360度カメラも手軽に持ち運ぼう!いつでも全天風景が撮影できるBEON|山根康宏のワールドモバイルレポート

自分の身の回りを360度撮影できる「全天球カメラ」。以前ならPC画面だけで楽しめるものだったが、最近はFacebookやLINEなどのSNSがタイムラインでの再生をサポート、またVRゴーグルが出てきたおかげで、頭を動かすだけで自分の周りを360度見渡すように風景を見ることができるようになった。VRグラスと360度撮影された画像を組み合わせて、ちょっとした旅行体験を行うデモもよく見られるようになっている。

だが360度カメラを持ち運んで使おうと思うと、これが意外に面倒だ。最初に製品を出したリコーの「THETA」シリーズはスティック型で、ポケットにいれて持ち運びやすくしている。撮影するときは手のひらに棒を持つように握り、頭の上にTHETAを出して360度の撮影が可能だ。ただし机の上で撮影したい時は、三脚が必要になる。

またサムスンが本格的な360度カメラとして昨年販売を開始した「Gear 360」はコンパクトに折り畳める三脚が付属し、手で持つときのグリップになるだけではなく、机の上に置いても手軽に360度撮影が出来る。THETAの短所をうまくカバーした製品だが、球形の本体はサイズ感があるので、持ち運びしにくいという欠点がある。

全天球カメラを腕時計型にしたBEON

全天球カメラを腕時計型にしたBEON

いつでもどこでも360度撮影をさっとできる、そんな手軽に使える全天球カメラを実現するために登場したのが「BEON」だ。アイディアは簡単。半円の全天球カメラを腕時計のようにリストバンドに取り付けた製品なのである。片面のみ、180度の撮影となるが、日常の風景撮影や室内での様子を写すならこれでも十分だろう。

BEONはやや大きめの腕時計といった形状だが、腕にはめたままで即座に撮影ができる。AndroidとiOSアプリもあり、スマートフォンからは撮影中の動画をストリーミングで確認することもできる。カメラ部分は全天球の180度撮影だけではなく、横に広いパノラマ撮影、また普通のカメラとして長方形の画像の撮影も可能だ。自分一人や友人、あるいは恋人と2人で腕にはめたBEONを見つめて撮影すれば、セルフィーも撮れるのである。

スマートフォンアプリから操作可能

スマートフォンアプリから操作可能

また豊富なアタッチメントも用意されており、BEON本体をリストバンドから外し、自転車やヘルメットに取り付けることも可能だ。アクションカメラのように利用することができ、しかも本体は生活防水に対応しているため多少の雨の中でも使うことができる。本格的な屋外利用用に、防水ケースも販売される予定である。

そして電池は1回の充電で4日間の利用が可能とのこと。撮影枚数は不明だが、充電台に置くだけの充電も可能なので、電池が切れてしまってからの再充電も簡単そうだ。

この手の製品はとにかく珍しさが売りであり、スタートアップ企業が発表するものは実用性が今一つと言うものも多い。その点でTHETAとGear 360は画質も良い上に使い勝手も高く、さすがは大手メーカーの製品とうならせてくれるものがある。しかし今の時代、撮りたいと思った瞬間に撮影し、それをSNSで即座にシェアできなければ、せっかく買ったガジェットもだんだんと使わなくなってしまいがちだ。

防水ケースを付ければ水中撮影も出来そうだ

防水ケースを付ければ水中撮影も出来そうだ

BEONはカメラとして使わないときは時間を表示してくれるので、大きめの腕時計としても使うことができる。そして面白いシーンに出会ったときや、仲間たちと楽しい時間を過ごしている時に、すぐにその場で全天球の写真や動画を撮影することができるのである。この手軽さは、「カバンの中からデジカメを出すのは面倒、手に持っているスマートフォンですぐに写真を撮影する」感覚と同じものだ。360度カメラを買っても、結局はデジカメと一緒でカバンの中の肥やしになってしまう場合が多いだろう。だが常に腕にはめているBEONならば、その心配も無い。

とはいえ360度撮影はまだまだメジャーなものにはなっていない。スマートフォンにアタッチする360度カメラが出てきたり、360度カメラを内蔵するスマートフォンを中国メーカーが開発したりしているものの、一般の消費者が気軽に買おうと思う製品にはなっていない。

