自動走行に必須となる「みちびき」|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

2月21日に掲載したこちらのコラムでもご紹介した準天頂衛星システム「みちびき」ですが、さる10月10日にその4号機が打ち上げられ、予定の軌道に投入されました。
日本の民間のサービスにおける位置情報測位というと、これまで米国にGPS(グローバル・ポジショニング・システム)に頼ってきたわけですが、より高い精度で位置情報を活用できる日本独自の衛星測位システムがいよいよ本格的に稼動できる体制になりました。

「みちびき」は、日本の天頂付近で4機の衛星が順にゆっくりと周回していくシステムで、GPSでは「数メートル」だった誤差が、みちびきでは「数センチ」まで正確性を高められます。
2010年9月に初号機が打ち上げられ、実証実験が繰り返されてきましたが、追加となる3機が本年に入ってから打ち上げられ、10月10日に打ち上げられた4機目をもって測位体制が整ったことになります。10月10日といえば、北朝鮮がまたミサイルを打ち上げるのではないかと囁かれ、朝からまたJアラートが鳴るのではとソワソワしていましたが、一転し日本からの衛星打ち上げ成功のニュースという朗報が流れてきました。

「GNSS View」というアプリを使うと見たい場所・時間の衛星配置を簡単に表示できます

「GNSS View」というアプリを使うと見たい場所・時間の衛星配置を簡単に表示できます

じつは、この準天頂衛星システム「みちびき」で期待されているのが、自動車等の自動走行をめぐる実用的なサービスの開発です。すでにレベル2(責任の所在はドライバー)の自動走行車が国内にも多数走り出していますが、レベル3(車自体が制御しドライバーは緊急時に対応、あるいは関与しないシステム)以上の自動走行を実現させるためには、より精度の高い位置情報システムが利用できれば、その安全性は一段と高いものにすることができます。「みちびき」が期待されているところはまさにここなのです。

自動走行というと、まだまだ一般の方に認知が少ないようですが、たとえば自動走行バスなどの実証実験が各地で始まっています。
2017年6月にはソフトバンクグループのSBドライブが沖縄県石垣島で自動走行バスの実証実験を行っていますが、縁石までわずか4cm程度の距離で、正確にバス停に停車できたそうです。車体と縁石の間が開いてしまうと、とくにシニアの方や、車椅子などでの乗車がしづらくなってしまいます。
この実証実験では位置情報の利用のほか、周囲の状況を検知できるセンサー類などを組み合わせて運行させているわけですが、「みちびき」の活用を含む位置情報の活用は、今後の自動走行技術の発展に一段と寄与していくことでしょう。

人の輸送のための自動走行だけでなく、農耕機の自動制御による生産性の向上などにも期待が寄せられています。
北海道岩見沢市では、農業分野におけるICT利活用に関わる様々なトライアルを実施してきましたが、その中にトラクターの自動走行をめぐる実証実験も行われてきました。広大な農地を無人のトラクターが正確に耕していく光景は圧巻です。トラクターがまるでロボットのように耕作地を動き回るのです。正確な自動走行に、ここでも位置情報の活用が欠かせません。まさに「みちびき」を利用した高精度な位置情報が生産性をより高めることになるのでしょう。

<動画>北海道岩見沢市で実証実験が進むトラクターの自動操舵

本年開催された東京モーターショーでも、最も注目されたのが自動走行に関わる各社の取り組みでしたが、「みちびき」も4機体制となったことで、2020年に向けて今後は自動走行をめぐるトピックが一段と増えていくことでしょう。

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木暮祐一
1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話関連媒体の立ち上げや執筆などに携わる。2000年にはアスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ編集長を務めた。ケイ・ラボラトリー(現、KLab)を経て2009年に大学教員に転身。2013年より青森公立大学経営経済学部准教授。黎明期からの携帯電話端末コレクションも保有し、その数は1000台以上。株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー

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