5Gをにらむ?!「窓の基地局」が登場│木暮祐一のぶらり携帯散歩道

公開日: : 木暮祐一のぶらり携帯散歩道

携帯電話やスマートフォンを利用する上で、必ず基地局との無線通信をやり取りする必要があるわけですが、ビルの屋上に設置されていたり、郊外では鉄塔の上に取り付けられているあの基地局のアンテナを見上げて、あれはどこのキャリアのアンテナかなぁと想像を掻き立てながらいつもニヤニヤしている筆者です。

地下やビル内などに設置する小型のアンテナもよく見かけるのですが、なんとNTTドコモはこのほど、世界最大手ガラスメーカーのAGC株式会社と提携して世界初のガラスアンテナを開発してしまったそうです。

既存の窓ガラスに貼り付けが行えるアンテナのようですが、屋内向けに電波を発射して電波の補完を行うものかと思ったら、なんと窓から外側をエリア化させるものなのだそう。透明な導電材料とガラスを組み合わせ、透明であるというガラスの特徴により目立ちにくく、景観や室内デザインを損なわないものとなっています。

スマホの普及により通信トラヒック量は増大し続けており、安定した高速通信に向けて通信キャリアは様々な対策を講じています。高トラヒックエリアにおいては、スモールセル基地局を設置しトラヒックを分散させることが重要で、スモールセル基地局用のアンテナ増設が必要となります。このスモールセルアンテナは主に建物の屋上や中低層階の壁面に設置されるのですが、屋上や壁面は設置できる場所が限定されることや街の景観を損ねることから、街中では設置が困難なケースが多いそうです。そこで考えられたのが「ビルの窓ガラスにアンテナをくっつけちゃえ」ということなのでしょう。

ガラスアンテナによる電波放出イメージ

ガラスアンテナによる電波放出イメージ

筆者の拠点となっている青森ではユーザーも少ないのでスマホもビュンビュンなのですが、たまに東京都心に出ると、まあネットワークが混雑していること(笑)。今後東京オリンピックをはじめ、大きなイベントが開催されるにあたってトラヒックを安定させることがますます求められていきます。

さらには、次世代のネットワークとして期待される5Gですが、割り当て周波数が従来のモバイルネットワークに比べて非常に高く、ということは電波の届く距離も短くなりますし、建物の裏などへ回り込みにくくなるはずですね。そのためにこのようなスモールセルの設置が急務なのでしょう。

ガラスアンテナを既存窓に貼付した様子(画像)

ガラスアンテナを既存窓に貼付した様子(画像)

ガラスでほんとに電波が出せるの?と疑問になりますが、新たに開発された「Glass Interface Layer(グラスインターフェイスレイヤー)の効果によって電波の衰弱・反射はしっかりと抑制されているのだそうです。さらには、貼り付けタイプなので工事も簡単なのだそう。

NTTドコモでは、以前「マンホール型の基地局」を開発していることでも話題になりました。これまで「電波は上から」という固定概念を良い意味で壊してくれたアイデアでしたが、それに続くのがこの「窓型基地局」ということになります。もう、ありとあらゆるところから電波が出てくる時代になりそうですね。

インバウンド効果と共に、国際的なイベントを数多く控えているわが国で、観光産業の期待も高まっています。人が多く集まるところには、密な基地局整備が必要になってきますが、景観を損ねずにしっかりとエリアを保管していくことは重要ですね。街並みになじむよう、林の中で茶色く塗装して樹木になじむ基地局を見かけたこともありました。そのうち、青森県にはりんごの樹型基地局とかの登場も期待したいですね。

参考情報

出典:NTTドコモ報道発表資料
https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2018/11/07_00.html

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木暮祐一
1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話関連媒体の立ち上げや執筆などに携わる。2000年にはアスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ編集長を務めた。ケイ・ラボラトリー(現、KLab)を経て2009年に大学教員に転身。2013年より青森公立大学経営経済学部准教授。黎明期からの携帯電話端末コレクションも保有し、その数は1000台以上。株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー
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