ついに大手を超えた!超ハイスペックスマホが中国から登場|山根康宏のワールドモバイルレポート

Xiaomi(シャオミ、小米科技)は低価格なスマートフォンで世界シェアを着々と高めている。同社の1万円台前半の安価なスマートフォン「紅米(HongMi)」はインドなど新興国でも人気が高い。また上位モデルの「小米(Mi)」シリーズはQualcommの最上位CPUや大容量メモリ、高画質カメラを搭載し「iPhoneやGalaxyの同程度の性能で半額以下」という評価を受けている。だがそんなXiaomiの製品を上回る、AppleやSamsungも無視できない製品がまたしても中国から登場したのだ。

シャオミすら軽々越えた低価格ハイスペック機「LeTV One」

中国で動画配信サービスを手掛けるLeTV(楽視)は4月にスマートフォン「楽視超級手機」シリーズを発表した。直訳すれば「LeTVスーパー携帯電話」と言う意味の同社の製品は、既存のスマートフォンのスペックをはるかに横臥した超ハイスペックな性能が最大の特徴だ。しかもいきなり3モデルを発表しており、メーカー乱立で競争が激しい中国市場に殴り込みをかけようとしている。

新製品の3機種は「LeTV One」「LeTV One Pro」「LeTV Max」。このうち「LeTV One」は5.5インチフルHDディスプレイにメモリがRAM3GB、カメラは1300万画素。価格は1499元(約2万8780円)と日本円で3万円を切る低価格だ。このスペックはXiaomiのハイエンドモデル「Mi Note」の2299元(約4万4130円)よりも大幅に安い。もちろんこの価格は大手メーカーの5.5インチクラスのスマートフォンの半額どころか1/3以下だ。

シャオミすら霞んで見えてしまうハイスペックなLeTV One

シャオミすら霞んで見えてしまうハイスペックなLeTV One

しかも金属素材を採用した本体の質感も高く、ぱっと見てこれが中国製の3万円を切る製品には見えない。ディスプレイと本体側面の間のベゼルの幅も1.2ミリと狭く、ディスプレイの幅は側面ギリギリまで達している。デザインがどことなくHTCのフラッグシップモデル「HTC One」シリーズに似ているところもあるが、ベゼル幅の薄いデザインはむしろHuaweiのフラッグシップ「Mate7」似だ。LeTVもライバルは海外メーカーではなく国内の上位メーカーなのである。

シャオミのフラッグシップ、Mi Noteも十分高性能低価格だが、LeTV Oneには質感でも劣る

シャオミのフラッグシップ、Mi Noteも十分高性能低価格だが、LeTV Oneには質感でも劣る

またAppleの新型MacBookが採用したUSBの新しいコネクタ、Type-Cにも3機種が対応している。中国メーカーは汎用部品を使うことでコストダウンを図っているが、LeTVはあえてこれから主流となる規格を先取りし、1年後でも時代遅れにならない製品を市場に投入するわけだ。もしかするとLeTVの製品に影響を受け、LenovoやHuaweiなど大手メーカーもUSB Type-Cの採用を早めるかもしれない。

UHDディスプレイに4GBメモリ、大手メーカーの上位モデルを超えた製品も

とはいえこの「LeTV One」だけが発表されたのならば、新興メーカーがコストを絞って低価格な製品を出しただけという、中国のちょとした勢いを感じさせるだけのニュースだったかもしれない。だがLeTVの新製品の破壊力は、その上の2製品の「LeTV One Pro」「LeTV Max」が持っているのである。

「LeTV One Pro」「LeTV Max」はどちらも超高解像度なQHDのディスプレイを搭載する。QHDディスプレイはまだSamsung、LGなどの一部モデルにしか搭載されていない。Xiaomiはもちろん、Sonyですらまだ採用に至ってないのだ。「LeTV One Pro」は5.5インチでGalaxy NoteやiPhone 6 Plusとも十分競合するサイズ。また「LeTV Max」は6.33インチで、画面解像度の低い7インチクラスのタブレットユーザーをも引き込める製品だ。これだけの解像度と画面サイズがあれば、プレゼン資料や表計算のシートなどオフィスデータの閲覧も十分実用になるだろう。

