iPhone 6 を使って一番驚いたこと|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

公開日: : 最終更新日:2014/10/08 モバイル研究家コラム, 木暮祐一のぶらり携帯散歩道 ,

iPhone 6/6 Plusが発売され、そろそろiPhoneを巡る話題も落ち着いてきた頃合だと思います。筆者も発売日に両端末を入手し色々と試用しているところですが、何より驚いた画期的機能を見つけました。それが「ヘルスケア」アプリ。ホーム画面に追加されたということは、アップル肝入りの純正アプリであることは間違いないわけですが、アイコンをタップしても「空」のダッシュボードがあるだけで、「一体、これは何をするアプリ?」と思われた方も多いのではないでしょうか。

新iPhoneおよび、iOS 8へのアップデートで搭載された純正アプリ「ヘルスケア」。ホーム画面に並ぶということでアップルの本気度が分かりますよね

新iPhoneおよび、iOS 8へのアップデートで搭載された純正アプリ「ヘルスケア」。ホーム画面に並ぶということでアップルの本気度が分かりますよね

「ヘルスケア」アプリでできること

 この「ヘルスケア」アプリなのですが、ようするにユーザー自身のあらゆるヘルスケア関連情報を記録・管理できる機能なのです。アプリを起動し、下部にある4つのアイコンのうち「健康データ」をタップすると、このアプリで管理できるヘルスケアデータの選択画面が出てきます。最初の階層は「バイタル」「フィットネス」「栄養」「検査結果」など、7つのカテゴリに大別され、その中にはさらに細かい項目の一覧が続きます。ちなみに「すべて」を選択すると、本稿を執筆時点(9/30)で、68項目ものデータを管理できることが分かります。

「ヘルスケア」アプリで記録可能なデータは現時点で68項目にも及びます

「ヘルスケア」アプリで記録可能なデータは現時点で68項目にも及びます

 「生年月日」や「身長」「生物学的性別」は一度入力すればよいとして、その他の項目は、たとえば「体重」や「体温」「心拍数」など一般のユーザーでも分かる内容から、はては「鉄」「炭水化物」「飽和脂肪酸」などの栄養素や、「酸素飽和度」「努力性肺活量」「皮膚電位」など、何じゃそりゃ?と思うような内容まで…。ますます、このアプリが何なのか分からず頭を抱える方も多いのでは。

 じつは、iOS8の新たな機能として、アップルは「HealthKit」と呼ばれるAPIを用意しました。これ、じつはまさに「ヘルスケア」アプリと連携させてヘルスケアデータの収集や活用を可能にするAPIで、これを通じてユーザーのヘルスケア情報を収集するアプリを開発し、ユーザーが「ヘルスケア」アプリと連携(ソースとして登録)させてくれることで、ユーザー自身の健康管理の一助として有効活用してもらえるというものになります。

 iOSが8.0.2にアップデートされたあたりから、ポツポツと「ヘルスケア」に対応したサードパーティー製アプリが登場しているようです。

 たとえばの話ですが、iPhone6/6 Plusには、ジャイロセンサー、モーションセンサーのほか、気圧センサーも搭載されたので、iPhone単体で歩数を記録できることはもちろんのこと、歩いた場所の高低差も記録が可能になっています。これを「ヘルスケア」の中にある「歩数」や「上がった階数」に自動記録可能なのですが、たとえば将来、身につけて利用するウェアラブルデバイスなどでより正確な値で情報を収集できるようになり、そのデバイスがHealthKitに準拠し、アップル純正「ヘルスケア」アプリと連携が図れるようになれば、この「歩数」や「上がった階数」、その他の健康データを含め、新たなウェアラブルデバイス対応アプリに連携設定を変更できるものと思われます。

ヘルスケアデバイス業界を一変させるかも?!

 現時点で「ヘルスケア」対応アプリはまだわずかしか認定されていませんが、今後は続々と対応アプリ(対応サービス)が増えていくと思われます。今のところ、ユーザー自身が手動で入力しなくてはならない項目も、新たなセンサー系デバイスとそのアプリの登場により、さらに「ヘルスケア」と連携させることによって、「ヘルスケア」上の健康データの自動記録(入力)が可能になっていくものと思われます。

 筆者はすでに2年以上に渡って、Withings製のWi-Fi機能搭載「体重計・体組成計」を愛用していますが、Withings社のクラウドサービスを通じて、過去のデータにさかのぼって専用アプリで体重の変動などを振り返ることができます。現時点でWithingsアプリは「ヘルスケア」との連携機能は備えていませんが、対応は時間の問題でしょう。となると、筆者のiPhone 6ではまだ「ヘルスケア」上に体重のデータが一切記録されていませんが、Withingsアプリと将来連携が図れれば、過去数年の体重データを「ヘルスケア」上で閲覧・管理できるようになるというわけです。

 仮に、クラウド型体重計を他のメーカー製に買い換えた場合、おそらくこれまでWithings体重計で計測してきたデータを継承することはできません。しかし、アップルが「ヘルスケア」アプリによってユーザーの各種バイタル情報をポータル化してくれたおかげで、体重計を他のメーカーに買い換えたとしても、連携アプリ(サービス)を切り替えることで、それまで蓄積されたデータも継承しながら、新デバイスに切り替えることができるようになるのです。これは、本当に画期的なことだと思います。

「ヘルスケア」アプリを起動させると「ダッシュボード」という画面が表示されます。未設定の状態では何もありませんが、この「ヘルスケア」アプリのトップ画面ともいえる「ダッシュボード」に、日ごろからチェックしたい健康データをユーザー自身が自由に並べられます

「ヘルスケア」アプリを起動させると「ダッシュボード」という画面が表示されます。未設定の状態では何もありませんが、この「ヘルスケア」アプリのトップ画面ともいえる「ダッシュボード」に、日ごろからチェックしたい健康データをユーザー自身が自由に並べられます

 さらにこの「ヘルスケア」アプリでは、様々な「健康データ」の記録ができるようになっていますが、現時点では血液検査でもしなければ数値が分からないだろうと思われるような項目でも、もしかしたらそのデータを計測できるセンサーを新たに発明・開発するメーカーが現れるかもしれません。ヘルスケア情報、バイタル情報を収集するセンサー等のデバイスや、サービスが、これから次々に生み出されていくかもしれません。アップルの「ヘルスケア」アプリによる健康データのポータル化は、ヘルスケアデバイス業界のサービス開発競争に火をつけることになるでしょう。そしてユーザー自身が、こうしたサービスに関心を持つことによって、自身の健康増進にも必ずつながっていくと思われます。

 iPhoneによって「健康になれた」という人も現れるかもしれません。人々の「健康」にスマホが役立つなんて、本当に素晴らしいと思いませんか!

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木暮祐一
1980年代後半より日本の携帯電話業界動向をウォッチし、携帯電話関連媒体の立ち上げや執筆などに携わる。2000年にはアスキーで携帯電話情報ニュースサイトを立ち上げ編集長を務めた。ケイ・ラボラトリー(現、KLab)を経て2009年に大学教員に転身。2013年より青森公立大学経営経済学部准教授。黎明期からの携帯電話端末コレクションも保有し、その数は1000台以上。株式会社ウェブレッジ社外アドバイザー

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