ドコモがiPhoneを導入せざるを得なかった理由|池端隆司のモバイルジャンクション

ドコモがiPhoneを導入せざるを得なかった理由

先日、若い世代のスマホユーザーと座談会めいたことをしてみました。私と進行役のアラフォー男性と20代前半5人の若い男女という奇妙な座組みの中、最初のお題はお決まりの「今使っているスマホは?」という質問から始まりました。案の定、彼らの4/5がiPhoneユーザーでした。

手堅い選択肢= iPhoneだった

iPhoneの国内シェアは2014年はじめの時期で実に 70 %ぐらいの圧倒的シェア率 だそうです。本場のアメリカでも 40%ちょっとぐらいですから、日本だけが異常に高いことが伺えます。彼らが iPhone選んだ経緯はそれぞれ違っていましたが、私が注目したのは最初の iPhoneを購入した時期。大体iPhone4Sから5が登場する前後あたりにiPhoneを使い始めた人がほとんどでした。

この時期(2011年後半から2012年秋)というのがポイント。当時Android端末がまだまだ荒削りで、OSの安定性に欠けていたり電池の消費量(バッテリー持続時間)がガラケーやiPhoneと比べて短かったりと、まだまだ「快適に使える」というレベルには達していませんでした。間違いのない手堅い機種という観点からいうと、当時既に第 5世代まで経て、一通り「枯れた」領域にまで達していたiPhoneが圧倒的に有利だったことは否めません。

スマホデビューはWindows PhoneだったりAndroidだったりした人もメンバーの中にいたのですが、当時使っていた端末の動作安定性や快適さ、もしくはプロダクトとしての完成度やアプリの充実という面でネガティブな経験をしたために、iPhoneを選んだという理由が多かったです。そりゃあ画像を一枚撮影したらすぐに画面が落ちるようになったり、充電端子が弱くて充電できなくなったりしたら、iPhoneに乗り換えたくなりますよね・・・

手堅い選択肢= iPhoneだった

満を持してとは言えないドコモのiPhone開始

さて、先ほど国内iOSのシェア率に関して述べましたが、その数字を決定付けたのは昨年秋にようやく実現したドコモのiPhone取り扱い開始でしょう。auの取り扱い開始以前から数えて、「 何度目かの正直 」で実現したことをご記憶の方も多いと思います。結局、「iモード搭載のiPhone」は実現することはありませんでしたが。

さて、そのドコモがiPhoneの取り扱いを初めて、契約者数に変化はあったのでしょうか?長年のパートナーであるソフトバンクと、それより遅れて参入したauともにAppleとの友好的な関係は継続中。昨年末、 一時的に新規加入者数でドコモがトップに 返り咲きましたが、 iPhoneを使いたいと思っているユーザーのドコモからの流出は 2014年3月の時点 でも止まっておりません。投入した効果はさほどなし、むしろ遅きに失した感すらあります。それでも、ドコモは導入せざるを得なかったのです。

満を持してとは言えないドコモの iPhone開始
ドコモがiPhoneを今回販売するきっかけになった一つの要因は、法人契約企業の声でした。iPhoneの普及に伴って、企業でMacの普及率が拡大。また、国内大手企業では業務端末としてiPhoneやiPadの導入例が増えてきました。それも一度に大量に。ドコモはNTT系列という事もあり、昔から手厚い法人サービスが有名で、今でも収益の大きなウェートを占めています。そんな大口契約企業から「iPhoneを会社で導入したい。いっそのこと100台1000台単位で、会社ごとキャリアを移動しようか考えているのだけれど」という要望が販売圧力としてかなり作用した様です。これを口々に言われたらドコモはたまったものではありません。まさに、死活問題だった筈です。

その根拠となるのが、これまでiPhone周りのリークやフライング情報は、キャリア周辺でビジネスを展開しているコンテンツプロバイダ等から流れてきたのですが、今回は珍しく法人販売ルートから「実はiPhoneを販売する」という情報が流れてきました。「ドコモからじきに発売しますので、もうしばらくお待ちください」というアナウンスを契約企業宛に出していて、必死に流出を食い止めていた。勝ちに行くというよりは何とか潰れないために。文字通り生き残りをかけて「賽は投げられ」てしまった・・・そして、今のところ出目はそんなに良くなかったというのが、私の見方です。

ちなみに、ドコモのサイトを調べていたら、ドラクエスマホは法人契約でも買えるとか。ウチの検証機ラインアップにも入れようかな …

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池端 隆司
個人で1,000台以上の携帯端末を保有する弊社の携帯博士。株式会社ウェブレッジに2011年入社し、品質検証事業部の事業部長としてテストチームのマネージメントする他、「携帯電話研究家・品質コンサルタント」として活動。品質管理体制の構築・検証手法の提案、ニアショア・オフショア検証の体制構築提案を実施。そのほか国内、国外の携帯電話市場調査やアプリケーションの企画やアイディアの提案なども行う。現在は、ウェブレッジの社外アドバイザーとして活動中。 著書に「ディープでギークなスマホ情報―これがスマホ&モバイルの未来だ!?」 (技術評論社 2014年6月)がある。
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