5.5インチQHDディスプレイのLeTV One Pro

5.5インチQHDディスプレイのLeTV One Pro

また両モデルともメモリーはRAMを4GB搭載。これは他社ではまだASUSの「ZenFone2」の上位モデルのみに留まっている大容量のものだ。コストはかかるがこれも1年先を見据えた端末開発戦略なのだろう。恐らく今年の冬には大手メーカー各社からRAM3GB、4GBのモデルが次々に登場しているはずだ。

そして本体のデザインは「LeTV One」同様のベゼルレス・金属ボディー。「LeTV One Pro」のベゼル幅は「LeTV One」よりも狭い1ミリ。そして「LeTV Max」では0.8ミリと、もはや縁なしディスプレーと呼べそうなほど画面の左右幅は限界まで本体幅に近づいている。なおカメラの画質はProが1300万画素、Maxは2100万画素だ。

6インチ越えのLeTV Max。同社のビジネスモデルはコンテンツ配信との融合だ

6インチ越えのLeTV Max。同社のビジネスモデルはコンテンツ配信との融合だ

ここまでハイスペックな両モデル、価格も「LeTV One Pro」が2499元(約4万7990円)「LeTV Max」は3499元(6万7190円)。もはやこの2製品は中国製の格安スマートフォンではなく、大手メーカー製品と肩を並べるフラッグシップクラスのハイエンドモデルだ。

さて気になるのはLeTVの各スマートフォンがなぜここまで安いのかだろう。実はLeTVがスマートフォンメーカーではなく、本業はストリーミングビデオ配信を行ってるコンテンツプロバイダなのだ。LeTVスマートフォンは、そのコンテンツサービスをどこでも見れるように同社が自ら開発し販売しているのである。

もちろんLeTVのスマートフォンを使えば、ネット上の無料コンテンツを自由に見ることができる。だがLeTVの有料ストリーミングビデオ会員になると、スマートフォンの割引が受けられるのである。これは1年間300元で、2年会員なら600元、3年会員なら900元と長期契約を結べば結ぶほどスマートフォンを安く買うことができる。これが定価1000元程度の格安スマートフォンなら割引を受けるメリットはあまり感じられないが、3000元もするスマートフォンが1000元近く値引きされるとなれば、飛びつく消費者も多いだろう。

それに加え、LeTVスマートフォンを買うと最大6GBまでのストリーミングビデオサービスが無料で利用できる。これは2Kの映画を5本、またハイレゾの連続ドラマなら21本を見れる計算である。

大手有名メーカーのスペックを超えるハイエンドスマートフォンを他社よりも低い価格で販売し、しかも自社サービスに加入すると端末が割引され、さらには自社サービス向けの無料利用分も提供される。LeTVのスマートフォンは、製品開発からコンテンツ配信までをうまく融合させたビジネスモデルとして、中国でヒット商品となるかもしれない。そうなれば、中国はいずれ大手メーカーを超えるハイスペックなスマートフォンが格安で買える国になるかもしれないのだ。

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山根 康宏

山根 康宏

香港在住15年。海外展示会取材や海外市場調査のため1年の半分を 海外で過ごす。2003年に前職を退職し同年に携帯電話研究家として独立。 香港を拠点にフリーランスの活動を開始する。消費者目線でのコラムやレポートを執筆する他、 コンサルティング活動も行っている。 週アスPLUS『山根博士の海外モバイル通信』、 ITmedia『山根康宏の中国携帯最新事情』、CNET『中国トンデモケータイ図鑑』など、 メディアでの連載多数。 携帯電話をこよなく愛しており、海外出張時は現地端末やプリペイドSIMを必ず購入、 それらのコレクターでもある。 収集した海外携帯電話の台数は約1300台、SIMカードは約500枚(2014年6月時点)。 株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー

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