モニタ搭載が進むスマートスピーカーはこれからスマホ化が進む|山根康宏のワールドモバイルレポート

話しかけるだけで天気やニュースを読み上げてくれたり、家電のコントロールができるスマートスピーカー。Amazon、Googleなどが日本向けにも製品を出す中、AppleのHomePodの上陸にも大きな期待がかかっている。

AppleのHomePodは高音質なスピーカーの搭載や、iPhoneを近づけるだけで設定ができるという簡単操作に大きな特徴がある。手持ちの音楽ライブラリの活用や、Siriを使った音声操作などiPhoneユーザーはこれまでの資産を最大限に有効活用できる。しかしその一方で、本体のサイズは他のスマートスピーカーよりもやや大きい。発表が2017年9月と早く、2018年1月末にようやく発売になったものの、他社はその間に、より小型で値段も安く簡易機能の製品を揃えるなど、スマートスピーカーの一般家庭への普及を本格化させている。

スマートスピーカーは低価格な製品も増えている

スマートスピーカーは低価格な製品も増えている

2018年1月にラスベガスで開催されたCES2018では、スマートスピーカーの高性能化も目に付いた。それはモニタの搭載だ。これまでスマートスピーカーは音声のみの応対に限られた製品だったが、モニタを搭載することで活用範囲は大きく広がる。Amazonはすでに「Echo Show」「Echo Spot」を販売中で、天気予報やニュースなど、音で聞くよりも画面で見たほうが早い情報をその場で表示してくれる。また動画の再生にも対応しておりエンターテイメント用途にも利用できる。

モニタとカメラを内蔵したAmazonのEcho Show

モニタとカメラを内蔵したAmazonのEcho Show

さらにはカメラも内蔵し、Echo Show同士でのビデオチャットにも対応している。もはやEchoシリーズはAIスピーカーと言うカテゴリの製品を超え、コミュニケーションデバイスへと進化しているのだ。Home Podが古臭く見えてしまうほど、Amazonの次の一手への動きは非常に速い。

またGoogleもスマートスピーカーへのモニタ搭載を急いでいる。Google自らが製品を出すのではなく、PCメーカーなどが製品化を行っているのだ。CESで発表されたモニタ搭載型のAIスピーカー「Google Smart Display」はSony、LG、Lenovo、JBLが製品の投入をアナウンス。Sony以外のメーカーから対応製品が展示された。価格は2万円台と高くなるものの、モニタの無いHome Podよりは十分安い。

GoogleはIoTプラットフォームとしてAndroid OSのサブセット版であるAndroid Thingsを提供しており、これらのモニタ内蔵型スマートスピーカーはいずれも同OSを採用。ベースがスマートフォンOSであるため、ディスプレイの表示にも対応している。アプリのインストールには対応していないものの、Googleマップの表示などGoogleサービスにフル対応している。Android Thingsであればハードウェアリソースは低くて済むため、AIスマートスピーカーの開発の敷居も低くなるのである。

ベッドサイドでの利用も便利なGoogle Smart Display

ベッドサイドでの利用も便利なGoogle Smart Display

JBLの「Link View」は音響メーカーらしく、インテリア性も高めたデザインのいい製品だ。またLenovoの「Lenovo Smart Display」はタブレットの横にスピーカーを取り付けたようなデザインで、PCメーカーらしい製品と言える。そしてLGの「ThinQ View WK9」は同社のスマートホームと接続できるなど、家電メーカーの一製品という位置づけになっている。

Google Smart Displayの最初の3製品がそれぞれ特色を持った製品として登場したのは、「円筒型のスマートスピーカーはもう時代遅れ、これからはリビングに設置する家庭用の情報家電の時代」として一般消費者に売り込みたいというGoogleの意向の表れだろう。今後は他のPCメーカー、スマートフォンメーカー、音響メーカーなどからもGoogle Smart Displayが次々に登場するに違いない。

家電連携を得意とするThinQ View WK9など、特徴的な製品が早くも登場

家電連携を得意とするThinQ View WK9など、特徴的な製品が早くも登場

気が付けば家庭の居間やダイニングテーブルには小型のモニタを搭載したスピーカーが設置されているのが当たり前、そんな時代になっているだろう。スマートフォンを使わずとも、Google Smart Displayに向かって話しかけ、画面を見てタッチするだけで日常的な情報の収集や、家族・友人とのコミュニケーションが取れる。Google Smart Displayはスマートスピーカーのスマートフォン化を一気に進めるものになるのだ。そうなると使い勝手の良さで市場を一歩リードしているAmazonも、Googleに対抗するなんらかのアクションを起こす必要性に迫られるだろう。

そして最も気になるのがAppleのこれからの動きだ。HomePodは本体上部にLEDディスプレイを搭載しているものの動画やテキストを表示するものではない。今後スマートスピーカーへのモニタ搭載が一般的になれば、Appleとしても追従せざるを得ないだろう。とはいえiPhoneと同等の機能を内蔵するのはコストが高すぎる。そう考えるとApple Watchのプラットフォームを拡大してスマートスピーカーに小型モニタを搭載する、なんて動きもあるかもしれない。2018年6月に開催されるアップルの今年のデベロッパー向けカンファレンス「WWDC2018」では、新型iPhoneだけではなくHome Pod周りの動きにも注目が必要だろう。

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山根 康宏

山根 康宏

香港在住15年。海外展示会取材や海外市場調査のため1年の半分を 海外で過ごす。2003年に前職を退職し同年に携帯電話研究家として独立。 香港を拠点にフリーランスの活動を開始する。消費者目線でのコラムやレポートを執筆する他、 コンサルティング活動も行っている。 週アスPLUS『山根博士の海外モバイル通信』、 ITmedia『山根康宏の中国携帯最新事情』、CNET『中国トンデモケータイ図鑑』など、 メディアでの連載多数。 携帯電話をこよなく愛しており、海外出張時は現地端末やプリペイドSIMを必ず購入、 それらのコレクターでもある。 収集した海外携帯電話の台数は約1300台、SIMカードは約500枚(2014年6月時点)。 株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー
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