「スマート」「IoT」にこだわらない、シャオミの新たな製品展開| 山根康宏のワールドモバイルレポート

新興スマートフォンメーカーのシャオミに勢いが戻ってきた。IDCの調査によると、2017年第4四半期の中国国内のスマートフォン販売数は、1位ファーウェイが2430万台、2位OPPOが2000万台、3位VIVOの1890万台に次ぐ4位につけたのがシャオミの1590万台だった。ちなみにアップルは1490万台で5位だ。

好調なシャオミをけん引するのは、もはや毎月のように発表される新型スマートフォンだけではない。気が付けば100を超えるアイテム数を誇る、アクセサリやIoT製品の豊富なラインナップが消費者の目をシャオミに惹きつけている。シャオミの店に行けばスマートフォンと組み合わせて使うことのできる多数のIoT製品が販売されているのだ。

スマートフォン以外の製品も数多く販売するシャオミの店

スマートフォン以外の製品も数多く販売するシャオミの店

日本の元サンヨーの開発者も加わったスマート炊飯器や、空気汚染のひどい中国の国内事情にマッチしたスマートな空気清浄機、手軽に家電をコントロールできるスマートコンセントなどのスマートホーム製品、そしてシャオミが出資しているナインボット製の立ち乗りスクーターなど、シャオミの店は訪れるだけでも楽しい製品が多数揃っている。そしてそれらの製品はスマートフォンのアプリでコントロールが可能だ。

最近のシャオミの店舗は明るく広い空間を採用しており、まるでアップルストアのようにも見える。しかしiPhoneやiPad、Macを中心に展示しているアップルストアとは異なり、シャオミの店ではIoT製品も所狭しと展示されている。アップルはアクセサリ類は他社製品を積極的に扱っているが、シャオミは自社製品だけでも豊富なラインナップを誇っており、ごく一部を除いて自社製品や協力会社の製品だけを扱っている。

しかも最近では、スマートフォンからコントロールできない、単純な家電製品なども製品ラインナップに加えている。もはやシャオミはスマートフォンを中心としたエコシステムではなく、シャオミのブランドそのものを消費者にアピールしているのだ。

電源タップや乾電池などは、それでもまだITに関係ある製品だ。どちらもスマートフォンから何かできる製品ではない。またつい最近発売された精密ドライバーセットは、100円ショップに売られるような製品とは異なり、ドイツの工具メーカー製でデザインもよい。シャオミの店に立ち寄ったら、ついつい買ってしまいそうな製品だ。

シャオミが出した精密ドライバー。ちょっとほしくなる

シャオミが出した精密ドライバー。ちょっとほしくなる

一方で「8H」ブランドのソファーやベッド、枕などは完全に生活用品として販売されている。シャオミの店はいまや男性がスマートフォンを買い求めに来るのではなく、家族と遊びに来たり、彼女とデートで立ち寄れる、そんなおしゃれな雰囲気の店づくりをしている。女性が立ち寄っても楽しめる、そんな雰囲気を出しているのだ。

鍋やフライパンなども扱っているのは驚きだが、シャオミの店で扱うからこそ売れる製品なのだろう。これらの製品は、もはやブランド抜きにして安ければ売れるものが大半だ。しかしシャオミの店で売ることで、信頼性ある製品と認知され、多少高くとも来客は納得して買っていく。スマートフォンでコントロールできる電磁調理器などとセットで購入する客もいるだろう。

なんと普通の鍋やフライパンなど、調理機器まで売っている

なんと普通の鍋やフライパンなど、調理機器まで売っている

シャオミがスマート家電などのIoT製品を扱い始めた頃は、スマートフォンメーカーから総合的なIoT製品企業への転換を図ろうとしていた。しかし今のシャオミの全製品を見るとIoTというジャンルには全くこだわっていない。シャオミはいまや、消費者の生活全般をサポートする、ライフスタイル提案型の企業へと変革を遂げたと言える。

今では服飾にも手を出しているシャオミ。今後新たな商品展開が考えられるとしたら、有望なものは食品だろうか。生活になくてはならないものの筆頭が食品だからだ。そう考えると次のスマート家電は冷蔵庫だろうか、などという推測もできる。それは将来のドローンを使った食品配達など、新たなサービス展開も視野に入れることもできる。

