スマホを通じて診療、2018年にはさらに加速か|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

公開日: : 最終更新日:2017/10/17 木暮祐一のぶらり携帯散歩道 , ,

昨年あたりから、スマホを使った医療サービス(医師による遠隔診療など)が多数市場に登場してきました。医療行為は対面を原則とするという法律(医師法20条)があったため、医療の世界では通信を通じた遠隔診療は比較的消極的でした。ところが2015年8月に、この医師法20条の定めは現代において通信を通じた擬似対面を否定するものではないといった解釈を厚生労働省が通知したことから、事実上の遠隔診療の解禁とみなされ様々なベンダーが遠隔医療ツールを提供するようになりました。

代表的なものが、株式会社メドレーが提供するスマホ通院アプリ「CLINICS」。すでにアプリには全国の多数の医療機関が登録されており、最初の診療に関しては対面での受診が必要となりますが、その後の通院はオンラインでも可能と医師が判断した場合は、このアプリを通じて診療予約をし、ビデオ通話で医師の診察を受け、薬や処方箋は宅配で届けられるという仕組みになっています。

スマホを通じて診察を受けられる時代の到来です

スマホを通じて診察を受けられる時代の到来です

このCLINICSのように、これまで登場した遠隔診療サービスの多くは、対応した医療機関をポータル化させたようなアプリが大半で、医療機関はそれらアプリの仕様や条件にしたがって、アプリの中にある一医院としてリストに並ぶような形で医療サービスを提供するというものでした。一方で、医療機関自身が独自に自院のウェブサイト等を通じて遠隔診療を提供したいというケースも少なくないはずで、こうした医療機関向けに簡単に遠隔診療に対応できる機能を追加できるよう支援するソリューションが登場するようになりました。

たとえば、ビデオ通信を活用したサービスモデルの設計やコンサルティング、リアルタイム・コミュニケーションプラットフォームの開発等を手がけてきたスピンシェル株式会社は、医療機関向けに「LiveCallヘルスケア」という遠隔診療プラットフォームを提供中です。

これは、同社の強みである高品質ビデオ通話を軸にして、遠隔診療に付随する診療予約受付や決済、薬や処方箋などの配送などの機能をパッケージ化したもので、ある程度ICTリテラシーの高い医療機関であれば容易に自院で遠隔診療サービスの提供が開始できるものとなっています。

「LiveCallヘルスケア」イメージ画面。ウェブ上の医院のロゴや写真は変更でき、またパソコン、タブレット、スマホの画面に合わせて最適に表示される

「LiveCallヘルスケア」イメージ画面。ウェブ上の医院のロゴや写真は変更でき、またパソコン、タブレット、スマホの画面に合わせて最適に表示される

これまで医療機関が遠隔診療システムを導入しようと思っていても、実際に遠隔診療を提供するまでには、 セキュリティの高い専用のウェブサイトを構築し、遠隔診療を受診する患者向けにも診療内容の詳細や動作環境の案内を説明するなどの手間もかかり、準備から導入後に至るまで多くの時間やコストがかかっていましたが、こうした専門領域に特化したCMS的なサービスを利用することで、遠隔診療を初めて導入する医療機関でも、コストと手間をかけずにスピーディーに遠隔診療を患者に提供できるようになりました。

このように遠隔診療の導入を容易にするICTツールが多数登場し、通信を通じた診療の敷居がだいぶ下がってはきましたが、医療機関にとってはもう一つ大きな課題があります。

それは遠隔診療の場合は対面での診療と比べた場合、診療報酬が低額にとどまってしまうということ。現状の診療報酬が遠隔診療に対応したものになっていないため、遠隔診療で請求できる医療費の内容に制約が生じてしまうのです。これが医療機関が遠隔診療に消極的な理由の一つにもなっていました。

こうした事情を受けて、安倍晋三首相は4月14日の第7回未来投資会議において「対面診療とオンラインでの遠隔診療を組み合わせた新しい医療を次の診療報酬改定でしっかり評価する」と明言し、2018年度診療報酬改定時に見直しを行う意向があるという発言をしています。この診療報酬改定でプラス改定となった場合、いよいよ本格的に遠隔診療を導入する医療機関が増えるのではないかと言われています。

The following two tabs change content below.
木暮祐一
1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話関連媒体の立ち上げや執筆などに携わる。2000年にはアスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ編集長を務めた。ケイ・ラボラトリー(現、KLab)を経て2009年に大学教員に転身。2013年より青森公立大学経営経済学部准教授。黎明期からの携帯電話端末コレクションも保有し、その数は1000台以上。株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー

関連記事

PH01

みんな貯め込んでない? 使わない携帯・スマホ|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

ゲオは8月22日に、現在使わず自宅に保管されている携帯電話(これを「埋蔵携帯」と名付けてま

記事を読む

pic01

時間貸駐車場の満空をIoTしちゃった「Smart Park」|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

このほど時間貸駐車場を簡単に検索できるアプリ「Smart Park」というものがリリースされました。

記事を読む

いよいよ発売開始されるApple Watch(Apple Webサイトより)

子どものうちにウェアラブル洗脳せよ?!|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

このところ、ウェアラブルやIoTに関するテーマについてディスカッションする機会が増えています。ウェア

記事を読む

20170727-10

ルンバがスマートホームの監視役になる?! |木暮祐一のぶらり携帯散歩道

スマートホームのブームに乗って、宅内のセンシングに注目が集まっていますが、ここに来て最も注目され

記事を読む

「マイマガジン」のタブの中に設定したキーワードが並び、それをタップするとキーワードに引っかかった最新ニュースがずらり

世界のニュースもキャッチ! 『ニューススイート』|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

若者たちのニュースソースといえば、もはやスマホによるニュース閲覧が圧倒的です。「新聞も読みなさいね」

記事を読む

筆者のセレクトは「OCN モバイル ONE 050 plus付き」(50MB/日パッケージですが、10月1日より70MBまで使えるようになりました)。これをSIMフリーのiPhone 5で運用しています。

MVNOのデータ通信用SIMが熱い戦いを繰り広げているぞ|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

3キャリアが新料金プランへ移行しつつありますが、基本使用料がスマホの場合で2,700円(さらにISP

記事を読む

各通信事業者別割当周波数帯域と帯域幅。ピンクの部分はiPhone 6s/6s Plusで利用可能な周波数帯域。赤線はキャリアアグリゲーションでの組合せパターン(各種情報をもとに筆者作成)

iPhone 6s/6s Plusのネットワーク対応に頭を抱える各キャリア|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

毎年恒例の行事として定着しているiPhoneのモデルチェンジ。今年もほぼ想定どおりにコトが進んで、i

記事を読む

モバイルコンテンツ市場規模(出典:MCF)

まだまだ成長を続けるモバイルコンテンツ市場|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

さる8月24日、モバイルコンテンツ配信事業を行う企業が参加する業界団体・一般社団法人モバイル・コンテ

記事を読む

ロボットが家族になる日は本当に来るのか?!

ソフトバンクPepper、開封の儀|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

わが国では、スマートデバイスといってもその大半はいわゆる「スマホ」が流通しているのみでした。「IoT

記事を読む

001

グループの屋外活動に便利な「Life360」|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

放任主義の筆者は、大学のゼミでも学生主体の自主運営を推奨しております。そんななか、ゼミ3年生からフィ

記事を読む

  • Facebook
  • Twitter
  • Google+
  • はてなブックマーク
  • RSS
  • Feedly
PAGE TOP ↑