買取られたスマホはどこへ行く?(その1)|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

公開日: : 最終更新日:2016/07/04 モバイル研究家コラム, 木暮祐一のぶらり携帯散歩道 , ,

 新しいスマートフォン(以下、スマホ)を購入したとき、それまで使われていたスマホはどうされていますか? 私の場合はもちろんコレクションとして棚に並べるわけですが、多くの皆様は下取りに出されたり、あるいは買取店に持ち込んだりして、新しいスマホ購入資金の一部にされるというケースも多いはず。

 ところで、スマホの中には大切な個人情報がたくさん詰まっています。もちろん、データを消去し、初期化の上で手放されていることと思いますが、パソコンの世界で言えば消去したはずのハードディスクからデータが流出してしまうなんてトラブルも実際に起こっています。スマホもパソコンと同様、初期化をしたとしても悪意のある人の手に渡ったら端末内データが抜き出されてしまうかもしれません。

 そのようなわけで、買取店で手放したスマホがどんな工程で処理され中古商品として店頭に並ぶのかが気になっていたところ、中古スマホ流通大手となったゲオが快く取材に応じてくださいました。

買取端末が必ず通過する「加工センター」

 現在、中古スマホ流通における国内最大手となっているのがDVDレンタル事業などを手掛けてきたゲオホールディングス(以下、ゲオ)です。東京など大都市圏にお住いの方は、他にも多数の中古スマホ買取店や、中古スマホ販売店を見かけるでしょうからピンとこないかもしれませんが、これが地方に行くと中古スマホを取り扱っているのはゲオぐらいしかないわけです。地方に行くほどゲオの存在感の大きさに気づきます。それも納得で、ゲオはその店舗が全国に約1,300店もあり、さらに同社系リユースショップ「セカンドストリート」を含めると合計店舗数は1,600店以上。これらの店舗で中古スマホの買取や販売を行っているのです。また、モバイル専業ショップ「ゲオモバイル」もオープンさせ、全国にその店舗網を拡充中です。

地方で中古スマホといえばゲオ。全国に約1,300の店網

地方で中古スマホといえばゲオ。全国に約1,300の店網

モバイル専売店「ゲオモバイル」も展開中。写真は札幌狸小路4丁目店

モバイル専売店「ゲオモバイル」も展開中。写真は札幌狸小路4丁目店

 では、ユーザーがゲオで手放した(買取られた)端末は、どういう工程を辿るのでしょうか。

 まず、ゲオの店頭に持ち込まれた端末は、規定のチェックシートに従って、動作確認が行われます。水没していないか、スマホとしての機能がきちんと動作するか、ネットワーク利用制限の確認などをチェックしていきます。外装の状態なども踏まえて買取査定額を算出し、ユーザーが納得できれば買取が行われます。この時点で、買取られた端末にはゲオで管理するための管理コードが付与され、その後は端末がどういう状態でどこで監理されているのかがコードを追うだけで分かるようになっています。

 店頭で買取られた端末はすべて、一旦ゲオの流通センターに送られていきます。流通センターは現在、札幌、群馬、岩倉、福岡の4カ所に設置され、北海道は札幌、九州は福岡、本州・四国は群馬と岩倉で分担する形で集荷品を集めます。また、先ほど説明した管理コードはゲオ本社購買部で監理され、各流通センターには集荷品と共に本社から送られてくる集荷品リストと突き合わせることで、店舗から流通センターまでの間での買取品が紛失していないかをチェックします。

 そして各流通センターには、中古スマホを整備するための「加工センター」が設けられており、中古スマホはすべてこの加工センターに入庫します。今回は、愛知県岩倉市にある、岩倉流通センターおよび岩倉加工センターを取材させていただきました。

