自宅で活用したい身近なIoT(その1)スマホを鍵にできる「Akerun」|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

公開日: : 最終更新日:2016/07/04 モバイル研究家コラム, 木暮祐一のぶらり携帯散歩道 ,

 IoT(Internet of Things = モノのインターネット)という言葉が大流行ですね。様々なセンサー等からデータをクラウドに収集し、その膨大なビッグデータを解析してビジネスに活用しましょう…、と。そんなこと言われても庶民にはピンときません。本当はもっと身近な生活に役立つ便利なIoTが出てこないと、社会に浸透していきませんよね。

 IoTを「通信する便利な機器たち」というくくりで見ていくと、この数年はスマホと組み合わせて生活を便利にするツールがたくさん登場しています。そのいくつかを実際に自宅に導入しましたので数回に分けてご紹介しましょう。まずは、ドアの鍵をIoT化させてスマホで操作したり状態を確認できる「Akerun」です。

スマホをドアのカギにできるAkerun

 かつておサイフケータイが登場したときに、モバイルFeliCaを鍵として使えるドアロックが大手メーカーから多数登場したのですが、ロック部分を交換するとかソリューションとして大げさなシステムがセットになっているものとかばかりで、いずれも高価だったため、趣味の延長で導入するわけにはいかず指をくわえて眺めていました(欲しかったんですが)。

 しかし近年、既存ドアのロック部分にかぶせるように簡単に装着できて、スマホで施錠・開錠ができるロックシステムが多数販売されるようになりました。価格も2~4万円程度で、ちょっと頑張れば(スマホの購入を1台ガマンするとか)筆者でも購入できる価格帯になってきました。これはそろそろ導入時期であるぞとばかりに、主要な製品を比較検討してきたのですが、それらの中から選んだのがPhotosynth社が販売する「Akerun」です。決め手となったのは、詳しいことは後述しますが、ビーコンを用いた「タッチ」による施錠・開錠が可能なことです。

 まずはAkerun取付から実際の使用までをご紹介しましょう。

 Akerunの仕組み自体はとてもシンプルです。ドアの鍵のつまみをモーターで回してくれるガジェットで、スマホとはBluetoothLE(BLE)でベアリングさせて、アプリを通じて鍵の施錠・開錠ができます。鍵を交換するわけではないので筆者のように賃貸住宅暮らしでもとくに問題なく利用できてしまいます。大げさなシステムではないので安価になってきたのもありがたいところ。

Akerunのパッケージ。今回、オプションのAkerun Touchも同時に取り付けます

Akerunのパッケージ。今回、オプションのAkerun Touchも同時に取り付けます

 パッケージを空けると、Akerunのドアへの貼付け面はシールで覆われており、そこに最小限の注意書きがあります。ともあれ鍵にするスマホにアプリをインストールするところから始めろということのようです。

Akerun本体に貼られている注意書き

Akerun本体に貼られている注意書き

 では早速アプリをインストールして、セットアップを始めていきましょう。アプリを起動すると、SMSやメール認証を行った後、チュートリアル形式でAkerun本体の設定からアプリとの同期設定までを順を追って進められるようになっていました。SMS認証やメール認証が煩わしい一面がありますが、これはスマホを「鍵」にするものですから、念には念のユーザー確認が必要ということなのでしょう。アプリの認証が終わると、Akerun本体の設定に移りますが、画面の質問に応じて鍵のつまみの動作を選択してくだけでOK。とても簡単です。

これがうちの玄関ドア内側。この鍵のつまみの上にAkerunを取り付けます

これがうちの玄関ドア内側。この鍵のつまみの上にAkerunを取り付けます

スマホにAkerunアプリをダウンロードし設定を進めていきます。チュートリアルは大変分かりやすく、本体の設定を進めていくことができます

スマホにAkerunアプリをダウンロードし設定を進めていきます。チュートリアルは大変分かりやすく、本体の設定を進めていくことができます

 アプリの設定と動作確認まで終わったら、実際の取付です。取付は両面テープで貼り付けるだけなのですが、二度貼りは粘着度が落ちてしまいますから一発で決めなくてはなりません。まずは両面テープの保護シールをはがす前に、取り付ける位置にはめてみて、スマホから確実に動作するかどうかをチェックした上で、貼付けを行いましょう。ドアの貼付面の油分落としもお忘れなく。

Akerunを貼り付けました。これでわが家のドアもスマートロックに!

