欧州で見つけたシニア向けスマホ|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

先だって出張したドイツの家電量販店で見かけたユニークなスマホ第一弾! これはどうもシニア向けスマホのようです。シンプルなデザインながらも、何か日本のメーカーが作るシニア向けスマホとは一線を画したセンスが光りませんか?!

フリップを閉じればケータイに

ドイツに出張した際、家電量販店のスマートフォンコーナーを眺めていたところ、iPhoneだのサムスンだの、日本でも見慣れた端末がずらりと並ぶ先で突然、目に飛び込んできた端末がこれです。全面タッチパネルながら極めてシンプルなインターフェース。明らかにシニア向けスマホですね。

携帯電話コーナーとスマートフォンコーナーの間で発見

携帯電話コーナーとスマートフォンコーナーの間で発見

トップに並んでいるアイコンは通話とメール、画像フォルダ、それに操作説明(?)と思われるインフォメーションアイコンのみ。またハードウェアとしてのボタンを見ると、端末前面にホームボタンのほか、その左右には音声通話のオンフックとオフフックボタンが見えます。なるほど、シニアがスマホに移行して真っ先に戸惑うのはこのボタンが無いことなんでしょうね。それを分かっていますね、このメーカー。

そして、最大の特徴が数字キーが並んだフリップが付いていることです。日本メーカーモデルでもこうしたギミックを持った製品はありましたが、それらすべてはいわば「ハードフリップ」。ちゃんとプラスチック成型されボタンが埋め込まれた製造コストが掛かっていそうなフリップのモデルがほとんどだと思うのですが、この端末のフリップは「ソフトフリップ」とでもいうのでしょうか、合皮のような柔らかい素材で、ボタン面も表面に凹凸加工して数字や文字を印刷しただけのような構造なのです。フリップというより数字キーらしきものがついたカバーのような感じです。

フリップを閉じると普通の携帯電話のように使えます

フリップを閉じると普通の携帯電話のように使えます

そのフリップがこのとおりソフトな感じ

そのフリップがこのとおりソフトな感じ

でもフリップを閉じた写真をご覧いただくと分かるように、端末がフリップの開閉を判断し、表示されるディスプレイ部の表示内容をちゃんと切り替えています。閉じれば音声通話端末代わりに便利に使えるというわけですね。

製造メーカーは「emporia」。検索してみると、オーストリアの会社のようです。そして一貫してユニバーサルデザインのシンプルな携帯電話を製造してきたようです。そして最新端末がこのシンプルスマホ。Webを見る限り、センスが光るヨーロピアンなテイストの端末を多数製造してきているようです。で、この端末のスペックを見ると、これでもOSはAndroid 4.4を搭載したスマートフォン。機能設定画面など詳細までレビューしてくる時間が無かったのですが、メーカーのWebを見るとプリインアプリ以外のアプリの追加も可能のようです。

シニア層のリテラシー底上げが必要

わが国にもシニア用のスマホラインアップはありますが、販売で苦戦しているという話も聞きます。「従来のシニア向け携帯電話で十分」というような声も聞こえてきますが、今やモバイルを使ったコミュニケーション手段は大きく変化を遂げている最中です。たとえば、昨今の大学生に聞くと「友達の電話番号など知らない」という人が多いのです。つまり、友達とのコミュニケーションはLINEやTwitterなどのSNSアプリを使った手段がもはや主流で、LINEを使えばそのまま通話もできるので、もはや「電話番号」を使った音声通話など不要だということのようです。音声通話機能は110番や119番を掛けるとか、大学から呼び出されるとき、アルバイト先に掛けたり呼び出されたりといった緊急手段であったり、就職活動などで対外的な人たちとSNS以外の手段で連絡を取る時の特別なものなのです。

それが良しとは言いませんが、多くの人たちが日常的に活用するコミュニケーション手段を手にしている必要はあります。だからこそ、シニアの皆さんがいつまでもシニア向け携帯電話で音声通話やキャリアメールだけでコミュニケーションを済ませてしまうのは、広がりが無くてもったいないと感じます。そうしたシニアの皆さんに、ぜひスマホへステップアップしてもらいたいと考えます。わが国のシニア向けスマホは、ユーザーの「ステップアップ」につながるかちょっと疑問です。このemporiaがステップアップ用端末になるかどうか分かりませんが、まずはフリップを閉じた状態で従来型の携帯電話として活用してもらいつつ、フリップを開いてメールを読み書きすることでタッチパネル操作にも慣れ、その先にアプリの活用へという流れにつなげられそうな気がしました。

そんなことを書きながら、よくよく考えると筆者は逆に歳を重ねるほどスマホで使う機能がだんだんシンプルになってきてます(笑) 毎日、何のアプリを使っているかなと思い返せば、最近は、メールとSNS、カメラと画像フォルダぐらいだな(笑)。

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木暮祐一
1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話関連媒体の立ち上げや執筆などに携わる。2000年にはアスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ編集長を務めた。ケイ・ラボラトリー(現、KLab)を経て2009年に大学教員に転身。2013年より青森公立大学経営経済学部准教授。黎明期からの携帯電話端末コレクションも保有し、その数は1000台以上。株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー

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