木暮さんから学ぶ、技適のこと~その2~|池端隆司のモバイルジャンクション

池端隆司×木暮祐一

こんにちは、池端です。

携帯電話研究家同士のディープな対談シリーズ。青森公立大学内にある木暮さんの研究室にお邪魔して、行った対談の続きです。画像にもありますが、木暮さんの研究室には、往年の携帯端末が整然と陳列されている一角がありまして、さながらケータイ・ミュージアム!ちょこちょこ端末の思い出話で脱線しそうになりながら、対談は続きます。

地域の若者を集めたければ、Wi-Fiポイントを立てるべし!

池端:電波法もそうですが、電車に乗っていると一般の方がデフォルトの安易なパスワードでWi-FiやBluetoothを無自覚に流している事のほうが怖いなと、私は思っています。たとえば iPhoneの場合デフォルトで設定すると、iPhoneに名前を付けることができるのですが、個人名がネットワーク名になってしまっていてスキャンしたら接続はともかく、個人名が「ダダ漏れ」になっているとか…そういった部分を改めてみんなが覚える、気をつける時期に来ていると思っています。
 海外の事例ですが、歩いているだけでBluetoothからウイルスが送られてきてしまうという事件や、パスワードが簡単だから簡単に接続されて、ファイルが送られてきてしまうといった事例も報告されています。まだBluetoothという言葉を知らないで使っている人が結構多いと思うし。

木暮:そうですね。フリーのアクセスポイントやモバイルルーターの登場以来、Wi-Fiの認知は広まっていて、パスワードとかセキュリティをかけるのが当然という風になってきていますが、初期にソフトバンクがBBルーターを配っていたとき、「パスワードナシでどんどん使わせて、Wi-Fiを広めよう」いう構想がありました。今でもたまに、Wi-Fiのパスワード無しでそのまま使われているAP(アクセスポイント)が存在しています。
 そうすると非常にわかりやすい現象が起きていて、最近は携帯ゲーム機を持った中高生がたまっているのですよ(笑)。彼らは「ここのルーター、タダで使える!」という情報を共有していて、たとえば学校ではLINEとかスマホとか禁止とか言われても、iPod Touchでもアプリは使えますしね。接続可能なWi-Fiさえあればフィルタリングも抜けられる。そういった場所に「たむろして」と言うと不良なイメージですが、我々世代でいうところの「駄菓子屋」みたいなスポットが自然形成されて、みんなで一所懸命SNSだったりゲームに勤しんでいる。「(地方で)若者集めるなら、まずはWi-Fiを立てましょう」って半分本気で提言してみたいです。

池端:この学校のキャンパス内では、そういったソーシャルツール系は禁止なのですか?

木暮:さすがに大学生ともなれば、そこは本人の自主性に任せています。去年あたりからほぼ100%学生はスマホを持っているし。コミュニケーションツールもLINEがデフォルトですね。ある学生が言っていたのですが、「LINEできない人かわいそう。コミュニケーションとれないじゃん」と、現代の状況を端的に表していてある種の感動を覚えました。
 先生の中にはゼミのフェイスブックを開設してそこで情報共有したいとか言っている人もいるのですが「LINEがいい」という声が圧倒的。仕方なく先生もLINEアカウントを持つ。端末は若者の間ではスマホが当たり前になっていますね。 

池端:僕が書籍を書いた時の座談会でも、似た話は出ていましたね。「バイトのシフト連絡はLINEで入れておく」とか。

木暮:脱線したので話を戻しますが、そういうデジタルネィテイブ層が着実に増えていく状況を鑑みると、電波法に限らず、ほんとに日本の法律は結構古いものがそのまんま使われていて、見直しが必要なものが数多くあります。特にこれだけ無線通信が広がり、多くの国民が端末を持つようなことを想定してない時期からの法律が多いので。利用者視点に立った、使いやすい法の運用なり改正がマストですよ。そもそも消費者が罰せられるなんておかしな話じゃないですか。
 違法無線機を載せたトラックの運転手が捕まるのなら話はわかりますが、なぜ普通に携帯使っている人が捕まるのか、違法なのか、という話になってしまうので。そこはやはり外国からたくさんお客さんが来るというシチュエーションの中で、絶対必要になってくるので、メディアで盛り上げていこうと思うのですけど。