Akerunを貼り付けました。これでわが家のドアもスマートロックに!

 当然のことですが、鍵は家族のスマホに入れることができます。Akerunアプリをインストールし、ユーザー登録後、管理者のAkerunアプリから「ユーザー追加」の設定により合鍵を送信できます。ゲストユーザー向けの設定として、たとえば時間や曜日を限定した合鍵設定も可能です。筆者の場合、カバンの中に常時多数のスマホが入っていますが、それらすべてにAkerunアプリをインストールして合鍵にしてしまう使い方も便利です。メインのスマホが万が一電池切れしてしまったら鍵の開閉ができません。そんなときに他の予備スマホで鍵を開けることができたら助かります。ただし、Akerunアプリにはログインが必要なのですが、同じユーザーIDでは常時1つのスマホでしか使えません。多数のスマホを合鍵にする場合は、スマホごとに別アカウントで登録したほうが使い勝手が良さそうです。

Akerunのユーザー追加設定画面。他のユーザーのスマホにあらかじめAkerunアプリをインストールしてユーザー登録まで済ませておく必要があります。ここだけがちょっと手間ですね

Akerunのユーザー追加設定画面。他のユーザーのスマホにあらかじめAkerunアプリをインストールしてユーザー登録まで済ませておく必要があります。ここだけがちょっと手間ですね

 IoTのメリットは、何といっても通信を通じて機器の状態をモニタリングできるところでしょう。Akerunの場合、離れた場所にいても鍵の状態をアプリ上で確認できます。
「あ、家の鍵かけ忘れてないかな?!」
といった不安をいつも感じる人には最適なガジェットとなるでしょう。

 また、鍵の開閉に関する履歴も参照できます。誰がいつ鍵を開閉したかが一目瞭然。家族がいつ帰宅したとか、そういった情報を遠隔で知ることができます。

開閉履歴をアプリで確認することができます。誰がいつ鍵を開け閉めしたか一目瞭然

開閉履歴をアプリで確認することができます。誰がいつ鍵を開け閉めしたか一目瞭然

 このAkerunには同梱や別売のいくつかのオプションが用意されています。まず同梱品の中にはオートロック用ドアセンサーというものが入っています。これはドアが閉まった際に自動的にロックをかける機能です。Akerunアプリのオプション設定の中にある「オートロック」をONにし、同梱の開閉センサーをドアに貼り付けるだけ。ただし筆者の場合、あまりオートロックを使う必要性を感じませんでしたので、この機能はパス。

 それよりも、Akerunを導入するからにはぜひ取り付けたいオプションがありました。別売の「Akerun Touch」です。これはビーコンを使用し、設定したスマホをタッチすることで(実際には近づけるだけでOK)鍵の開閉を動作させることができるというすぐれもの。いやはや、この使い方を求めていたのです。いちいちアプリを起動させて画面上の開閉ボタンを押すなんてナンセンス(遠隔で鍵をかけられるというメリットはありますよ)、アプリも起動させずスマホをタッチさせるだけで開け閉めができてしまうのが理想的ですね。これこそ、おサイフケータイの鍵機能に匹敵する使い勝手ですね。

