どうみても“固定電話”な携帯電話が登場!|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

公開日: : 最終更新日:2016/03/03 モバイル研究家コラム, 木暮祐一のぶらり携帯散歩道

かなり変わった携帯電話の登場です。一見、固定電話にしか見えませんが、じつは携帯電話です。電話線はありません。そしてアンテナが際立っているでしょ! じつは2011年にPHSでラインアップされた「イエデンワ」が携帯電話(3G)になって復活なのです。イエデンワのほか、ストラップホンなど、かなりキワモノばかりを世に送り出してきたメーカー・エイビットが満を持して発売開始してきたのがこの3G版イエデンワ「ホムテル3G」(製品型番はAK?010)です。エイビットの公式オンラインショッピングサイトで発売開始したほか、MVNOのもしもシークスも「スゴい電話」として販売を行います。価格は35,000円(税別)で、回線契約を伴わず端末単体で購入可能です。

もちろんSIMフリーで端末単体で購入可能

 このホムテル3G(AK?010)は昨年11月に製品発表会が開かれ、一部の関係者の中でかなり話題を呼んだ端末でした。その後予約販売の受付を始めていたようですが、ようやく出荷が開始され、筆者の手元にも届きました。端末はSIMフリーで、もちろん回線契約を伴わず端末単体で購入が可能です。通信方式はW-CDMA、HSDPA/HSUPAで、周波数は800MHz/2.1GHzに対応ということで、NTTドコモ回線(含、MVNO)でもソフトバンク回線でも利用可能です。auに関しては通信方式が異なるので使用ができません。3Gのみの対応でLTEでは利用できません。

どうみても固定電話にしか見えないですが、こう見えても携帯電話なのです

どうみても固定電話にしか見えないですが、こう見えても携帯電話なのです

 いったい、この携帯電話はどんな使い道があるというのでしょうか。いやはや、それはもう「これぞ電話という気分で音声通話をたしなむためにある」と言い切るしかないでしょう。いかにも電話しているぞという気分に盛り立ててくれる握りやすい受話器、通話中の手持ち無沙汰を指でクルクルしたりして気を紛らわせてくれるカールコード、留守番電話は明るいボクの声でもOK、余裕な大きさの数字キーは作業手袋をしたままでも押し間違えなし、などなど固定電話の素晴らしさをそのまま携帯電話回線で味わうことができちゃうわけです。

 さらに、NTTドコモ、ソフトバンクともかけ放題プランが用意されていますから、このプランをセレクトすれば最安2,200円(税別)でかけ放題な電話を設置することができちゃいます。いっそ、固定電話回線の契約もやめちゃいますか!

 かつてのイエデンワは、AC電源または単3アルカリ乾電池4本での動作が可能でした。乾電池で動作するというのは画期的で、東日本大震災の教訓もあり非常時の端末として法人や自治体からの問い合わせが相次いだことが知られています。実際に災害時用電話として配備した企業や自治体も多数ありました。

 この3G版となったホムテル3Gは、AC電源、単3アルカリ乾電池のほかに、専用リチウムイオン充電池が付属しAC電源で充電して、移動して使う時は内蔵電池での動作させるといった使い方も可能になりました。専用リチウムイオン充電池の使用で連続待受時間は約175時間、連続通話時間は約4時間です。デスク以外に時々ホムテル3Gを持ち歩いたり、他のデスクで使うぐらいな利用では、十分なバッテリー容量でしょう。さらに単3アルカリ乾電池を使うと連続待受時間が約350時間、連続通話時間は約8時間に伸びます。乾電池なら最大14日ほどの待受が可能なのです。これは確かに、緊急時用のストック電話として所持しておくのもいいかもしれません。本当に緊急事態のときは、普段スマホで使っているSIMカードをこのホムテル3Gに挿し直すだけ、単3アルカリ乾電池4本でまさにコードレスな命綱となってくれます。

AC電源、単3アルカリ乾電池のほかに、専用リチウムイオン充電池も付属

AC電源、単3アルカリ乾電池のほかに、専用リチウムイオン充電池も付属

テザリング機能でモバイルWi-Fiルーターにも

 ホムテル3Gは「3Gテザリング」機能が備えられています。テザリングをONにすればこのホムテル3GをモバイルWi-Fiルーター代わりにしてデータ通信が利用可能です。ただし、あくまで3Gです。LTEが当たりまえになった現在、その通信速度には遅さを感じざるをえないのですが、緊急時のデータ通信手段として乾電池でも動作してくれるのがありがたいところでしょう。メーカーのエイビットでは、このテザリング機能を通じて、Webカメラやスマホ、タブレット、ゲーム機などを接続させ「ホームネットワークターミナル」代わりの活用を提案しています。さらには、各種センサー等IoT機器をホムテル3GのWi-Fiでぶら下げて、IoTゲートウェイの役割も果たすことも期待できそうです。

