災害時に役立ちそうなFacebookの機能|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

フランスの首都・パリで11月13日夜(日本時間14日早朝)、中心部のコンサートホールや北部のサッカー場などを標的とした同時多発テロ事件が発生しました。パリ同時多発テロでお亡くなりになられた方々、そしてフランス国民の皆さまに心より悼の意を捧げます。一方で、ISILの拠点となっているシリアに対して各国が空爆を行っており、こちらではさらに多くの民間人も犠牲になっています。いったい今後の世界情勢はどうなってしまうのでしょうか。

ところで、パリの同時多発テロが発生した後、Facebookから見慣れない通知が届きました。「××さんが、Paris Terror Attacksで無事だったことが確認されています」。さて、これは何?

Facebookの安否確認機能「災害時情報センター」

 スマホにパリ在住の友人の名前が入ったその通知が届き、通知をタップしたところ、Facebookの「災害時情報センター」という画面と、初めて見る緑色のアイコンを目にしました。なるほど、これは日本の各通信キャリアが携帯電話やスマホ向けに提供している「災害用伝言板」と同じような通知サービスであることをすぐに察することができました。「災害用伝言版」は日本のモバイルユーザーにはもうお馴染みですが、それのFacebook版ということでしょうか。

 しかし、大きく違うと感じたのは、通知が「プッシュ」で来たという点です。わが国で定番となっている「災害用伝言板」は、自分からサイトにアクセスしなければ情報発信も情報閲覧もできません。しかし、Facebookの場合は、つながっている友達に一斉に通知が飛ぶんですね。これは大変便利なサービスです。

 気になって、このFacebookのサービスを調べたところ、情報を発信する側(災害等の対象エリアに居る人)のユーザーにも安否を報告するための通知が届いて、わずか2タップの操作で無事を報告できる仕組みになっているようです。位置情報と、プッシュ通知をうまく生かして、迅速に安否を共有できる仕組みとしてよくできたサービスだと思います。

同時多発テロ後、数時間後に突然届いた通知をタップしたら初めて見るFacebookの画面が

同時多発テロ後、数時間後に突然届いた通知をタップしたら初めて見るFacebookの画面が

災害(今回はテロ)の詳細情報が表示されます

スクロールすると、その災害(今回はテロ)の詳細情報が表示されます

きっかけは東日本大震災だった

 筆者はかなり早い時期からFacebookを使っていましたし、とくに近年は毎日欠かさず利用していました。しかし、この通知を見たのは初めてのこと。サービス自体の存在もじつは認知していませんでした。

 Webを検索したところ、Facebookから公式なリリースが2014年10月に発表されていました。万が一の災害時に稼働する機能のようで、そのためこの新機能に気が付いていなかったようです。リリースによれば、この機能は、Facebook上でつながっている友達や家族に自分が無事であることを知らせる、災害の影響を受けた地域にいる人の安否を確認する、といったことを、きわめてシンプルに利用できるところを目指したようです。またこの機能はAndorid、iOSの両アプリ、スマートフォンや携帯電話のモバイルサイト、そしてパソコン用のデスクトップサイトでも利用可能だそうです。

 その使い方ですが、災害等が発生するとFacebook側でこの機能が使えるようなり、災害の影響を受けた地域にいると思われるユーザーにFacebookから安否を確認する通知が届きます。ユーザーの所在地は、プロフィールに登録された都市や、位置情報を使った現在地の都市などから判断し、通知を送信するようです。

災害等の発生エリアにいると考えられるFacebookユーザーに、届く通知

災害等の発生エリアにいると考えられるFacebookユーザーに、このような通知が届くそうです(Facebook社のリリースより)

 この通知をタップすると、「災害時情報センター」の画面が開き、「自分の無事を報告」というボタンをタップすることで最新情報を示す通知とニュースフィード記事が作成され、Facebook上の友達に安否が送信されます。また「影響を受けた地域にはいません」というボタンをタップすると、そのことを同様に友達に知らせることができます。

通知をタップすると「災害時情報センター」の情報入力画面が開く)

通知をタップすると「災害時情報センター」の情報入力画面が開き、安否を選らんでタップするだけ(Facebook社のリリースより)

 じつはこの「災害時情報センター」機能が作られたきっかけは、東日本大震災がきっかけだったようです。日本のオフィスにいたFacebookのエンジニア達が、震災時に人々が大切な人とつながり続けるためにテクノロジーとソーシャルメディアを活用する様子を目の当たりにして、その重要性を再認識。そして災害発生時に簡単に安否を確認できる機能として、震災から1年後にまずは「災害用伝言板」を開発(日本国内のみでテスト版を公開し好評を得たそうです)、この「災害用伝言板」を改良し続けていったものが「災害時情報センター」に発展し、世界でリリースされることになったということです。

 東日本大震災発災時、筆者は茨城県の筑波大学にいました。人生で初めて「立っていられないほどの強い揺れ」を経験しました。その後、家族と連絡を取ろうにも、スマホも携帯電話も輻輳でまったくつながりませんでした。通話はもとより、メールやSMSも送れず、あきらめていたところ、Facebookのメッセージ機能だけはなんとか使えたのです。それ以来、Facebookは欠かせないものとなりました。米国企業であるFacebookが、日本で起こった大災害をきかっけに、このような安否確認機能を用意してくれて、しかもそれが世界で使われているというのは大変うれしい話です。

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木暮祐一
1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話関連媒体の立ち上げや執筆などに携わる。2000年にはアスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ編集長を務めた。ケイ・ラボラトリー(現、KLab)を経て2009年に大学教員に転身。2013年より青森公立大学経営経済学部准教授。黎明期からの携帯電話端末コレクションも保有し、その数は1000台以上。株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー

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