ウェアラブルの次はインプランタブル?! センサー入り錠剤薬が米国で承認|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

ウェアラブルデバイスがさらに進化を続けると、その先には体内で利用する「インプランタブル」なデバイスに発展していくだろうとの見方があります。かつて話題になった、Googleで研究開発を進めてたとされたコンタクトレンズ型デバイスも、言ってみれば「インプランタブル」ですね。

とはいえ、アイデアとしての発想はあっても、なかなか製品化に結び付けるのは容易ではなさそうです。やはり体内にハードウェアを入れるというのは、安全性の面から慎重な検証が行われる必要があり、その上でしかるべき機関の承認を受けなくてはなりません。ここはかなり敷居が高そうです。

そうした中で、大塚製薬と米Proteus Digital Health社が「センサーを内蔵した錠剤薬」を考案し、さる11月13日(米国時間)にこれを用いた服薬管理のためのデジタルメディスン「エビリファイ マイサイト(Abilify MyCite)」の承認をFDA(米国食品医薬品局)から取得したそうです。これは、大塚製薬の抗精神病薬「エビリファイ」の錠剤に、Proteus社が開発した摂取可能な極小センサーを組み込み、パッチ型シグナル検出器および専用アプリと組み合わせて患者の服薬状況を記録するというもの。ようするに薬を飲んだかどうかを自動的に検知して、スマホで管理できるようになります。医薬品と医療機器を一体化して開発されたコンビネーション製品で、世界初のデジタルメディスンとなるそうです。

じつはこの「エビリファイ マイサイト」ては、2016年4月にもFDAに承認申請したものの、この時は承認が下りずに追加データの提出などが求められていたといいます。そこで指摘された課題をクリアして、今回無事に承認を受けることができました。

「エビリファイ マイサイト」に使用される錠剤は、エビリファイの錠剤に摂取可能な極小センサーを組み込んで製造されます。このセンサーは胃液に接するとシグナルを発し、患者の身体に貼り付けたシグナル検出器「マイサイト パッチ」が服薬の日時を記録します。その後センサーは体内で消化・吸収されることなく、安全に体外に排泄されるのだそうです。「マイサイト パッチ」は患者さんの活動量などのデータも記録し、アプリにそのデータを送ります。患者は「マイサイト アプリ」で服薬状況や活動量を確認することができ、気分や睡眠の状況を入力することもできるそうです。また、患者が同意をすれば、家族、医療従事者、介護者もそのデータを確認することができます。

今回、大塚製薬と米Proteus Digital Health社が開発したデジタルメディスンは重篤な精神疾患の患者向けの服用を想定したものとなっており、今後米国において、まずは少数の患者を対象に臨床試験を行い、製品の価値を確認していくということです。しかしいずれ極小センサーが大量生産されることで単価が引き下げられて行けば、応用範囲は広そうですね。たとえば高齢者施設等で入所者への服薬管理は記録も含め大変な手間がかかっています。そうしたところで有用な技術となるのではないでしょうか。

写真はProteus社から引用のイメージ

写真はProteus社から引用のイメージ

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木暮祐一
1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話関連媒体の立ち上げや執筆などに携わる。2000年にはアスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ編集長を務めた。ケイ・ラボラトリー(現、KLab)を経て2009年に大学教員に転身。2013年より青森公立大学経営経済学部准教授。黎明期からの携帯電話端末コレクションも保有し、その数は1000台以上。株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー
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