子どものうちにウェアラブル洗脳せよ?!|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

このところ、ウェアラブルやIoTに関するテーマについてディスカッションする機会が増えています。ウェアラブルは本当に普及するのか? 普及するとしたら何がフックになるのか、といった議論です。そんな中、米アップルがApple Watchを発表、4月24日より販売を開始します。アップルは昨年9月9日にiPhone 6/6 PlusおよびAplle Watchの初発表時に「人々が『腕時計』に期待するものを再定義する」と宣言していましたが、果たしてこのプロジェクトは成功するのでしょうか。

Apple Watchの概要とこの端末でできること

 アップル初のウェアラブル端末となる「Apple Watch」、ついに3月10日にその詳細が明らかにされ、発売日も4月24日に決定(日本を含む9カ国から)しました。4月10日から事前予約の受付を開始するほか、アップルストアでは実機が展示され、実際に腕に装着して操作感を試すことができるそうです。

 Apple Watchは、鏡面仕上げを施したステンレススティールの「Apple Watch」(20モデル、価格は6万6800円~13万2800円)、標準的なアルミニウムよりも60%高い強度を持つという「Apple Watch Sport」(10モデル、4万2800円~4万8800円)、そして18金を用いた高級モデル「Apple Watch Edition」(8モデル、128万円~218万円)の3種類をラインアップします(いずれも税別)。

いよいよ発売開始されるApple Watch(Apple Webサイトより)

いよいよ発売開始されるApple Watch(Apple Webサイトより)

 iPhone(5、5S、6、6 Plus)とBluetoothやWi-Fiで接続することで、さまざまな通知を受けたり、コミュニケーションを取ることができます。天気予報やニュース、スケジュールなどの情報を、iPhoneを取り出さなくても、Apple Watch上で確認できます。あるいはiPhoneにかかってきた電話をApple Watchで受けて内蔵マイクでハンズフリー通話ができたり、iPhoneで受信したSMSやEメールをApple Watchで確認することもできます。

 また、Apple Watch用のアプリが今後続々と登場するようです。米国での発表では、すでにハイヤーをリクエストできる「Uber」、ホテルにチェックインしたり部屋の鍵として使ったりできる「Starwood Hotels & Resorts」などがデモンストレーションされたようですが、日本向けにはどんなアプリが出てくるか楽しみですね。

 何より、筆者がこうしたウェアラブル端末に期待していることは、ヘルスケアでの活用についてです。「誰でもがスマホを持ち歩く時代」となりましたが、これはすなわち「誰でもがコンピュータを持ち歩く時代」と言い換えることができます。ではウェアラブル端末は? ウェアラブル端末はスマホの補助端末ぐらいに見られがちですが、スマホよりも画期的な点は「いつでも肌に密着して持ち歩かれる」ことです。身体に常時接触しているということは、体温や脈拍、あるいは運動量や活動量などを常時モニタリングできるようになります。

 Apple Watchの背面には2つの心拍センサー、そして肌に密着しているかどうかを確認する2つのセンサーを装備しています。また加速度センサーを内蔵しており、これらセンサーを使って心拍数や活動量などのデータを取得します。
 かつて、たとえば「おサイフケータイ」が登場したときも発売当初はそれほど有効に使われていなかったのですが、のちに「モバイルSuica」がおサイフケータイ向けに登場すると、その利便性は瞬く間に知られるようになり、その利用者を増やすことができました。

 では、ウェアラブル端末がブレイクするキラーコンテンツは何かというと、世界的にも「ヘルスケア」がきっかけになるだろうと言われています。わが国では、各種生体計測情報をクラウドに保管できる血圧計や体重計なども多数市販されていますが、今ひとつヒット商品にはなっていません。ウェアラブル端末もその大半は活動量等を収集して健康にフィードバックできるものになっているのですが、まだまだわが国では利用率が低いようです。これは皆保険制度が充実してしまったわが国において、いざという時に大きな診療費負担なく医師に診てもらうことができるので、健康増進を意識しなくなっているのでしょう。自由保険の米国では、自分自身で健康管理は当たり前、さらにこれらウェアラブル端末等を通じて健康を維持していくと、保険料が安価になるといった保険サービスも登場しているようです。

 わが国でも、医療費は高騰するばかりで、いずれ国民一人ひとりが自身の健康管理を気遣う必要性があると考えられ、医療・ヘルスケア業界ではウェアラブル端末の普及には期待を寄せているところです。しかしながら、すでに多数のウェアラブル端末が市販されるようになっているにも関わらず、利用率は極めて低い状況。どうしたらウェアラブル端末の普及に拍車が掛けられるのかが、とあるヘルスケア系研究会でも議論になりました。

 結論として「子どもの時から、ウェアラブル端末を使うことを当たり前にしてしまうしかない」ということでした。子どもの頃から習慣化すれば大人になっても続けるに違いない…、確かにそうなのですが(笑)。

子どものうちから“ウェアラブル”を当たり前に!

 では、子どもにもウェアラブル端末を使ってもらうにはどうしたらよいかと考えていた矢先、Apple Watchの発表に便乗するかのように、3月13日に玩具メーカーのタカラトミーが子ども向けカメラ付きウェアラブルガジェット「プレイウォッチ」を発表しました。

タカラトミーが子ども向けウェアラブルガジェットとして発売する「プレイウォッチ」(タカラトミー報道発表資料より)

タカラトミーが子ども向けウェアラブルガジェットとして発売する「プレイウォッチ」(タカラトミー報道発表資料より)

 『あそびを身に着けよう』をコンセプトにし、動画・写真撮影や時計機能、ボイスレコーダーやゲーム等の機能を搭載した、まさに「子ども用のウェアラブル端末」の登場です。1.41インチの静電式カラータッチパネルを装備し、スマホと同じようにスワイプやタップ等スムーズな操作感を楽しめるようです。

 ホワイト/ピンク/ブルー/パープルの計4種が用意され、希望小売価格は7,980円(税別)。6月20日(土)から、全国の玩具専門店、百貨店・量販店の玩具売場、インターネットショップ等で販売開始です。価格も手ごろで、じつは筆者としてはApple Watchよりも、この「プレイウォッチ」のほうに物欲が走っております。

「ウェアラブルネイティブ」世代が社会で活躍するようになるのは何年後?!(タカラトミー報道発表資料より)

「ウェアラブルネイティブ」世代が社会で活躍するようになるのは何年後?!(タカラトミー報道発表資料より)

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木暮祐一
1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話関連媒体の立ち上げや執筆などに携わる。2000年にはアスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ編集長を務めた。ケイ・ラボラトリー(現、KLab)を経て2009年に大学教員に転身。2013年より青森公立大学経営経済学部准教授。黎明期からの携帯電話端末コレクションも保有し、その数は1000台以上。株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー

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