通信キャリアがLINEのスピーカー「WAVE」を売る時代がやってくる|山根康宏のワールドモバイルレポート

公開日: : 最終更新日:2017/10/24 山根康宏のワールドモバイルレポート ,

2017年のIT業界の大きな流れと言えば、音声でコントロールができるスマートスピーカーの急激な普及だろう。1月にラスベガスで開催されたCES2017ではAmazon Alexa対応製品が続々と登場。それから半年以上たった9月にベルリンで開催されたIFA2017では、右も左も「Alexa対応」が当たり前になっていた。スマートフォンから家電をコントロールできるスマートホームの業界も、数年前までは自社製品で囲い込もうと様々なプロトコルが登場した。しかしそれも今や異なるアライアンスが統合してOCF(Open Connectivity Foundation)に一本化されつつある。

スマート家電の業界もOCFに一本化。家電が相互に繋がる時代がやってきた

スマート家電の業界もOCFに一本化。家電が相互に繋がる時代がやってきた

そのスマート家電をコントロールする手段として、スマートフォンに変わって登場してきたのがスマートスピーカーだ。2017年秋時点ではAmazon Alexaが一歩も二歩も他社をリードしており、同社のスピーカー「Amazon Echo」が各家電メーカーのスマート家電の横に一緒に展示される光景も珍しくないものになっている。その後を追いかけているのがGoogleで、Google Assistantに対応するスピーカー「Google Home」も存在感を高めつつある。今のところこの2つの製品が音声コントロール市場での覇権争いを繰り広げそうだ。

スマートスピーカーをつかえばネットから様々な情報を音声で取り出すことができる。またショッピングをしたり、対応するスマート家電をコントロールすることも可能だ。「スタバに朝8時に立ち寄るからコーヒーを注文」「わかりました、いつものコーヒーですね」といった具合に、まるで本物のアシスタントと会話するように指示を出すことも出来るのだ。

IFA2017では至る所に「Amazon Alexa」の表示。Alexa非対応ではスマート家電とはいえない、そんなイメージだ

IFA2017では至る所に「Amazon Alexa」の表示。Alexa非対応ではスマート家電とはいえない、そんなイメージだ

今のところAmazon EchoもGoogle Homeも、それぞれインターネットへ接続して利用する。スマート家電なども同様にネットワークへ接続される必要がある。つまりコントロールできる家電類は、同じネットにつながっているものに限られる。そのため、たとえばスマートフォンを操作して電話をかけることはできない。

ところがこれらのスマートスピーカーを、直接携帯電話回線に接続するソリューションをEricssonが開発中だ。同社の「Digital Assistants in the carrier network」と呼ぶシステムは、Amazon EchoやGoogle Homeを直接携帯電話ネットワークへ接続させるというもの。それぞれの機器はAmazon、Googleのクラウドから通信キャリアのネットワークへと直接アクセスできる。これによりスマートスピーカーは携帯電話回線に接続されているスマートフォンやタブレットのように操作が出来るようになるのだ。

Ericssonが開発中のソリューションは、スマートスピーカーを直接携帯電話ネットワークへ接続させる

Ericssonが開発中のソリューションは、スマートスピーカーを直接携帯電話ネットワークへ接続させる

たとえばAmazon Echoに対して「新着メッセージを読んで」と語りかけると、自分のスマートフォンに届いているメッセージをEchoが読み上げてくれるのだ。さらには「では返信して。『ちょっと遅れるから先にお店に入っていて』」と語り掛ければ、スマートフォンからそのメッセージを直接送信してくれるのだ。

もちろんこの手の操作はスマートフォンのアプリを使えば同等のことも出来るだろう。だが直接携帯ネットワークにつながっているため、スマートフォン用のアプリと言ったものがそもそも不要なのである。「XXさんに電話をかけて」とAmazon Echoに話しかければ、スマートフォンの画面で通話アプリが立ち上がって自動的に電話をかけてくれる。スマートフォンを手に取って操作する代わりに、音声操作をAmazon Echo経由でダイレクトに行うことができるのだ。つまりAmazon EchoやGoogle Homeをスマートフォンにワイヤレスでつながっているマイク・スピーカーとして使うことができるのである。

携帯ネットワークにつながったスマートスピーカーは、アプリ不要でスマートフォンを操作できる

携帯ネットワークにつながったスマートスピーカーは、アプリ不要でスマートフォンを操作できる

Ericssonがこのソリューションを開発する目的は、通信キャリアに新たなビジネスチャンスを提供するためだ。スマートスピーカーがスマートフォンやタブレットとシームレスにつながれば、携帯電話キャリアがスマートスピーカーを販売し、付加価値を付けた料金プランを提供することも出来る。スマートスピーカーは家庭内でネットにつながるデバイスであるだけではなく、スマートフォンの周辺機器にもなるのである。

このソリューションは各スマートスピーカーのクラウドから携帯電話回線へと接続させるため、AmazonやGoogle以外のシステムとの接続も可能になる。例えばLINEのスマートスピーカー「WAVE」を使って、スマートフォンを操作することも可能になるだろう。数年後にはスマートスピーカーはネットや家電店で買うだけではなく、ドコモなどの店で「スマートフォンとセットでキャンペーン販売中」といったプロモーションが見られるようになるかもしれない。スマートスピーカーの機能拡張は、これからまだまだ目が離せないものになるだろう。

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山根 康宏

山根 康宏

香港在住15年。海外展示会取材や海外市場調査のため1年の半分を 海外で過ごす。2003年に前職を退職し同年に携帯電話研究家として独立。 香港を拠点にフリーランスの活動を開始する。消費者目線でのコラムやレポートを執筆する他、 コンサルティング活動も行っている。 週アスPLUS『山根博士の海外モバイル通信』、 ITmedia『山根康宏の中国携帯最新事情』、CNET『中国トンデモケータイ図鑑』など、 メディアでの連載多数。 携帯電話をこよなく愛しており、海外出張時は現地端末やプリペイドSIMを必ず購入、 それらのコレクターでもある。 収集した海外携帯電話の台数は約1300台、SIMカードは約500枚(2014年6月時点)。 株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー
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