 いったいそれはどういうこと? たとえば工事現場であるとか農家のビニールハウスなどで、ホムテル3G自体は固定電話代わりの「電話機」として活用できるほかに、現場に設置された各種センサー類などをインターネットに接続させるためのアクセスポイントとして大活躍するはずです。センサー系のIoT端末ならLTEの高速大容量通信は無用でしょう。ホムテル3Gのテザリング機能で十分なはずです。

テザリング機能でホムテル3GがモバイルWi-Fiルーター代わりになります

テザリング機能でホムテル3GがモバイルWi-Fiルーター代わりになります

iPhoneをホムテル3Gのテザリング機能(Wi-Fi)経由で通信させてみました。3Gなのでこの程度のスピードですが、文字ベースのコミュニケーションなら不都合はなし

iPhoneをホムテル3Gのテザリング機能(Wi-Fi)経由で通信させてみました。3Gなのでこの程度のスピードですが、文字ベースのコミュニケーションなら不都合はなし

 その他、ほぼノリで入れてしまったであろう、用途不明な「フライトモード」機能なんてものもあります。ネタに尽きませんね。かつてのイエデンワには熱烈なファンが多く、あえてイエデンワを旅の友としてカバンに入れて旅行された方であるとか、イエデンワにジャストフィットな革製キャリングケースを自作されてしまった方などもネットで話題になりました。これ、本当にキャリングケースとか発売されないものでしょうか。そしたら、肩にホムテル3Gをぶら下げて出かけてみたいものですね。

ノリで搭載されたと思われるフライトモード機能。これをメニューから呼び出すより本体電源を切る方が簡単なんですが…

ノリで搭載されたと思われるフライトモード機能。これをメニューから呼び出すより本体電源を切る方が簡単なんですが…

The following two tabs change content below.
木暮祐一
1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話関連媒体の立ち上げや執筆などに携わる。2000年にはアスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ編集長を務めた。ケイ・ラボラトリー(現、KLab)を経て2009年に大学教員に転身。2013年より青森公立大学経営経済学部准教授。黎明期からの携帯電話端末コレクションも保有し、その数は1000台以上。株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー
IoT品質検証

関連記事

p01-2

ドローンの飛行許可申請がオンラインで可能に│木暮祐一のぶらり携帯散歩道

空飛ぶIoTとも言われるドローン。このドローンの飛行にあたり、国土交通省への飛行許可・承認手続きが

記事を読む

小米のハイエンドスマートフォン「小米3」

中国スマホのトレンドを見るなら「小米」に注目 | 山根康宏のワールドモバイルレポート

最近日本でも話題となっている中国のスマートフォンメーカー、小米(Xiaomi、シャオミ)。中国大人気

記事を読む

170301_03

NB-IoTを真っ先に乗せたいスマートスーツケース|山根康宏のワールドモバイルレポート

2017年はLPWA(ローパワー・ワイドエリア)を使った様々なIoTデバイスが登場する年になるだろう

記事を読む

Lenovoの会員向けにサービスを開始したLenovo MVNO

端末だけでは商売にならない?中国で進むスマホメーカーのMVNO事業|山根康宏のワールドモバイルレポート

Lenovoは2015年10月26日、中国でMVNO事業(Mobile Virtual Networ

記事を読む

スマホをTouchに近づけるだけで鍵の開閉ができます

自宅で活用したい身近なIoT(その1)スマホを鍵にできる「Akerun」|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

 IoT(Internet of Things = モノのインターネット)という言葉が大流行ですね。

記事を読む

単体で通話や通信ができるLG Watch Urbane 2nd Edition

スマートウォッチにLTE、高速通信対応でウェアラブルが変わる|山根康宏のワールドモバイルレポート

Apple Watchを始めとする腕時計型のウェアラブルデバイス、いわゆるスマートウォッチの多くはス

記事を読む

最初から腕時計デザインを採用したHuawei Watch

腕時計を目指すスマートウォッチ|山根康宏のワールドモバイルレポート

Apple Watchの登場で一気に注目を浴びる存在となった腕時計型のウェアラブル端末「スマートウォ

記事を読む

カメラ回転式のOPPOのスマホ

セルフィーの普及がスマホの前後カメラの区別をなくす|山根康宏のワールドモバイルレポート

ASUSは2015年6月1日にフロントカメラを強化したスマートフォン『ZenFone Selfie』

記事を読む

k180701_img01

IoTふるさと納税自販機│木暮祐一のぶらり携帯散歩道

筆者は現在、地域のICT利活用を主テーマに大学で研究等に取り組んでいるところですが、とくに地方にお

記事を読む

MVNOブレイク!背景に潜む、SIMフリー版「失われた20年|池端隆司のモバイルジャンクション

MVNOブレイク!背景に潜む、SIMフリー版「失われた20年」|池端隆司のモバイルジャンクション

世界から遅れること20年、日本でもようやく自分が使いたい端末を通信キャリアの縛りなく選ぶことができ

記事を読む

ウェブレッジ
  • Facebook
  • Twitter
  • Google+
  • はてなブックマーク
  • RSS
PAGE TOP ↑