低価格化とファッション化でウェアラブルデバイスにも本腰を入れるファーウェイ|山根康宏のワールドモバイルレポート

スマートフォンシェアで世界3位につけているファーウェイの進撃が止まらない。2016年9月にセルフィーをフィーチャーした「Huawei nova」「同nova Plus」の2機種を発表するや、10月にはミッドレンジでデュアルカメラ搭載の「Honor 6X」を発表、そして11月には大画面のハイスペックモデル「Mate 9」に加え、ポルシェデザインとコラボした「Mate 9 Porsche Design」を発表。毎月の新製品ラッシュにはアップルやサムスンですら追いつけないほどの勢いを感じさせる。

そのファーウェイがHonor 6Xと同時に発表した製品が新しいウェアラブルデバイスの「Honor Watch S1」だ。ファーウェイのウェアラブルデバイスと言えば、アナログ時計のようなデザインと高級な仕上げの「Huawei Watch」がある。だがこのHonor Watch S1はHuawei Watchとは異なりアクティビティートラッカーとしての機能にフィーチャーした製品なのだ。

ファーウェイの最新ウェアラブルデバイス「Honor Watch S1」

ファーウェイの最新ウェアラブルデバイス「Honor Watch S1」

Honor Watch S1の機能は一般的なアクティビティートラッカーと同様で、歩数や運動量の計測、そこからの消費カロリー計算、睡眠状態の記録、そして本体内側に内蔵されたセンサーを利用しての心拍数のカウントなどである。アプリを入れて使うことはできないものの、Bluetoothで接続したスマートフォンからの着信やメッセージ通知を受けることが可能だ。

また水深5メートルまでの防水仕様や、1度の充電で6日間の連続利用が可能など、より腕時計に近い感覚で腕にはめておくことができる。一般的なスマートウォッチはほぼ毎日の充電が必要であり、充電をついつい忘れてしまううちに使わなくなってしまいがちだが、Honor Watch S1であればそんな心配も不要だろう。

さてファーウェイのスマートフォンはメインラインの「Huawei」シリーズと、オンライン販売を中心に展開している「Honor」の2つのラインがある。Honorには日本でも発売された「Honor 8」のような高性能な製品もあるが、どちらかといえばミッドレンジ寄りの製品が多い。今回発売されたHonor Watch S1も、スマートフォン同様にハイエンド・メインラインのHuawei Watchに対する、よりカジュアルで価格の安い製品という位置づけになる。

Huaweiブランドの「Huawei Watch」はより高機能で高級感がある

Huaweiブランドの「Huawei Watch」はより高機能で高級感がある

とはいえHonor Watch S1は決して安物風な製品では無い。価格は699元(約1万660円)と安いものの、本体は金属素材のボディーで高級感あふれるデザインとなっている。ベルトは樹脂製でブルー、ブラック、オレンジの3色があるが、つやを消した落ち着いた色合いであり、セミフォーマルな服装にも似合うだろう。

価格は安いが、仕上げは十分に高い。毎日腕にはめたくなるデザインだ

価格は安いが、仕上げは十分に高い。毎日腕にはめたくなるデザインだ

実はHonorブランドのウェアラブルデバイスは今回が初めてではない。2015年には類似の腕時計スタイルの「Honor Band Zero」を発売している。だが「Band」の名前が示すように、腕時計のように見えつつも実際はリストバンドを目指した製品であり、細身のベルトに最低限の機能を搭載した本体の組み合わせだった。

2015年のファーウェイはハイスペックスマートウォッチのHuawei Watchの本格展開を始めており、Honor Band ZeroもHonorブランドでどのような方向性を目指すかがまだ明確になっていない、腕時計のようでそうではないという、どっちつかずの仕上げに留まってしまった。

しかし2016年春に発売した細身のリストバンド型の「Honor Band Z1」はブランド品のバッグのような華やかなカラーと、ゴールド風の金属金具の組み合わせが中国で大きな話題となる。この手の製品はスポーティーなルックスのものやプラスチックの質感そのままのカジュアルな製品が多かったが、Honor Band Z1は洋服に合わせて着替えるように色を楽しめるファッションアイテムとして人気となった。

Honor Watch S1はそのHonor Band Z1の人気を受けて、よりファッションを意識した製品に仕上げられている。メインラインのHuawei Watchが高級腕時計ならば、Honor Watch S1はおしゃれなスウォッチ、のような位置づけで両者を差別化しているのだ。もちろん両者の機能は大きく異なるが、どちらも腕時計のようにデザインで選んで腕にはめたくなる、そんな製品を目指している。

2016年春発売のHonor Band Z1。他社には無いデザインで一躍人気となる

2016年春発売のHonor Band Z1。他社には無いデザインで一躍人気となる

今後ファーウェイはウェアラブルデバイスでHuaweiとHonorの2つのブランドを使い分け、前者を高級品、後者をカジュアルな普及モデル、として展開していくだろう。スマートフォンでこの2つのブランドをうまく使い分けることに成功したことから、ウェアラブルデバイスでも自由な製品の展開を行うことが可能になる。たとえばほぼ同じ機能を搭載した製品を、高級仕上げにしてHuaweiブランドで販売し、樹脂製ボディーにするなどしてコストを下げたものをHonorブランドにする、といった複数のモデル展開も可能になるだろう。現在発売中のAndroid WearをOSに採用したスマートウォッチ、Huawei WatchのHonor版、というものもいずれ登場するかもしれない。

スマートウォッチやアクティビティートラッカーは各社機能がほぼ横並びであり、使いやすいUIや本体のデザインなどでの差別化に苦心しているところだ。1つの製品で全ての消費者をカバーすることは難しく、あのApple Watchですらベルトの組み合わせだけでも数十種類になることからわかるように、販売数を稼ぐためには製品バリエーションを広げる必要もある。HuaweiとHonorの2つのブランドを持ったファーウェイから、次にどんなウエアラブルデバイスが登場するのか楽しみである。

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山根 康宏

山根 康宏

香港在住15年。海外展示会取材や海外市場調査のため1年の半分を 海外で過ごす。2003年に前職を退職し同年に携帯電話研究家として独立。 香港を拠点にフリーランスの活動を開始する。消費者目線でのコラムやレポートを執筆する他、 コンサルティング活動も行っている。 週アスPLUS『山根博士の海外モバイル通信』、 ITmedia『山根康宏の中国携帯最新事情』、CNET『中国トンデモケータイ図鑑』など、 メディアでの連載多数。 携帯電話をこよなく愛しており、海外出張時は現地端末やプリペイドSIMを必ず購入、 それらのコレクターでもある。 収集した海外携帯電話の台数は約1300台、SIMカードは約500枚(2014年6月時点)。 株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー

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