iPhone 7/7 Plusが日本の衛星測位システムに対応していた!|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

「位置情報」といえば「GPS」という言葉がすぐに思い浮かびますが、GPSは、アメリカ合衆国によって運用される衛星測位システムのことです。もちろん世界中で利用は可能なのですが、日本国内でより高い精度で位置情報を活用できるようにと、日本独自の衛星測位システムの試験運用が始まっています。これはスマートフォン端末側もこの測位システムに対応していなければ使うことができないのですが、なんとiPhone 7/7Plusはこの日本の衛星測位システムに対応していることが分かり、話題になっています。

日本版GPSと呼ばれる準天頂衛星システム「みちびき」

準天頂軌道の衛星が主体となって構成されている日本の衛星測位システムの開発が進められています。これまでわが国でも利用されてきた衛星測位システムといえば「GPS(グローバル・ポジショニング・システム)」がありますが、これはアメリカ合衆国が運用しているもので、30個以上の衛星が地球上の軌道を周回し、その位置関係からGPS対応端末機器が自身の位置情報を算出してコンテンツ等に利用するシステムとなっていました。

位置情報、すなわち東西南北の位置関係および地上からの高さを算出するには、最低4機の衛星が見えている必要があります。さらに見渡せる衛星の数が増えると位置の誤差が少なくなり、より高精度な位置を測定できます。とはいえ、GPS測位の限界は「数メートル」とされていました。

わが国で独自に開発し、打ち上げを開始しているこの準天頂衛星システム「みちびき」は、日本の天頂付近でゆっくりと周回するような8字型軌道を周回します。これによって、天頂(真上)からの測位を可能とするため、GPSよりもはるかに正確な位置測位が可能になるのです。2010年9月に「みちびき」初号機が打ち上げられ、2017年中にあと3機が追加され、2018年には4機体制のサービスを開始します。4機が揃うまではGPSとの組み合わせによって、位置測位を行います。GPSとの組み合わせで測位する場合でも、より正確な位置を算出することができますが、この「みちびき」がフル稼働すれば、位置情報の正確性は「数センチメートル」まで縮められるそうです。なお、この日本の準天頂衛星システムのことを英語ではQZSS(Quasi-Zenith Satellite System)と表記します。スペック表等では「QZSS]と略されて記載されます。

内閣府が運用する「みちびき」のウェブページにiPhone対応のリリースが。しかもトップ画面でiPhone 7の対応をアピールしてますね

内閣府が運用する「みちびき」のウェブページにiPhone対応のリリースが。しかもトップ画面でiPhone 7の対応をアピールしてますね

「みちびき」ウェブページのみちびき対応リストにもiPhoneが掲載されています

「みちびき」ウェブページのみちびき対応リストにもiPhoneが掲載されています

アップルのiPhone 7のスペックのところにも対応の記載がありました(QZSSというのがみちびきの対応を示します)

アップルのiPhone 7のスペックのところにも対応の記載がありました(QZSSというのがみちびきの対応を示します)

より正確な位置情報はどこで活用される?

さる2013年秋に、ソフトバンクテレコム(当時)とSPAC(衛星測位利用促進センター)が共催で、鹿児島県・種子島にてみちびきを活用した実証実験を行いました。この時は、種子島を舞台に展開されたゲーム「ROBOTICS;NOTES(ロボティクス・ノーツ)」とコラボレーションし、特定の場所でスマホアプリを通して見るとロボティクス・ノーツのキャラクターがAR(拡張現実)によって現れ、一緒に記念写真を撮れるというイベントでしたが、みちびきを使った位置情報の利用によって、地上のピンポイントの場所にまるで地縛霊のようにバーチャルなキャラクターを配置することができ、それをスマホアプリを通じて様々な方向から3Dで閲覧できるといったものでした。

2013年11月に種子島で実施された実証実験時は、QZSS専用受信機をスマホにペアリングさせ位置測位を試しました

2013年11月に種子島で実施された実証実験時は、QZSS専用受信機をスマホにペアリングさせ位置測位を試しました

スマホアプリを通じて地上にピンポイントで配置されたアニメキャラを探しました

スマホアプリを通じて地上にピンポイントで配置されたアニメキャラを探しました

なんだゲームか、と嘆かないでください。これはあくまで正確な位置情報を活用するとどんなことができるか、というイベントでした。この準天頂衛星による測位はさらに様々なところで応用が期待されています。たとえば、近い将来、自動運転が自動車に実装された場合、その自動運転を支えるのはより正確な位置情報測位ということになります。広大な農場で自動運転により農耕機を走らせるといった場合に、周囲に何もない場所であれば農耕機が頼るのは位置情報しかありません。GPSでは数メートルの誤差が出てしまうと言われていますが、みちびきを使って最高精度で位置情報を即位できれば、その誤差は数センチ以内になるとされています。ドローンの正確な航行にも期待ができますね。

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木暮祐一
1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話関連媒体の立ち上げや執筆などに携わる。2000年にはアスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ編集長を務めた。ケイ・ラボラトリー(現、KLab)を経て2009年に大学教員に転身。2013年より青森公立大学経営経済学部准教授。黎明期からの携帯電話端末コレクションも保有し、その数は1000台以上。株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー
IoT品質検証

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