池端:木暮さんの活動歴を考えると、このテーマはライフワークといって差し支えないレベルの懸案ですね。私も賛成です。ぜひ変えて欲しいです。

市場の創造につながる!? 端末のリペア、カスタマイズサービス

池端:話は今から20年位前にさかのぼりますが、i-mode全盛時代にフィーチャーホンのアンテナ改造って流行りましたよね、あの光るタイプの。

木暮:はいはい、ありましたね。あれも非純正なので違法改造扱いです。何故かと言うと、技適の認証は本体・アンテナも含めて工場出荷の状態で検査を受けて、認証をもらっているので、それ以外は全て違法になってしまうのです。 海外ではこんなの当たり前に使っているのですが、日本ではこれは違法だと。そういう点では最近のiPhoneカバー交換、本体交換。あれもグレーなんですよ。違法無線局になるのではないかという解釈で。

池端:分解自体が違法?

木暮:分解は、保証がきかなくなるという問題なので、それは家電製品も同じことですからメーカーの言い分としては理解できます。それとは別に本体パネルは、材質やその製造者も含めて情報を開示して許可をもらって検査を受けているそうで、異なる素材の外装交換=違うものになるので違法という解釈なのです。とはいえ、iPhoneのカバー交換やディスプレイ修理のパーツは純正ではないので、現状はグレーではあるのですが、それなりに需要がある訳ですよね。

池端:最近、ショップも増えてますよね。合鍵や靴の修理と同じ窓口でiPhoneのディスプレイ交換の看板を掲げているお店を観たくらいですから。

木暮:一昨年の私の記事に書いたのですが、リペアやカスタマイズに関しては総務省の検討会(平成24年度に開催された「電波有効利用の促進に関する検討会」)に盛り込まれ、緩和の方向で検討すべきということになったのですが、まだまだ大きな動きになっていません。いわゆるスマホの修理ショップですが、アメリカに限った調査結果でも、概算で数億円規模の市場が生まれたそうです。日本でもiPhoneやサムスンのスマホカバー交換・修理ビジネスで新たな市場創出になる可能性がある。それなら合法的にできるようにできないかという意見が検討会の内容に盛り込まれていました。
 製造メーカーに言わせると「保証はどうするんだ」「技術認定どうするんだ」という反応はあるのですが、たとえばメーカー公認で、メーカーが供給するパーツ(技適申請したものと同じ部材)を使って修理するというお店がこれから増えていく可能性はあります。不正パーツで修理するようなショップをけん制する意味でも、メーカーはそういう施策を積極的に打つべきでしょうね。

池端:香港に行けば、そういうリペア。カスタムのショップいっぱいありますしね。

木暮:iPhoneに限った話で言えば、正式なメーカー修理ができるアップルストアの数がまだ少ないですよね。仮に私が今(青森から)、修理を持ち込むとしたら、最寄りは札幌にしかない訳で、「そこまで行くのか…」という気持ちになります。iPhoneのシェア率から考えれば、もっと窓口は増やしてしかるべきでしょう。

池端:カメラのキタムラは「iPhone修理受付窓口認定ショップ」などを開設してますね。

木暮:まさにそれが、アップル公認で純正のパーツを使って修理してくれるショップのひとつですね。

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池端 隆司
個人で1,000台以上の携帯端末を保有する弊社の携帯博士。株式会社ウェブレッジに2011年入社し、品質検証事業部の事業部長としてテストチームのマネージメントする他、「携帯電話研究家・品質コンサルタント」として活動。品質管理体制の構築・検証手法の提案、ニアショア・オフショア検証の体制構築提案を実施。そのほか国内、国外の携帯電話市場調査やアプリケーションの企画やアイディアの提案なども行う。 著書に「ディープでギークなスマホ情報―これがスマホ&モバイルの未来だ!?」 (技術評論社 2014年6月)がある。

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