Lenovoが挑戦するスマホの新たな大画面化|山根康宏のワールドモバイルレポート

年々画面サイズが大型化するスマートフォンだが、片手で持つにはそろそろ限界の大きさに近づいている。だがより大きい画面でスマートフォンの表示を見たいという需要も年々高まっている。Lenovoはそんな要求に応えられるコンセプトモデルを2015年5月に発表した。どちらの製品も実用化されればスマートフォンの使い方を大きく変えるものになるかもしれない。

スマホ画面を投影、操作も可能なSmart Cast

まずはプロジェクターを搭載した『Smart Cast』。本体の下部にプロジェクターを内蔵しており、画面出力をそのまま壁面や天井などに投影できる。実は同等の機能を持ったスマートフォンをSamsungが『Galaxy Beam』として過去に2製品販売している。しかしメジャーな存在にはならなかった。なぜならGalaxy Beamは画面をただ投影するだけの機能しか持っていなかったからである。

見た目は普通のスマートフォンなSmart Cast

見た目は普通のスマートフォンなSmart Cast

一方LenovoのSmart Castはスマートフォンを動かすことで画面タッチや左右スクロールなどを行える、モーションセンサーを搭載している。例えばSmart Catの画面を壁に投影し、端末を上下に動かしてアイコンをタップする、といった機能を追加できるわけだ。つまりSmart Castはただ画面を投影するだけではなく、画面に触れることなく様々な操作を行うことができるのである。

底面のプロジェクターを使い画面を投影できる

底面のプロジェクターを使い画面を投影できる

またSmart Castはプロジェクター部分を回転させて、投影先を正面に向けることができる。こうすることによって、Smart Castを立てた状態で、机の上に画面を投影することができる。これはあたかも手元にタブレットの画面があるようなものだ。メールを見たりアプリを使う時も、机の上に投影されたアイコンやメニューを指先でタップすれば操作できる。

プロジェクターの先を回転させると、投影先を机の上に向けることができる

プロジェクターの先を回転させると、投影先を机の上に向けることができる

さらにはキーボードを投影すれば、PCサイズの大型のバーチャルキーボードが現れる。スマートフォンの小さい画面で長文入力をするのは大変だが、このバーチャルキーボードを使えば楽に打つことができるだろう。普段スマートフォンを使っていて、大画面が欲しいと思うのは動画や写真を見たり、あるいは仕事のオフィス文章を編集したい時などだろう。Smart Castならいつでもワンタッチで投影大画面を得られ、しかも環境に応じて壁や天井、あるいは机の上と切り替えもできるのだ。

パソコンキーボードだけではなく、ピアノの鍵盤も投影できる。机の上をタップして演奏可能だ

パソコンキーボードだけではなく、ピアノの鍵盤も投影できる。机の上をタップして演奏可能だ

Smart Castはコンセプトモデルで商品化は未定だが、この技術はぜひとも実用化してもらいたい。実用化されれば大画面化が進んでいるスマートフォンが、逆に片手で持てるコンパクトサイズへと小型化されていくかもしれない。

20倍の大画面が得られる「Magic View」

もう一つの製品は腕時計型のウェアラブルデバイスであるスマートウォッチである。こちらもコンセプト商品で製品化は未定だ。普通のスマートウォッチと異なるのは、円形の時計画面のすぐ下に正方形のパネルを搭載していること。実はこのパネルは「Magic View」技術を採用した超小型ディスプレイであり、光の屈折によってこのサイズの約20倍の大画面表示を得ることができるのだ。

メイン画面のしたに正方形のパネルを搭載したスマートウォッチのコンセプトモデル

メイン画面のしたに正方形のパネルを搭載したスマートウォッチのコンセプトモデル

このスマートウォッチのOSには市販されているAndroidスマートフォン搭載のものを腕時計用にカスタマイズしたものが採用されている。Googleがスマートウォッチ向けに「Android Wear OS」を提供しているが、それでは画面切り替えなどができないため独自のものを採用している。現在動作する製品は画面に表示できるデータとしてスマートフォンから転送した写真や動画、カレンダー、地図のストリートビューなど種類はまだ多くは無い。とはいえいずれの画面もMagic Viewを使った大画面投影が可能だ。

指先二本でスワイプすると表示が切り替わる

指先二本でスワイプすると表示が切り替わる

画面の切り替えは簡単で、時計に表示されているどの画面であっても、指先二本で画面の上から下へとスワイプするだけでよい。すると画面が切り替わるようなエフェクト表示がされたあとで、時計画面が消灯する。つぎにこの正方形のパネルの前、1-2cmの距離に目を近づける。つまり時計のベルト部分を目で覗き込むような恰好だ。

目を離してもうっすらと表示が見える

目を離してもうっすらと表示が見える

試しに目を遠くから近づけていくと、10cmくらいの距離からパネル内に何かの表示が見えてくる。これはさきほどまで時計画面に表示されていた写真やカレンダーなどだ。この状態は時計から目を離して覗き込んでいるので、周りの人から見ると自然な姿に見えるだろう。だがこれではMagic Viewのフル機能は利用できていない。

目を2cmに近づけると大きい画面が内部に見える

目を2cmに近づけると大きい画面が内部に見える

スマートウォッチのパネル部分に目を近づけ、2cmくらいの距離から中を見るとこのように大きな画面が表示される。実はこの画面、動画の再生も可能だし、また表の時計ではアナログ時計しか表示できなかったものを、Magic View内では天気を同時に表示したり世界各都市を並べた世界時計にも切り替えできる。Magic Viewはわずか2cm四方程度の小さいパネルの中に、スマートフォンクラスのサイズの画面を表示できるのだ。

Magic Viewは一番わかりやすい応用例としてスマートウォッチに搭載したコンセプトモデルが展示された。だがこのMagic Viewは他の用途にも展開が期待できる。たとえばスマートフォンの上側面に細長いスリットとして取り付ければ、スマートフォンを開かなくてもメールの着信やソーシャルサービスのタイムラインを確認することができるだろう。

背面が電子ペーパーの2画面スマホYotaPhone2。だが物理的なサイズ以上の表示はできない

背面が電子ペーパーの2画面スマホYotaPhone2。だが物理的なサイズ以上の表示はできない

スマートフォンの進化の中で、大画面かや多画面化は様々なアプローチが取られている。最近では両面スマートフォンのYotaPhone2などが知られているし、日本ではNECカシオモバイルコミュニケーションズが過去に発売した両開きの2画面スマートフォン、MEDIAS W N-05Eが今になって安売りされ話題となった。だがいずれも物理的なディスプレイサイズを超えた表示はできない。

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山根 康宏

山根 康宏

香港在住15年。海外展示会取材や海外市場調査のため1年の半分を 海外で過ごす。2003年に前職を退職し同年に携帯電話研究家として独立。 香港を拠点にフリーランスの活動を開始する。消費者目線でのコラムやレポートを執筆する他、 コンサルティング活動も行っている。 週アスPLUS『山根博士の海外モバイル通信』、 ITmedia『山根康宏の中国携帯最新事情』、CNET『中国トンデモケータイ図鑑』など、 メディアでの連載多数。 携帯電話をこよなく愛しており、海外出張時は現地端末やプリペイドSIMを必ず購入、 それらのコレクターでもある。 収集した海外携帯電話の台数は約1300台、SIMカードは約500枚(2014年6月時点)。 株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー

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