見えてきた台湾のLTE時代 | 山根康宏のワールドモバイルレポート

国を挙げてWiMAXを次世代高速通信規格として推進していた台湾。そのためLTEの導入は他のアジア各国よりも大幅に遅れてしまった。だが2014年中に予定されているLTEの商用サービス開始に続き、2015年には新たなLTE免許の交付が行われる予定だ。台湾は今、WiMAXからLTEへの完全転換を目指している。

LTE開始で業界再編が始まる

台湾のLTE免許は2013年10月にオークションが行われ、3つの帯域、12ブロックが6社に落札された。このうち700MHz帯(Band 28)はLTE用に新たに割り当てられた周波数で、この帯域を落札した4社は早ければ2014年下半期にもLTEサービスを開始する予定だ。一方900MHz帯(Band 8)と1800MHz帯(Band 3)は既存の事業者が2Gサービスに利用している周波数帯のため、それら各社の2G免許期間が終了後にLTEサービス用として転用される予定だ。

台湾でLTE免許の交付を受けたのはChunghwa Telecom(中華電信)、Far EasTone(遠傳電信)、Taiwan Mobile(台湾大哥大)という大手の3大携帯電話事業者に加え、CDMA2000サービスを提供しているAPBW(亜太電信)、そして異業種からの参入としてiPhoneなどの製造を手掛ける世界のEMS大手、Focxonn(鴻海集団)の子会社である国碁電子、さらには食品流通大手の頂新集団の子会社の台湾之星の6社。既存の携帯電話事業者は3GからLTEへのマイグレーションを進める一方、新規参入の2社はそれぞれ新たなビジネス展開を目指している。

大手3事業者はLTEでも激しい加入者獲得合戦を繰り広げるだろう

大手3事業者はLTEでも激しい加入者獲得合戦を繰り広げるだろう

台湾にはこの他に今回のオークションに参入しなかった威宝電信Vibo Telecom(威宝電信)もあり、3Gと4G合わせて7社がこれからサービス展開を行うことになる。だがすでに携帯電話普及率100%を超えた台湾で7社もの事業者が事業展開を行うには事業者の数が多すぎることは目に見えている。台湾之星はVibo Telecomの買収を計画している他、LTEでは国碁電子、APBWと合わせ3社でネットワーク設備の共同敷設・利用の提携の動きを見せている。7社の携帯電話事業者は今後合併や連携で4グループに再編される可能性もありそうだ。

なおすでに各メーカーはLTE対応スマートフォンを台湾に投入している。他国で販売中のモデルをそのまま台湾向けにしており、LTE対応をあえてアピールはしていないものの、LTE開始後にそのままサービスが使えるようにとフライングで販売しているのだ。

端末メーカーもLTE開始前にLTEスマートフォンを販売開始

端末メーカーもLTE開始前にLTEスマートフォンを販売開始

2015年にはWiMAXをLTEへ

2013年のLTE免許交付に引き続き、2014年末には新たなLTE向けの周波数帯のオークションも予定されている。台湾の国家国家通信放送委員会(NCC)は2014年3月末に2500-2600MHz帯の今後の利用についての説明を行い、同帯域をLTE向けとし2014年末から2015年の早い時期にオークション方式で免許交付すると発表した。この周波数は世界で主流のFDD-LTE方式と、中国などでサービスが始まっているTD-LTEの両方式向けに開放される。

2500-2600MHz帯を新たにLTEに割り当てる

2500-2600MHz帯を新たにLTEに割り当てる

この両LTE向け周波数の一部は現在WiMAX事業者が利用している。国策でWiMAXの普及を目指した台湾には6社のWiMAX事業者がサービスを展開しているが、携帯電話事業者との激しい競争を受け現在は4グループに再編されている。この6社のWiMAX免許は2014年から2015年にかけ順次更新時期を迎えるが、NCCはWiMAX事業者の免許更新の際は向う6年、一方オークションに参加しLTE免許を取得した場合は15年の免許を与えるとしている。

とはいえ携帯電話事業者と比べ資金力に劣るWiMAX事業者がLTE免許を落札できる可能性は低い。そもそも各社の事業競争力を見てみると、WiMAX各社の加入者数は携帯電話事業者よりも圧倒的に少ない。WiMAXで3社が連携するVeeTIME連合(VeeTIME、Vmax、Tatung)の合計は13万4000人(2012年末)。これに対し携帯電話最大手のChunghwa Telecomの総加入者数は1000万を超えている(2014年2月)。仮にWiMAX事業者がLTE免許を落札できたとしても、加入者を今後10倍、100倍まで増やすのは容易なことではない。2500-2600MHz帯のLTE転用はWiMAX事業者への市場撤退を促すものになるだろうが、一方では他国に遅れた国内通信インフラのLTE化を一気に進める起爆剤になるだろう。

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山根 康宏

山根 康宏

香港在住15年。海外展示会取材や海外市場調査のため1年の半分を 海外で過ごす。2003年に前職を退職し同年に携帯電話研究家として独立。 香港を拠点にフリーランスの活動を開始する。消費者目線でのコラムやレポートを執筆する他、 コンサルティング活動も行っている。 週アスPLUS『山根博士の海外モバイル通信』、 ITmedia『山根康宏の中国携帯最新事情』、CNET『中国トンデモケータイ図鑑』など、 メディアでの連載多数。 携帯電話をこよなく愛しており、海外出張時は現地端末やプリペイドSIMを必ず購入、 それらのコレクターでもある。 収集した海外携帯電話の台数は約1300台、SIMカードは約500枚(2014年6月時点)。 株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー

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