IoTを使った学生寮│木暮祐一のぶらり携帯散歩道

公開日: : 最終更新日:2018/04/17 木暮祐一のぶらり携帯散歩道 ,

学びのコミュニティづくりに実績を持つ特定非営利活動法人NEWVERYとスマートホステルなど先進的なIoT事業展開の実績を持つand factory株式会社が共同で、「IoT学生寮」なるプロジェクトを始動したというトピックスが入ってきました。

学生寮…、というと筆者の世代は「男ばかりの汗臭くて体育会系な居住環境と厳しい規律に縛られて息苦しそうな生活」なんかを想像しがちですが、どうも昨今の若者たちの抱く学生寮イメージは異なっているようです。うちの学生たちに尋ねてみても「いつもお友達と一緒でなんだか楽しそう」なんですって。

筆者の大学は青森市郊外にあり、青森県自体も広いので自宅通学できる学生は限られており、一報で大学には学生寮等の施設がないため、大半の学生は大学周辺でアパートや下宿を借りて暮らしているようです。学生寮こそありませんが、下宿では朝夕の食事も出てきて、時間割に合わせた大学までの送迎バスまであったりして、なんだか至れり尽くせりな生活環境でうらやましいなと思ったり。

そして、筆者としてもバンカラなイメージが拭えなかった学生寮が、今やハイカラなものに変わってきているようなのです。NEWVERYは現在、国分寺、荻窪などにチェルシーハウスの名称で3つの学生寮を展開しています。ウェブで拝見する限り「おっしゃれ~」な雰囲気がただよう、管理人付きシェアハウスといった感じの物件を展開しています。

このチェルシーハウスですが、学校外の共同生活における総合的な人間力の向上に主眼を置いた学生寮を運営しています。何より「学生時代に、やりたいことを徹底的に」というコンセプトを掲げ、多様な学生が生活する環境は、自分の興味・関心・価値観を広げるだけではなく、共同生活における対話を通じて、自分自身を深く知る機会でもあるとして、寮生活を通じて多くのことを学び、自身を高めていける暮らしを提案しています。寮内では様々なイベントが開催され他者との暮らしを通じ、内省(自己対話)の機会を持て、こうした体験を通じて未来に貢献する人材を育成しようという狙いです。

実際にこの学生寮には「自分自身を高めたい」、「他人と切磋琢磨し学び合いたい」という意欲ある学生が多く集い、寮内外イベントや社会人メンターの存在を通じて、多様な価値観との関わりから学びを得る機会が設けられ、学生の人間的な成長が促進されているそうです。

チェルシーハウス国分寺(ウェブサイトから転載)

チェルシーハウス国分寺(ウェブサイトから転載)

一方、and factoryは、最新のIoTを日常生活の中に取り入れたUIやUX設計、開発を得意としています。たとえば同社が手掛ける最先端のIoTデバイスを集結させたスマートホステル「&AND HOSTEL」を福岡、浅草、上野に展開しています。自動で鍵が解除され、ドアの開閉と連動し部屋が点灯、等といったスマートハウス体験が可能です。

福岡市にある &AND HOSTEL FUKUOKAのIoT ROOMイメージ

福岡市にある &AND HOSTEL FUKUOKAのIoT ROOMイメージ

&AND HOSTEL FUKUOKAの客室。以前から存在は知ってまして、一度泊まってみたいと考えていました

&AND HOSTEL FUKUOKAの客室。以前から存在は知ってまして、一度泊まってみたいと考えていました

このNEWVERYとand factoryがこのほど、チェルシーハウス国分寺を活用して「IoT学生寮プロジェクト」を始動させました。学生寮における共同生活の課題をIoTによって解決するだけでなく、学生の共同体験を通じてIoT機能やその利用方法を洗練させ、次世代のビジネスを創出することを目的としています。

7種類のデバイスを導入することを検討しており、共有部の混雑状況の可視化をはじめ、キッチンの洗い物忘れや洗濯機使用後の衣類回収忘れの防止の注意喚起や自動での問いかけなど、学生同士がわずらわしさを感じる様々なシーンにおける課題解決にIoTを活用していこうという狙いです。これにより学生寮での共同生活で頻繁に起こる小さなトラブルを抑制するとともに学習や作業効率の向上を図っていくといいます。寮へのIoTシステムの実装は2018年6月を目指しています。

さらに今後は大学などの研究機関やIoTメーカーなどの企業とともにハッカソンやアイディアソンを実施するなど、優秀な学生を育む実践教育の機会、革新的なIoT事業の創出を図ります。

IoT学生寮プロジェクトキックオフミーティングの様子(リリースより)

IoT学生寮プロジェクトキックオフミーティングの様子(リリースより)

NEWVERY 理事長 教育寮事業部長の小崎文恵氏は「チェルシーハウス国分寺では、常駐のハウスマスターがおらず、学生自身が生活の仕組みづくりを自律的に日々模索し、運用しています。共同生活で起こるトラブルとその解決は学びの材料になりますが、問題のすべてと向き合うのは限界があります。本取り組みにより、小さな問題をデジタルが解決し、学生自身はアナログならではの大きな問題解決に注力することで、学生にとっての寮生活がより充実した成長機会となることを期待しています。」とコメントされています。

なるほど、小さい課題はもうICTに任せてしまって、人間はもっと大事なところを考えることに注力しましょうね、ってことなんですね。

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木暮祐一
1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話関連媒体の立ち上げや執筆などに携わる。2000年にはアスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ編集長を務めた。ケイ・ラボラトリー(現、KLab)を経て2009年に大学教員に転身。2013年より青森公立大学経営経済学部准教授。黎明期からの携帯電話端末コレクションも保有し、その数は1000台以上。株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー
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