音を使ってバリアフリーのトライアル│木暮祐一のぶらり携帯散歩道

何かと飛行機での移動が多い筆者ですが、鉄道に比べ、航空会社各社のほうがバリアフリーだとかユニバーサルデザインという観点から顧客サービスへの取り組みが熱心という印象があります。

たとえば、日本航空は空港内アナウンスなどに高齢者でもより聞き取りやすいという「ミライスピーカー」を、主要空港のカウンターなどに2016年から設置する取り組みなどをしていました。
ちなみにこの「ミライスピーカー」はサウンドファン社が”音のバリアフリー”を実現するべく考案した特許技術で、大きくない音でも広く遠くへ届けることができるものです。公共施設の窓口や金融機関カウンターなどにも多数の導入実績があるスピーカーとして知られています。

そんな日本航空は、今夏からこのスピーカーをはじめ空港内で流れる様々な案内音声を、スマホ画面に表示するという実証実験も始めています。ヤマハの「おもてなしガイド」というアプリを入れたスマホを空港内で起動しておくと、このミライスピーカーから流れる音声を含め、空港内の定型アナウンスがスマホ画面に文字表示されます。

「おもてなしガイド」はヤマハが開発した、言語や聴力の壁を超えて、誰もがアナウンスの内容を理解することができる「音のユニバーサルデザイン化支援システム」として開発されたものです。
アプリを起動して、流れてくるアナウンスをスマートフォンのマイクで拾うだけで、その内容を文字でディスプレイに表示してくれます。さらに、さまざまな言語に翻訳した文字で確認することもできます。設定により、日本語のアナウンスを自動翻訳し、8カ国語で表示させることが可能です。
耳の聞こえが悪い方のみならず、たとえば訪日観光客の方々にも重宝してもらえそうですね。

ヤマハは以前から音をスマホのマイクを通じて信号としてとらえてO2O(Online to Offline)などのマーケティングなどに活用する試みを行っていましたが、それが今やこうしたバリアフリー分野への応用にも広がっているようです。

実際に、この「おもてなしガイド」アプリをiPhoneで試してみました。このアプリは、iPhoneの下端にあるマイクを上側にしたほうが音を拾いやすいという観点から、アプリを起動すると画面が上下反転します。
起動させた状態で空港内を歩いてみました。アプリに対応しているアナウンスが流れている場所に近づいていくと、画面上部にある音量を表示させるバーが反応し、近くに案内があることが分かります。たとえば、保安検査場の入り口ではスピーカーから流れる保安検査場通過の際の注意事項のアナウンスが、その通りに文字で画面にも表示されました。
アプリの説明によれば、対応スポットに目印のステッカーがあるということですが、むしろガイドの音声を拾いながら歩いていたほうがスポットが見つかりやすい感じです。

アプリのチュートリアル

アプリのチュートリアル

日本語以外で文字表示させるにはあらかじめ設定で言語を選択

日本語以外で文字表示させるにはあらかじめ設定で言語を選択

アプリを使用する際には画面が上下反転します

アプリを使用する際には画面が上下反転します

羽田空港の保安検査場付近で実体験できました

羽田空港の保安検査場付近で実体験できました

流れている音声と同じ内容が表示されています

流れている音声と同じ内容が表示されています

このおもてなしガイドを使ったアナウンス内容のディスプレイ表示なのですが、音声そのものを言語変換して文字表示させているというのではなく、じつは可聴域外の信号を音声と同時に流すことで、アナウンスに対応したガイド情報を参照できるようにする技術となっています。
信号を「音」で伝えるため、インターネット等を媒介しなくてもスマホに情報を伝達することができるのが特徴です。

参考情報

「おもてなしガイド」ウェブサイト
http://omotenashiguide.jp

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木暮祐一
1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話関連媒体の立ち上げや執筆などに携わる。2000年にはアスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ編集長を務めた。ケイ・ラボラトリー(現、KLab)を経て2009年に大学教員に転身。2013年より青森公立大学経営経済学部准教授。黎明期からの携帯電話端末コレクションも保有し、その数は1000台以上。株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー
IoT品質検証

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