全天球カメラは撮った後をどう楽しむかが普及の鍵になるだろう

全天球カメラは撮った後をどう楽しむかが普及の鍵になるだろう

BEONも腕時計型デバイスを出すだけではなく、単体で使えるVRグラスや、撮影した全天球写真をシェアしあえるコミュニティーを提供するなど、全天球撮影の楽しさを広げていく必要があるだろう。本体価格はクラウドファウンディングの早期出資で99ドルと、かなり安く提供される予定だ。撮影した後でどう楽しむか、体験の共有の場を広げることがこの手の製品の普及を左右するものになるだろう。

The following two tabs change content below.
山根 康宏

山根 康宏

香港在住15年。海外展示会取材や海外市場調査のため1年の半分を 海外で過ごす。2003年に前職を退職し同年に携帯電話研究家として独立。 香港を拠点にフリーランスの活動を開始する。消費者目線でのコラムやレポートを執筆する他、 コンサルティング活動も行っている。 週アスPLUS『山根博士の海外モバイル通信』、 ITmedia『山根康宏の中国携帯最新事情』、CNET『中国トンデモケータイ図鑑』など、 メディアでの連載多数。 携帯電話をこよなく愛しており、海外出張時は現地端末やプリペイドSIMを必ず購入、 それらのコレクターでもある。 収集した海外携帯電話の台数は約1300台、SIMカードは約500枚(2014年6月時点)。 株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー
IoT品質検証

関連記事

この原稿、JAL SKY NEXT(機内Wi-Fiサービス)対応機で空の上で書いてます。有料とはいえ、航空機上からインターネットが利用できるのは便利ですね

原稿はタブレットで書くからこそ面白い?!|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

先だって、「ハイパーメディアクリエイター」という肩書きでご著名な高城剛さんと対談させていただく機会が

記事を読む

中国の家電展示会のHaierブース。1ホールのほぼ全てを1社で利用している

家電とスマホの連携は常識?中国の家電展示会に見るスマート家電|山根康宏のワールドモバイルレポート

Wi-FiやBluetoothを内蔵しルーターなどを経由しスマートフォンと接続できるスマート家電の数

記事を読む

大手3事業者はLTEでも激しい加入者獲得合戦を繰り広げるだろう

見えてきた台湾のLTE時代 | 山根康宏のワールドモバイルレポート

国を挙げてWiMAXを次世代高速通信規格として推進していた台湾。そのためLTEの導入は他のアジア各国

記事を読む

161101_04

低価格化とファッション化でウェアラブルデバイスにも本腰を入れるファーウェイ|山根康宏のワールドモバイルレポート

スマートフォンシェアで世界3位につけているファーウェイの進撃が止まらない。2016年9月にセルフィー

記事を読む

WR171101_02

モニタ搭載が進むスマートスピーカーはこれからスマホ化が進む|山根康宏のワールドモバイルレポート

話しかけるだけで天気やニュースを読み上げてくれたり、家電のコントロールができるスマートスピーカー。

記事を読む

付属のイス型卓上ホルダー。こんな感じに腰かけさせて充電

ロボホンがホームステイにやってきた|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

さる5月26日に発売された、シャープのロボット型携帯電話「RoBoHoN(ロボホン)」。大変気になっ

記事を読む

VoLTEによる音声通話の音声周波数帯域は50Hz~7kHz。低音域から高音域までの幅が広がった(NTTドコモ・2014夏モデル発表会にて)

VoLTEの通話品質を試してみた!|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

6月19日に掲載させていただきましたコラム(モバイルネットワーク進化の鍵となるVoLTEの導入)にも

記事を読む

WR171001_02

香りの世界にもIoT、スマホを使って自由に香りを演出しよう|山根康宏のワールドモバイルレポート

3DディスプレイやVR/ARグラスなど、実際に無いものを見ることのできるバーチャルな体験が

記事を読む

S03

欧州で見つけたシニア向けスマホ|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

先だって出張したドイツの家電量販店で見かけたユニークなスマホ第一弾! これはどうもシニア向けスマホの

記事を読む

コミュニケーションツールとしてガラケー時代から根強いファンに支えられてきた「らくらく連絡網」

グループで情報共有「らくらく連絡網」アプリリニューアル|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

イオレの運営する「らくらく連絡網」アプリがこのほど大幅にユーザーインターフェイスをリニューアルしまし

記事を読む

ウェブレッジ
  • Facebook
  • Twitter
  • Google+
  • はてなブックマーク
  • RSS
PAGE TOP ↑