スマートフォン販売で成長したシャオミに限界が来るのは時間の問題だった。脱・スマートフォン依存を図った目的は苦肉の策だったかもしれないが、今の展開を見る限り製品ラインナップの拡張はうまくいっているようだ。いずれはスマートフォンを扱わない、家具やライフスタイル製品だけを扱うシャオミの店も展開されるだろう。アップルとは違う方向で、消費者の生活の中に入り込むことをシャオミは狙っているのである。

The following two tabs change content below.
山根 康宏

山根 康宏

香港在住15年。海外展示会取材や海外市場調査のため1年の半分を 海外で過ごす。2003年に前職を退職し同年に携帯電話研究家として独立。 香港を拠点にフリーランスの活動を開始する。消費者目線でのコラムやレポートを執筆する他、 コンサルティング活動も行っている。 週アスPLUS『山根博士の海外モバイル通信』、 ITmedia『山根康宏の中国携帯最新事情』、CNET『中国トンデモケータイ図鑑』など、 メディアでの連載多数。 携帯電話をこよなく愛しており、海外出張時は現地端末やプリペイドSIMを必ず購入、 それらのコレクターでもある。 収集した海外携帯電話の台数は約1300台、SIMカードは約500枚(2014年6月時点)。 株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー
IoT品質検証

関連記事

WR171202_01

ランドセルから電話がかけられる!子供の安全を考えた中国のスマートバッグ|山根康宏のワールドモバイルレポート

新学期も始まりこれから小学校にお子さんを通わせる親御さんたちは、日々の通学時の子供の安全が気になっ

記事を読む

大手3事業者はLTEでも激しい加入者獲得合戦を繰り広げるだろう

見えてきた台湾のLTE時代 | 山根康宏のワールドモバイルレポート

国を挙げてWiMAXを次世代高速通信規格として推進していた台湾。そのためLTEの導入は他のアジア各国

記事を読む

160602_006

スマホ減速のシャオミ、アクセサリはトレンド最先端を走る

世界のスマートフォン市場の話題を独り占めした時期もあった中国の新興メーカーXiaomi(シャオミ)。

記事を読む

WR180301_01

月面でもIoTデバイスが使えるようになる、ノキアとボーダフォンの取り組みに注目|山根康宏のワールドモバイルレポート

宇宙旅行が一般消費者の手に届くようになるまではまだまだ時間がかかりそうだ。ヴァージン・ギャ

記事を読む

見た目は普通のスマートフォンなSmart Cast

Lenovoが挑戦するスマホの新たな大画面化|山根康宏のワールドモバイルレポート

年々画面サイズが大型化するスマートフォンだが、片手で持つにはそろそろ限界の大きさに近づいている。だが

記事を読む

MWC2015のLumia640/640XL発表の場でPCやタブレットとのシームレスな動作環境をアピールするMicrosoftのStephen Elop CEO

Windows10登場でスマホ第三のOSはどうなる?|山根康宏のワールドモバイルレポート

AndroidとiOSに続くスマートフォンOSの座を目指して「第三のOS」と呼ばれる各社のOSが製品

記事を読む

Tudouが発売するタブレットはTVユーザーも取り込む

有料動画サービスとタブレットをセットで売るTudouの新しい試み|山根康宏のワールドモバイルレポート

スマートフォンやタブレットでも視聴できる動画配信サービスが花盛りだ。YouTubeに代表される動画共

記事を読む

WR171201_01

急激に盛り上がる中国のスマートスピーカー市場|山根康宏のワールドモバイルレポート

アマゾンとグーグルが2分しているともいえる世界のスマートスピーカー市場。日本でもAmazo

記事を読む

22_02

東京オリンピック時の参考にしたい、シンガポールの無料WiFiサービス | 山根康宏のワールドモバイルレポート

2020年オリンピックの開催地が東京に決まり、これから外国人受け入れのための様々な取り組みが本格的に

記事を読む

WR170602_02

VR空間で細かい操作を可能にできる、新たなハンドコントローラーが登場|山根康宏のワールドモバイルレポート

ゲームやエンターテイメント用途から、教育などへと活用が広がるVR(バーチャルリアリティー)。だが大

記事を読む

ウェブレッジ
  • Facebook
  • Twitter
  • Google+
  • はてなブックマーク
  • RSS
PAGE TOP ↑