原稿はタブレットで書くからこそ面白い?!|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

公開日: : 最終更新日:2014/12/02 モバイル研究家コラム, 木暮祐一のぶらり携帯散歩道 ,

先だって、「ハイパーメディアクリエイター」という肩書きでご著名な高城剛さんと対談させていただく機会がありました。対談の内容は『週刊アスキー』12月2日発売号(通巻1007号)に掲載されておりますので、ぜひご一読を。対談では、定住先を決めずに海外を点々とするノマドのような生活を送っていらっしゃる高城さんと、国内外のスマホ事情、SIMフリー端末、プリペイド&格安SIMなどの話題で盛り上がりました。誌面では触れていませんが、高城さんとお話していた中で驚いたことは、その日持ち歩かれていた端末はiPad miniとテザリング用のiPhone1台のみ! さらに、高城さんは日常的にiPad miniで原稿を書かれているということ。

机上で書いた原稿は面白くない?!

 高城剛さんとの対談で、私がMacBook Airを引っ張り出したら、高城さんは開口一番「そんな重たいの持ち歩いているの?!」と来ました(笑) いや、確かにMacBook Airは極薄ですが重量はありますね。でも、原稿執筆やプレゼン等に欠かせないじゃないですか。で私の方から「高城さんは、ノートPCとか使わないんですか?」と切り返したところ、「使いません!」とのこと。

 その日、高城さんが持ち歩かれていたものは、iPad miniが1台と、iPhoneが1台(通話は基本的にお嫌いだそうで、ほぼテザリング用だとか)、そしてサイフのみ! なんと身軽な。しかも、それだけではありません。「もはやパソコンなんて、映像編集とか、重い作業をせざるを得ない時に、オフィスでやりますよ。普段はiPad miniが1台あればOK。原稿もこれで書いちゃいますよ」なのですって。iPad miniは私も持っていますが、あのタッチパネルディスプレイに表示されるキータッチ感のない、しかも小さいキーボードでよく原稿が書けるものだなと、驚いたのでした。高城さんいわく「慣れちゃえば平気、全然大丈夫だよ」と。

 しかも、高城さんは移動時間の合間などで、そのiPad miniでバンバン原稿を執筆されるそうです。たとえば地下鉄乗車中、その数駅の合間も無駄にせず、その時に思いついたこと、気になったことをどんどん原稿に落とし込んでいくのだとか。(ちなみに高城さんはブログや有料メールマガジンなどを書かれています)

 なるほど、だから原稿には臨場感があるし、原稿に限らず高城さんの頭から溢れ出て来る様々なアイデアが斬新な切り口が多いのも、思いついた時にすぐにiPad miniでメモとして書き留めているからなのでしょう。ネタの「引き出し」が多くて、話題に困らないのは、思い立ったらすぐにiPad miniでメモるということなのですね。いや、ほんと脱帽でした。私など、原稿の締切に追われ、大学の研究室で缶詰状態になってパソコンの前で「うーうー」唸っていますが、「机の上で良いアイデアは生まれない」とはまさにこういうことですね。やはり、どんどん外に飛び出して、周囲の環境やすれ違う人々、そのほか目に入る様々な事象を見て、感じて、その上で脳がぐるぐる動きだして新しい考え方やアイデアが生まれて来るということでしょうか。

 Facebookやtwitterなどのソーシャルネットワークも、モバイル(スマートフォン)で利用するからこそ面白いわけです。机上であれこれ考えた長文をタイムラインに投稿するよりも、出先で見たこと、感じたことなどを、そのときの思いつきで出てきた言葉で綴った投稿の方が臨場感に溢れていて、だからこそそれを見る側もそれを楽しく読めるのです。高城さんはご自身では公式には積極的にソーシャルネットワークを使っていらっしゃらない感じですが、我々がスマホからソーシャルに日常の出来事を投稿する感覚で、高城さんは思いついたことをポンポンとiPad miniに書き溜めていき、それをのちほど原稿として編集してメディアに公開されるのでしょう。だからこそ高城さんの文章やアイデアには、机上では生まれない面白さやセンスに富んだ文章やアイデアになるのでしょう。なるほど、よい勉強をさせていただきました。

 ということで私も真似して、ただいま「移動中の機中」(青森からの移動ですと、地下鉄に乗る感覚で飛行機に乗らざるを得ませんね)で原稿を書いておりますが、窓の外は雲海しか見えないし、これじゃ缶詰状態の研究室で書くのと変わらんわな(笑)。

 モバイル機器の普及は、コミュニケーション手段から仕事のやり方まで、大きな変化をもたらすきっかけになっています。しかし高城さんはモバイル&ノマドな生活スタイルの実践で、ご自身のビジネススタイルに更なる磨きをかけていらっしゃいました。そんなビジネススタイル、ライフスタイルにすっかり感服してしまいました。

JAL SKY NEXT(機内Wi-Fiサービス)対応機

この原稿、JAL SKY NEXT(機内Wi-Fiサービス)対応機で空の上で書いてます。有料とはいえ、航空機上からインターネットが利用できるのは便利ですね

日本の常識は世界の非常識、世界の常識は日本の非常識

 高城さんとの対談は、週刊アスキー編集部が入る、東京・飯田橋の某ビルで行われたのですが、その日、私は青森から飛行機で羽田空港経由で飯田橋へ向かいました。同じく高城さんは、マレーシアから飯田橋に飛んで来られたそうで…。さらにその後また世界へ飛び立たれ「次に日本に来るのは年明けかな?!」とか。いやはや、そのスケール感がなんとも私とは全然違うことに驚くばかりでした。

 そんな感じで地球上を飛び回られている高城さんから学ばせていただいたのは、「やはり日本のモバイル業界、とくにケータイ・スマホの販売や回線契約の仕組みは特殊すぎるよ」ということ。私も中国や韓国、欧州、北米、オーストラリアなどのモバイル事情は、時々現地に赴いて、色々と体験し感じているところですが、さらに広く世界を見て、そして世界中のモバイルサービスをご自身で使われている高城さんだからこそ、説得力あるな、と思いました。

 来春からいよいよSIMロック解除の義務づけ(NTTドコモやソフトバンクモバイルの一部機種などではすでに実施してますが)が始まりますが、同時に、日本でもようやく「好みのSIMカード」を選べる環境が整い始めました。好みのSIMカードというのは、言ってみればMVNO(Mobile Virtual Network Operator = 仮想移動体通信事業者、ドコモ等既存の通信事業者からインフラを借りて独自ブランドで提供する通信事業者)が提供する、いわゆる「格安SIMカード」の類ですが、サービスのオープン化がだいぶ進みつつあるなと感じています。ただ、それでもSIMフリー端末の入手手段はまだ限られていますし、一般のユーザーには敷居が高いものといえそうです。

 高城さんとの対談でも、この辺りの話題に触れています(ぜひ『週刊アスキー』1007号をご一読を)。SIMフリー端末が自由に流通する環境が整い、また回線契約(SIMカード販売含め)がもっと柔軟になっていけば良いなと思っています。そして実際に変化も出てきました。一部家電量販店等では、SIMフリー端末&格安SIMカードコーナーを前面に出してきたところも散見されるようになりました。このあたりの話は次回のコラムでご紹介しましょう。

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木暮祐一
1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話関連媒体の立ち上げや執筆などに携わる。2000年にはアスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ編集長を務めた。ケイ・ラボラトリー(現、KLab)を経て2009年に大学教員に転身。2013年より青森公立大学経営経済学部准教授。黎明期からの携帯電話端末コレクションも保有し、その数は1000台以上。株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー

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