通信の利用もわずかな人
(4)音声通話はほとんどしないが、データ通信は多い人。

このうち、(1)のパターンの人は、明らかに新料金プランはお得になるはずです。かつて筆者はマスコミ(出版)業界にいましたが、マスコミ業界では音声通話は欠かすことができないもので、通話料は毎月悩みの種でした。それが2,700円で済むというのは大変うれしい話でしょう。一方でデータ通信が少ないのでしたら、2GBなど最小限のデータ通信パックをつけておけば良く、従来のパケット通信料よりも安価に済ませられます。(2)のパターンの人の場合も、音声通話が基本料金に含まれるため、新料金プランをお勧めしますが、一方でデータ通信料は新料金プランでは少々割高になるケースが考えられます。従来のデータ通信料は、5,700円程度の定額料金で最大7GB/月までデータ通信の利用が可能でしたが、新料金プランでは2GB、5GB、10GBでそれぞれデータ通信料が設定されており、5GBでも5,000円掛かってしまいます。7GBを使い切るぐらい定額料金内で有効活用していたユーザーにとっては実質的値上げになってしまいますね。auの場合はさらに細かくデータ量別に料金が設定されているのですが、これもあえて7GBを避けて、5GBの次は8GB(6,800円)という設定になっています。現行の料金よりも1GB余計に使えるとはいえ1,100円高くなる微妙な料金設定となっています。

(3)と(4)のパターンの人は、新料金プランは悩ましいところですね。基本料金が実質値上げになってしまいます。(3)のパターンの人は最低の2GBのデータ通信パックにすることで、旧料金プラン相当で収められるとは思いますが、(4)のパターンの人にとっては、データ通信料も実質値上げになりかねないので、維持費が増えてしまいそうです。

キャリアの思惑はどこに?

各キャリアにとって頭を抱えているユーザー層が、じつはキャッシュバックを目当てに通話もデータ通信もせず、最低の料金で回線契約だけ維持しているような人たちと、データ通信のヘビーユーザーではないかと思われます(筆者の勝手な憶測ですが)。LTE以降の定額データ通信料金では、データ通信の上限7GBという規定ができましたのでヘビーユーザー対策は講じられたわけですが、最低料金で回線維持を維持だけしたいユーザーにとっては今回の新料金プランは基本料金そのものが最低2,200円からとなりますので、そうした方々にとっては頭の痛い問題となりそうですね。ちなみに筆者の場合もキャッシュバックの恩恵こそ受けてはいませんが、端末評価やネットワークエリアの確認用に各キャリアの回線を複数維持しているので、正直なところ新料金プランによって全体の維持費は跳ね上がりそうな予感です。

今回の新料金プランでは、データ通信のパックを家族でシェアできるのが特徴です。シェアする場合、ドコモやソフトバンクの場合は子回線1本につき500円のシェアオプションを払う必要がありますが、家族の中にはデータ通信利用の少ない人もいるでしょうから、上手にデータ通信のパックを選択すれば旧料金プランよりもリーズナブルに利用できるケースも出てくるかもしれません。

何より重要なことは、ご自身および家族の通話量、データ通信量をきちんと把握することです。これまで、毎月およそ何GBのデータ通信を行っていたのかを丁寧にチェックしていた人というのは少ないのではないでしょうか。かくいう筆者も同様です。今後は、自分が契約するデータ通信のパック内の通信量に収めるために、データ通信量のチェックを頻繁に行う人が増えるはず。何より、パック内の通信量に抑えるために、なるべくWiFiにオフロードさせたり、無駄な通信を減らすよう工夫する人が増えると思われます。じつは、各通信キャリアとも、ここが狙いなのではないでしょうか。とくに都心部ではデータ通信のトラフィック(混雑)が多く、ネットにつながりにくかったり、つながっても通信速度が遅いといった声をよく聞きます。多くのユーザーが、データ通信を抑制し、必要なときに最小限利用するよう心がけるようになることで、各通信キャリアとしてはトラフィックを軽減させられるわけです。

ちなみに、ドコモとソフトバンクは、2GB、5GB、10GBというざっくりしたデータ通信のパックを出してきましたが、一方auはとても細かく、2GB、3GB、5GB、8GB、10GB、13GBという6つのプランを用意しました。これはこれで選択が難しそうですね。5GBまではドコモやソフトバンクと横並びの通信料金ですが、それ以上のパックではお得感を出しています。人間の心理として「規定量をオーバーしちゃうのが心配だから、ちょっと上のパックを選ぶか?!」っていうユーザーに期待しているのでしょうか(笑)。あ、もちろん、容量をあとから追加料金払って増やすことは可能ですが。

で、筆者の場合、前述の通り各キャリアの回線を複数維持していますが、少しでも電話料金を抑えるべく、ついにガラケー復活しました(笑)。ガラケーはiモードも契約せず2,200円で通話専用と割り切り、その他のスマホはMVNOの格安SIM系を組み合わせるのが当面はお得そうな感じでしょうか。これはドコモの端末および回線の話ですが、その他のキャリアの回線も今後順次何を選択するか考えて見ます。

ドコモに関しては、通話専用としてガラケー復活。スマホはMVNOのSIMで良いかもですね

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木暮祐一
1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話関連媒体の立ち上げや執筆などに携わる。2000年にはアスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ編集長を務めた。ケイ・ラボラトリー(現、KLab)を経て2009年に大学教員に転身。2013年より青森公立大学経営経済学部准教授。黎明期からの携帯電話端末コレクションも保有し、その数は1000台以上。株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー
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