別売オプションのAkerun Touch。これこそがAkerun活用のキモですね

別売オプションのAkerun Touch。これこそがAkerun活用のキモですね

ドア外側にAkerun Touchを貼り付けます

ドア外側にAkerun Touchを貼り付けます

スマホをTouchに近づけるだけで鍵の開閉ができます

スマホをTouchに近づけるだけで鍵の開閉ができます

 何でもかんでも電子化して、かえって不便じゃない? なんて声も聞こえてきそうですが、Akerunを設置しても従来のアナログな鍵を使いたければ使えるわけです。ドアの外から鍵を使って開閉することはもちろん、屋内側のほうもAkerun本体下部をプッシュするとスマホを使わなくても動作します。Akerunのカバーを上側に開けば内部にあるツマミを手で回転させることもできます。あくまで既存のドアにプラスアルファの利便性をもたらしてくれる画期的なIoTガジェットですね。

The following two tabs change content below.
木暮祐一
1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話関連媒体の立ち上げや執筆などに携わる。2000年にはアスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ編集長を務めた。ケイ・ラボラトリー(現、KLab)を経て2009年に大学教員に転身。2013年より青森公立大学経営経済学部准教授。黎明期からの携帯電話端末コレクションも保有し、その数は1000台以上。株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー

関連記事

大手3事業者はLTEでも激しい加入者獲得合戦を繰り広げるだろう

見えてきた台湾のLTE時代 | 山根康宏のワールドモバイルレポート

国を挙げてWiMAXを次世代高速通信規格として推進していた台湾。そのためLTEの導入は他のアジア各国

記事を読む

eyecatch_vol1

【トークセッションVol.1】ウェアラブル、IoT、モバイルのココだけのハナシ

株式会社ウェブレッジは東京ビッグサイトで開催された、「Japan IT Week春 第9回 We

記事を読む

iPhone 5cを超える6色展開のm1。しかも低価格でハイスペック

シャオミを超えた!?中国メイズのスマホがスゴイ|山根康宏のワールドモバイルレポート

2014年の世界のスマートフォン市場の大きな話題と言えば、中国の新興メーカー「シャオミ(Xiaomi

記事を読む

見た瞬間、衝動買いしてしまった「CONE』

iPhoneとのマッチングが素晴らしいスタンドライト「CONE」|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

引越しして寝室をスッキリリニューアル。そこでベッドサイドで使いたいスタンドライトを探していたところ、

記事を読む

Samsungの「ノート」と同日発表したHong Mi Note2。だが国内市場での反応は以前ほど熱狂的ではなかった

今度は台湾で行列マーケティングを行うXiaomi|山根康宏のワールドモバイルレポート

AppleのiPhoneやSamsungのGalaxy Sとほぼ同等の性能で価格は半額以下、という触

記事を読む

「マイマガジン」のタブの中に設定したキーワードが並び、それをタップするとキーワードに引っかかった最新ニュースがずらり

世界のニュースもキャッチ! 『ニューススイート』|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

若者たちのニュースソースといえば、もはやスマホによるニュース閲覧が圧倒的です。「新聞も読みなさいね」

記事を読む

販売サイト上で説明されている図

iPhoneにボタン機能を追加する保護ガラスを試してみた|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

スマホのディスプレイ大型化は老眼が進んできた筆者にとってもありがたいことなのですが、その一方で指は伸

記事を読む

pic02

家族向け管理機能の充実ぶりに驚いた、TONEモバイル|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

最近、すっかりMVNO(仮想移動体通信事業者)にハマっています。MVNOって、よく“格安スマホ”とか

記事を読む

海外展示会(IFA2015)のSiemensブース。オーブン新製品の一部のみがスマートオーブンだ(Home Connect対応製品)

スマートホームの普及は身近な家電から|山根康宏のワールドモバイルレポート

スマートフォンやタブレットを使って家電製品のコントロールしたり、ドアの開閉やIPカメラを使い家庭内の

記事を読む

Micromaxのハイエンド端末「Yutopia」。先進国でも通用するスペック

世界2位のスマホ大国になったインド、世界進出を狙う地場メーカー|山根康宏のワールドモバイルレポート

世界最大のスマートフォン市場といえば中国だ。Strategy Analyticsによれば2015年の

記事を読む

  • Facebook
  • Twitter
  • Google+
  • はてなブックマーク
  • RSS
  • Feedly
PAGE TOP ↑