愛知県岩倉市にあるゲオ岩倉流通センター

愛知県岩倉市にあるゲオ岩倉流通センター

厳重なセキュリティの中で管理・整備される

 ゲオの加工センターの最も重要な役割は、全国全店から集められた中古スマホ端末の完全データ消去を行うこと。そして店頭で中古商品として販売するにあたっての整備や清掃です。

 ゲオとしても、やはり中古スマホから万が一お客様の個人情報が流出するような事態になったら取り返しがつきません。そのため、店頭でユーザーから端末を買取った時点で管理コードを振り、厳格なトレーザビリティを確保して商品の管理を行っています。買取を行った店頭でも、端末の初期化など端末上で実施できるデータ消去は行いますが、それでもこの加工センターに端末が運び込まれるまでは気が抜けないといいます。

 さっそく加工センターに案内していただきました。岩倉加工センターは、ゲオ岩倉流通センターの建物内の一角にありましたが、とくにスマホの場合は個人情報が含まれる場合がありますので、厳重にセキュリティが掛けられたフロアとなっていたました。当然、この加工センターに入退室できるスタッフも制限が掛けられています。

加工センター入り口のセキュリティ

加工センター入り口のセキュリティ

 フロアに入室すると、まずは各地の店舗から集められた中古スマホが詰まったダンボールの山に圧倒されます。この岩倉加工センターは、本州の西半分と四国から端末が集められてきますので、その量にも納得です。当然のことながら、季節によってその量の変動はあるようです。とくに繁忙期となるのは、毎年恒例となったあの人気スマホの新製品が発売された後のタイミングなのだとか。

加工センターに入庫してきた端末が詰まったダンボール

加工センターに入庫してきた端末が詰まったダンボール

ダンボールを開封し、検品部門へ

ダンボールを開封し、検品部門へ

 加工センターに運び込まれた中古スマホは、まず最初にスタッフによる外装検査および動作確認が行われます。外装のランク付けのチェック後、次に電源を投入し、規定の操作を行うことで端末の動作確認を実施していきます。充電ができるかどうか、スピーカやマイク、バイブレータ、カメラなどが動作するか、液晶はきちんと表示できるかなど。買取時に一度店舗でもチェックをしていますが、ここで再び店舗で記録されたチェックシートと突き合わせながら、再度チェックします。ここで異常がある端末が見つかれば、ラインから外されていきます。

 続いて、ネットワーク利用制限に問題が無いかのチェックを行います。すでに買取時に店頭で1回チェックしていますが、加工センターで1回、さらに店頭での再販時にも1回と、計3回ものチェックが行なわれるそうです。これは、買取後に端末の利用制限登録状況が変わる場合も考えられるためです。

検品部門

検品部門

動作確認のためのチェックシート。買取時とこの加工センターでのダブルチェックです

動作確認のためのチェックシート。買取時とこの加工センターでのダブルチェックです

ネットワーク利用制限のチェック。これはお客様の手に渡るまでの間に3回チェックを行います

ネットワーク利用制限のチェック。これはお客様の手に渡るまでの間に3回チェックを行います

 ゲオ岩倉加工センターを案内してくださった、ユニットリーダーの栗真喜朗さんによれば、ゲオでは店頭で買取された中古商材は重複等がなければ買取った店舗で再販売するのが基本ですが、携帯電話やスマホの場合は買取後に必ずこの加工センターへ送るルールになっているそうです。端末内に残っているかもしれない個人情報を完全に消去するという加工処理を施すために、必ず加工センターを経由しなければ再販売できない仕組みになっています。

 検品部門をパスした中古スマホは、いよいよデータ消去部門に。この続きは次回をお楽しみに。

※写真の一部はゲオ提供

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木暮祐一
1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話関連媒体の立ち上げや執筆などに携わる。2000年にはアスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ編集長を務めた。ケイ・ラボラトリー(現、KLab)を経て2009年に大学教員に転身。2013年より青森公立大学経営経済学部准教授。黎明期からの携帯電話端末コレクションも保有し、その数は1000台以上。株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー

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