太陽電池給電のタッチパネルモニター、充電不要タブレット実現の可能性も|山根康宏のワールドモバイルレポート

公開日: : 最終更新日:2016/03/10 モバイル研究家コラム, 山根康宏のワールドモバイルレポート ,

スマートフォンと併用してタブレットを使っている人も多いだろう。タブレットは本体サイズが大きいこともあり、スマートフォンよりも電池の持ちはいい。それでも2-3日おきにタブレットの充電をするのは結構面倒なものだ。また充電せずに外出してしまった時などは、サイズが大きいだけにカバンの中で邪魔な存在となってしまう。しかしもし、このタブレットが一切の充電不要で使えるようになったらとても便利ではないだろうか?タブレットを買うのをためらっていた人も、タブレットに興味が湧く事は間違いないだろう。また学校の教育用途などにも使えるかもしれない。そんな夢の「完全無充電タブレット」の実現が期待できそうな製品が、1月に開催されたCES2016で展示されていた。

NanoSenseが展示していたのは家電を接続してコントロールできる、タッチパネル型のデバイスだ。試作品なのでこのまま製品化されるものではない。画面の大きさは6インチ程度で、消費電力の少ない電子ペーパーを使っている。画面の回りの余白部分が大きいが、実はこの部分全てが太陽電池なのだ。つまりこのパネルは、太陽や電灯の光を当てるだけで画面表示やタッチ操作、そして外部の家電との接続を行う無線部分の電力までをも太陽電池で賄うことができるのである。

NanoSenseの自己発電パネル。太陽電池を使うので電源への接続は不要だ

NanoSenseの自己発電パネル。太陽電池を使うので電源への接続は不要だ

最近よく聞かれるIoT(Internet of Things)、モノのインターネットではあらゆる製品がスマートフォンやインターネットと接続され、新しい使い方やサービスが生まれようとしている。たとえば子供向けの哺乳瓶、これがIoT哺乳瓶になるとどうなるのだろう?まず哺乳瓶に入れたミルクの温度は常にスマートフォンに表示される。また入れたミルクの重量から容量も自動計測される。そして赤ちゃんにミルクを飲ませるとき、哺乳瓶の傾け方が悪ければアラームがなり教えてくれる。そして毎日何時に何ミリリットルのミルクを飲んだかを継続してスマホアプリに記録できる。さらにはそのスマホアプリからミルクを直接ネットで購入することも可能になる。

このようにIoTはただのミルクの入れ物だった哺乳瓶を、赤ちゃんの健康管理をできるインテリジェンスな道具に変えてくれるのだ。CES2016ではSamsungが21.5型の巨大なディスプレイを搭載した冷蔵庫を大々的に展示していたが、このディスプレイは簡易タブレットとして使え、スマートフォンやリビングのTVの画面を表示し、さらにはメッセージや予定の通知も行ってくれる。キッチンにある冷蔵庫のドアは今までただの板としてしか使い道は無く、せいぜいマグネットでメモを止めるくらいしか用途は無かった。だが大型モニターを内蔵するだけであらゆる情報を収集できる情報ステーションになるのだ。

Samsungのスマート冷蔵庫。20インチを超える大型ディスプレイを搭載しスマートフォンとの連携も可能

Samsungのスマート冷蔵庫。20インチを超える大型ディスプレイを搭載しスマートフォンとの連携も可能

このように2016年はスマートフォンと接続できる製品が次々に出てくるだろう。それらはスマートフォンから操作を行なうことも可能だが、単体で使う時のことを考えれば小型のモニターを搭載する必要がある。前述のスマートな哺乳瓶なら、電源のON/OFFやミルク温度と重量の切り替えなどを行うための、タッチ操作可能なモニターがあれば便利だ。

画面はタッチパネルになっている。外部のセンサーやスイッチとはBluetoothで接続

画面はタッチパネルになっている。外部のセンサーやスイッチとはBluetoothで接続

NanoSenseはそんなIoT機器向けのタッチパネルモニターとして、太陽電池による自己発電可能な試作品を開発したのである。なぜ太陽電池を使うのかと言えば、IoT機器は本体サイズが小さいためにバッテリーを搭載してもその容量は少なく、センサーなどの動作以外の電力はなるべく使わないほうがよい。そのためにタッチパネルモニターの電力を光による充電で賄おうと考えたわけだ。

また太陽光だけではなく室内の電灯程度の光でも十分な電力を得られるのだという。CO2濃度などを測定し問題があればアラームでスマートフォンに通知できる室内向けの大気センサーは年内に発売される予定だ。

とはいえIoT製品のコントローラーやモニターとしてだけの応用ならば、一般消費者にとってはあまり面白みの無い製品かもしれない。そこで冒頭の話に戻るわけである。「充電不要、光に当てるだけで使えるタブレット」がもしも実現するとしたら興味がわかないだろうか?

年内製品化予定の大気センサー。しかしもっと興味を惹く製品が実現するかもしれない

年内製品化予定の大気センサー。しかしもっと興味を惹く製品が実現するかもしれない

NanoSenseのこの試作品は、パネル部分は電子ペーパーで動いている。つまりこのパネル部分に電子書籍や電子コミックを読むアプリを走らせれば、電子ブックリーダーとして使うことが可能になる。しかも本体の大きさは10インチくらいある。背面側にも太陽電池を搭載すれば、発電能力は1.5倍程度引き上げることも可能だろう。

一方、問題となるのは外部との通信だ。Wi-Fiは電力を食うためBluetoothだけに頼らざるを得ないだろう。自宅で電源につないでいる時だけWi-FiがONになり、書籍や漫画のダウンロードはWi-Fiを使う、というのなら外出中は太陽電池だけで動く電子ブックリーダーとして使えるかもしれない。

もちろん夢は、これがタブレットとして動きインターネットへ接続し、地図を見たり検索したり、そして動画を再生したりできる製品の登場だ。NanoSenseはスマートホーム関連の製品を開発する企業なので、たとえばAndroidを搭載したタブレットを作れないか?と質問したところ開発の予定は一切ないとのことしかし見た目はタブレットのようなこの試作モデルを、IoTのコントローラー向けだけに使うのは勿体ない。ぜひどこかの企業と組んで、「光があれば動くタブレット」の開発を進めてほしいものだ。

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山根 康宏

山根 康宏

香港在住15年。海外展示会取材や海外市場調査のため1年の半分を 海外で過ごす。2003年に前職を退職し同年に携帯電話研究家として独立。 香港を拠点にフリーランスの活動を開始する。消費者目線でのコラムやレポートを執筆する他、 コンサルティング活動も行っている。 週アスPLUS『山根博士の海外モバイル通信』、 ITmedia『山根康宏の中国携帯最新事情』、CNET『中国トンデモケータイ図鑑』など、 メディアでの連載多数。 携帯電話をこよなく愛しており、海外出張時は現地端末やプリペイドSIMを必ず購入、 それらのコレクターでもある。 収集した海外携帯電話の台数は約1300台、SIMカードは約500枚(2014年6月時点)。 株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー
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