Lenovoが狙う、スマート家電|山根康宏のワールドモバイルレポート

アマゾンの音声アシスタント「Alexa」の普及が広がるにつれ、スマート家電への注目が高まりそうだ。従来であれば家電をコントロールするためにはスマートフォンが必要であり、アプリを使って操作する必要があった。しかしAlexaならばスマートフォン不要で、アマゾンが販売するスピーカー「Echo」に話しかけることで様々な操作が出来る。Alexaでコントロールできる家電なら、例えば「エアコンの温度を28度に設定して」と言えばいいわけだ。

このスマートスピーカー分野にはAlexa互換製品をソニーやパナソニックなど日本の家電メーカーも相次いで製品を投入。アマゾンのEchoも年内の日本販売が決まったところだ。Echoが日本で発売になりAlexaが様々なシーンで利用できるようになれば、Alexa互換スピーカー市場も急速に広がっていくだろう。

レノボのスマートスピーカー。タブレット装着型も発表している

レノボのスマートスピーカー。タブレット装着型も発表している

PCメーカーのレノボもAlexa互換のスマートスピーカーを今年発表している。スマートホームの中心に自社製品を使ってもらい、そこから自社のPCやスマートフォンとの連携も模索したいところだろう。

その一方でレノボそのものもスマート家電製品分野に進出している。それはレノボ本体ではなく、子会社のMedionの製品だ。

MedionはドイツのPCメーカーで、2011年にレノボが買収した。IBMから買収したPC部門のThinkPadのように、MedionブランドのPCやスマートフォンも引き続き販売している。そのMedionは家庭用のスマートソリューション製品を数多く出しており、ドイツなどヨーロッパで販売しているのだ。

レノボの子会社のMedion。PCやスマートフォンのみならず、スマート家電も展開中

レノボの子会社のMedion。PCやスマートフォンのみならず、スマート家電も展開中

Medionのスマートホーム製品は、ホームゲートウェイにWi-FiやBluetoothで接続する動作感知器、煙感知器、ドアの開閉感知器、窓の振動検知器などといったセキュリティー製品を中心とした展開をしている。窓振動は窓ガラスが割られたときにアラートをスマートフォンアプリへと送信してくれるわけだ。IPカメラもラインナップにあるため、外出中にスマートフォンに警告が来たとき、IPカメラをONにして家庭内の状況を確認することも出来る。

またスマートライトやスマートプラグも提供。スマートフォンのアプリからライトのON/OFFや、プラグに電源コードを繋いだ家電のON/OFFもできる。いずれの製品もスターターキットとしても販売されており、家電店でパッケージを購入した後は、家庭内の電球を交換したりドアにセンサーを取り付けたりするだけで自宅のスマート化が完了するのだ。

Medionのスマートセキュリティー機器。スマートフォンからドア感知などを監視できる

Medionのスマートセキュリティー機器。スマートフォンからドア感知などを監視できる

いまやこの手のスマートソリューションを提供するメーカーは多く、類似の製品は多数販売されている。そこでMedionは他社には無い製品を開発中だ。それは7インチのタブレットを内蔵したキッチンミキサー。PCメーカーらしい製品とも言えるだろう。

Medionは実は電子レンジなどキッチン家電も販売している。普通の家庭用ミキサーも販売しているが、そのミキサーにタブレットを内蔵した製品を開発したのだ。タブレットはAndroidで動作。本体のミキサーの回転数や時間、また温度をタブレット画面からコントロールできる。またレシピをダウンロードし、そこからミキサーの調理時間をセットすることもできる。

PCメーカーらしいスマートミキサー。タブレットを内蔵したミキサーだ

PCメーカーらしいスマートミキサー。タブレットを内蔵したミキサーだ

レシピは動画になっているので、ミキサーに材料を入れつつ、そのまま画面で調理方法を見ることもできるのだ。スマートフォン片手でも同じことができるようだが、調理中は手がふさがりがちでスマートフォンをタッチするのは面倒なもの。ミキサー本体にTVのようにタブレットの画面があれば操作もしやすい。

このスマートミキサーは来年にも販売される予定だという。恐らく今後は電子レンジなど他の製品のスマート化も進むだろう。タブレット画面が搭載された電子レンジがもしも出てきたら、大きな話題にもなりそうだ。

レシピを動画で確認。これは意外と便利

レシピを動画で確認。これは意外と便利

現在、Medionのスマート家電は独自のプロトコルで動作しており、自社アプリでのみコントロールできる。だが業界全体がスマート家電の互換性を重視する方向に動いており、Alexaへの対応も急速に進んでいる。Medionのスマート家電、そしてこのスマートミキサーも、いずれAlexaからコントロールできるようになるだろう。

そうなれば、レノボのAlexa互換スマートスピーカーと、スマートプラグをセット販売する、というビジネスもやがて可能になるだろう。スマートホームと言っても難しいことは考えずに、家電の電源ON/OFF、ライトのON/OFFだけでもスマートフォンでコントロールできればとても便利だ。

子会社がスマート家電を開発し、本体がスマートスピーカーを開発しているレノボ。この両者がタッグを組めばIoTソリューションを展開するメーカーとして面白い存在になるかもしれない。レノボの動きはもちろんのこと、Medionのスマート製品の展開にも注目しておきたいところだ。

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山根 康宏

山根 康宏

香港在住15年。海外展示会取材や海外市場調査のため1年の半分を 海外で過ごす。2003年に前職を退職し同年に携帯電話研究家として独立。 香港を拠点にフリーランスの活動を開始する。消費者目線でのコラムやレポートを執筆する他、 コンサルティング活動も行っている。 週アスPLUS『山根博士の海外モバイル通信』、 ITmedia『山根康宏の中国携帯最新事情』、CNET『中国トンデモケータイ図鑑』など、 メディアでの連載多数。 携帯電話をこよなく愛しており、海外出張時は現地端末やプリペイドSIMを必ず購入、 それらのコレクターでもある。 収集した海外携帯電話の台数は約1300台、SIMカードは約500枚(2014年6月時点)。 株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー
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